Reuters / Ruben Sprich
- ヘッジファンド世界最大手ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で著名投資家のレイ・ダリオ氏は、米中間の経済的な緊張が「武力紛争」にまでエスカレートする可能性があると考えているという。
- ダリオ氏は7月16日、経済戦争は大抵、軍事衝突の前触れだと、自身のリンクトインへの投稿で書いた。
- ダリオ氏は、現在の大国支配を説明するために、1930年代から第二次世界大戦へと続く出来事を振り返ったという。
- 「アメリカと中国は今、経済戦争の状態にあり、これは武力紛争へと発展する可能性がある」とダリオ氏は書いた。
レイ・ダリオ氏は、第一次世界大戦や第二次世界大戦の数年前の状況と現在の状況を比較して、米中間の経済的な緊張が武力紛争にまでエスカレートする可能性があると指摘した。
自身は「偉大な歴史家ではない」と断った上で、ダリオ氏は7月16日のリンクトインへの投稿で、この世界がどのようにして今日に至ったのか、今の世界のあり方にわたしたちはどう向き合うべきかを説明しようとした。
この投稿の中でダリオ氏は、1930年代から第二次世界大戦までの"不安定さ"を理解することが、今日の世界のあり方を明確にする助けになるだろうと述べた。
「なぜならアメリカと中国は今、経済戦争の状態にあり、これは武力紛争へと発展する可能性があるからだ。わたしはこれまで経済戦争を経験したことがなく、それがどんなものなのか知るために過去の事例を研究した」とダリオ氏は書いた。
「第二次世界大戦へと続く1930年代と今日の比較は(特に経済制裁について)、今後何が起きるかを考える上でとても助けになるし、興味深い」と同氏は付け加えた。
アメリカではこれまで、雇用と国内のビジネスを守るために保護主義的な政策を実施し、関税を上げるのがトレンドだったとダリオ氏は指摘する。
Ray Dalio/LinkedIn
関税は確かに経済のさらなる弱体化につながるものの、「関税によって守られる企業に利益をもたらし、それが関税を課す指導者への政治的支持を生み出していた」と同氏は言う。
「大きな貧富の差、多額の債務、役に立たない金融政策を伴う深刻な経済悪化は概して、国家間の大きな争いや革命的な変化につながる火種となる」とダリオ氏は書いている。
その上で「戦争期には、混沌に秩序をもたらすより専制的なリーダーシップへと向かう傾向が強い」とした。
競合国が戦争に突入するのは「その力がほぼ同等の場合のみ」だとダリオ氏は言う。
「賢い指導者は一般的に、他に選択肢がない場合のみ戦争へと進む。なぜなら、相手側が彼らを戦うか引き下がって負けるかのどちらかの状況に追いやるからだ。こうして第二次世界大戦は始まった」
中国は先週、アメリカのテッド・クルーズ上院議員やマルコ・ルビオ上院議員など中国政府のウイグル族やその他の少数民族の扱いを非難した政治家に制裁を科した。
米中間の緊張は、中国が香港に国家安全維持法を突きつけて以来、高まっている。アメリカは香港に認めてきた貿易などの優遇措置を撤廃することで中国に対抗している。
(翻訳、編集:山口佳美)