Joe Raedle/Getty Images
- アメリカでは、身の安全に対する懸念が高まる中、銃の売り上げが伸びている。
- 「大規模小売店や街の小さな銃の店に足を踏み入れれば、陳列棚ががらんとしているのに気付くだろう」と全米射撃協会(NSSF)の広報担当マーク・オリーバ(Marc Oliva)氏は言う。
- オリーバ氏によると、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)、略奪事件、警察の予算削減を求める声などを背景に、人々は身の安全を心配しているという。
- 銃器の販売業者たちの推計では、最近の販売の40%は初めて銃を購入した客が占めている。
アメリカでは、身の安全に対する懸念が高まる中、銃の売り上げが伸びている。
「大規模小売店や街の小さな銃の店に足を踏み入れれば、陳列棚ががらんとしているのに気付くだろう。需要が高まっているせいだ」と全米射撃協会(NSSF)の広報担当マーク・オリーバ氏は語った。「需要に応えるため、メーカーは24時間体制で働いている」という。
銃器を購入する際に必要な身元調査に関する連邦政府のデータによると、銃の需要はパンデミックが始まった3月から伸び始めた。
「あの頃は警察官たちも感染していて、警察はパンク寸前だった」とオリーバ氏は語った。「警察署も緊急通報をトリアージして、全てには対応せず、感染予防のために自らのプロトコルを変えなければならなかったと話していた」という。
警察が対応できなければ、人々の身の安全に対する懸念は高まる。ジョージ・フロイドさんの死をきっかけに広まったデモ、略奪行為、警察の予算削減を求める声も人々の不安を刺激し、それが銃の売り上げ増につながったと、オリーバ氏は指摘する。
FBIは6月、390万件の身元調査を処理していて、1988年にデータを集め始めて以来、最多を記録した(ただし、身元調査は需要を示す重要な指標ではあるものの、実際に売れた銃の数を直接表すものではない)。
ブルッキングス研究所は、アメリカでは3月から6月にかけて、例年に比べて約300万丁以上の銃器が売れたと見ている。
銃の販売業者を対象に行ったNSSFの調査によると、この期間の販売の約40%を初めて銃を購入した客が占めているという。通常、こうした人々が占める割合は約25%だ。
オリーバ氏はこれを銃所有者の「劇的な変化」と呼んだ。
「銃を持つべきかどうか迷っていた人々が今、その境界線から出て、行動を起こしている」とオリーバ氏は言う。
アメリカでは一般的に、銃の売り上げは選挙の周期に合わせて変動する —— 銃規制が強まりそうになると増え、銃を持つ権利を支持する候補者が選ばれた後に減る。
今のような需要の伸びが見られたのは、直近では9.11同時多発テロの後だと、オリーバ氏は話している。
(翻訳、編集:山口佳美)