KFCのチキンテンダー。
David Silverman/Getty Images
- ケンタッキー・フライド・チキンは、3Dバイオプリンティング技術で作ったチキンナゲットを今秋、ロシアで試験販売すると発表した。
- 同チェーンは3D Bioprinting Solutionsと提携し、環境コストが何分の一かですむ、オリジナルのナゲットの味と外観を再現するチキンナゲットを作った。
- 大手チェーンが実験室で生産した食肉製品を販売するのは今回が初めてで、大いに宣伝されてきた植物由来肉の業界にとっては、コンセプトの証明として役立つかもしれない。
ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)は、今秋、ロシアのモスクワで3Dバイオプリンティング技術で作ったチキンナゲットをテスト販売すると7月16日に発表した。
KFCは3D Bioprinting Solutionsと提携して、鶏と植物細胞を使ってバイオプリンティングで作ったチキンナゲットを開発した。バイオプリンティングは、3Dプリントの技術を利用して生体物質を結合させるもので、医療分野では組織や臓器の作成にも利用されている。
プレスリリースによると、3Dプリントされたチキンナゲットは、KFCオリジナルのチキンナゲットの味や外見を忠実に再現するという。KFCは、3Dプリントされたナゲットが従来のチキンナゲットの生産工程よりも環境に優しいとしている。
今回のテスト販売は、KFCのような世界的なファストフードチェーンによる実験室で作られたナゲットの初めての販売だ。
「加工肉製品は、当社の開発コンセプトである『未来のレストラン』のステップの一つだ。鶏肉製品を作るための3Dバイオプリンティング技術のテストは、いくつかの差し迫ったグローバルな問題に対処するのに役立つ。我々はそれに貢献できることをうれしく思い、できればロシアだけでなく、世界中の多くの人々が利用できるように取り組んでいる」とKFCロシアのライサ・ポリヤコバ(Raisa Polyakova)CEOはプレスリリースで述べた。
3D Bioprinting Solutionsの共同設立者兼マネージングパートナーであるユセフ・クシュアニ(Yusef Khesuani)は、KFCとのパートナーシップが植物由来肉の台頭を加速させ、より広く販売されるようになることを期待していると述べた。
現在のところ、まだ広く使われてはいないが、研究所で作成された肉は十分に研究開発が進んでいて、多くの投資家がまもなく市場に出回ることを期待している。代替肉スタートアップのMemphis Meatsは最新の資金調達ラウンドで1億6100万ドルを調達し、その主要な投資家にはインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)とビヨンド・ミート(Beyond Meat)も支援しているベンチャーファンドのCPT Capitalが含まれている。
同じく7月16日、KFCは「ビヨンド・フライド・チキン」をアトランタなどでのテスト販売を経て、カリフォルニア州の50店以上で期間限定で販売すると発表した。
[原文:KFC will test lab-grown chicken nuggets made with a 3D bioprinter this fall in Russia]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)