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ツイキャス・ニコ生・SHOWROOM…コロナ禍の「ライブ配信アプリ」戦国時代。主要11タイトル徹底比較

グラフ

主要11タイトルの2020年6月時点でのMAU(月間アクティブユーザー)の比較(App Ape推計)をグラフにしたもの。(クリックすると拡大表示します)

画像:App Apeが推計したデータをもとにBusiness Insider Japanが作成

新型コロナウイルス感染症の蔓延が一過性のものではなくなってしまい、外出自粛ムードが続く中、若者の中でライブ配信が大いに流行しています。

YouTuberは、小学生にも憧れられる一つの「生き方」として定着しましたが、ライブ配信者、いわゆる「ライバー」も今後同じような広がりを見せるかもしれません。

現在、様々な特色を持つサービスが乱立しているライブ配信アプリ。それぞれの違いや成長度合いを深掘りしていきます。

MAUは昨年比で1.3倍に

以下のグラフは、2019年7月から2020年6月までの、主要ライブ配信アプリ11タイトル(ツイキャス・ビュワー、ニコニコ生放送、SHOWROOM、Pococha、Mirrativ、17LIVE、ふわっち 視聴用、LINE LIVE、V LIVE、BIGO LIVE)のMAU(月間アクティブユーザー)の推移です。2019年6月時点ではMAUの合計は620万人程度でしたが、2020年4月にはコロナによる外出自粛の影響を受け900万人程度にまで成長しています。

イメージ

データ元:App Apeによる推計値。Android/iOSの合算値を算出。

画像:App Ape

大きな成長を遂げているライブ配信アプリですが、成長の度合いは各社異なります。また、今まで絶対数の大きくなかったライブ配信アプリのいくつかが急成長しており、市場の底上げに寄与しています。

以下の表は、それぞれのサービスのMAUです。トップ3のアプリの特徴を深掘りします。

絶対数での3強は「ツイキャス・ニコ生・SHOWROOM」

主要11タイトルの、2020年6月時点でのMAU(月間アクティブユーザー)数比較。

主要11タイトルの、2020年6月時点でのMAU(月間アクティブユーザー)数比較。

画像:App Apeが推計したデータをもとにBusiness Insider Japanが作成

MAUのトップ3は、ツイキャス・ニコニコ生放送(ニコ生)・SHOWROOMです。

MAU1位:ツイキャス(月間229万ユーザー)

ツイキャスは、日本のライブ配信アプリの中では古参の存在で、名前の通りTwitterとアカウント連携して簡単に配信の告知ができることが特徴です。

ツイキャス

撮影:戸田彩香

配信の内容やクオリティもまちまちで、ツイッターと連携していることから、リアルな友人とのコミュニケーションにも使われています。最も配信のハードルが低く、ユーザーが多いプラットフォームです。配信用と閲覧用でアプリが分かれていることも特徴です。

MAU2位:ニコニコ生放送(月間174万ユーザー)

ニコ生は、ニコニコ動画の世界観を維持しながら、プロ野球や競馬中継の生配信など強いコンテンツを取り入れており、直近一年でのMAU成長率が約6.5倍と、大きく伸長しています。

この理由として、ニコニコ生放送アプリが、2019年7月にnicocasから名称を変更し、もともとPCで利用していたニコニコ動画のユーザーを取り込むことに成功したことが挙げられます。

ニコ生の特徴は、単にライブ配信にとどまらないサービスの「拡張性」です。放送自体を有料化できたり、プレミアムイベントのチケットやグッズを販売できたりなど、独自のポイントサービスと連携して、ファンと多様にコミュニケーションすることが可能です。

ニコ生のトップ画

ニコ動で人気な「やってみた」シリーズをライブ配信でコミュニケーションしながら行うなど、自由度の高い配信が魅力です。

撮影:戸田彩香

アイドルグループ・ももいろクローバーZのライブを配信した際は、本編は全員が視聴可能になっていましたが、アンコールのみ有料会員限定のコンテンツにするなど、会員セグメントごとにコミュニケーションを変えられることも特徴です。

コロナウイルスに関する質問に対し安倍晋三首相が答える生放送番組の配信を行うなど、地上波テレビに替わる公共性の高い番組も放送する、独自性の高いサービスです。

MAU3位:SHOWROOM(月間71万MAU)

MAU3位のSHOWROOMは、ライブ会場のようなインターフェイスが特徴のアプリで、同名の運営会社のミッションである「努力がフェアに報われる社会を創る」を体現するようにアマチュア枠と公式枠(プロ枠)をはっきり分けています。

SHOWROOMのトップ画

アマチュア枠から、アイドル枠、タレント・モデル枠、お笑い・トーク枠など様々な枠に派生しています。

撮影:戸田彩香

誰でも配信できるアマチュア枠での活動が評価されると、AKB48グループのメンバーなども配信する公式枠での配信が可能になるというモデルを採用しており、アイドル・芸人・モデルなど芸能人の卵の方々が積極的に配信を行っています。

上記3サービスが現状ユーザーは多いですが、急成長を遂げているものが他に複数あります。

PocochaにBIGO LIVE…“フリーミアム”新興アプリ

2020年6月時点での、MAU成長率(昨年同時期比)

2020年6月時点での、MAU成長率(昨年同時期比)。

画像:App Apeが推計したデータをもとにBusiness Insider Japanが作成

先ほど紹介したニコ生に加え、Pococha、BIGO LIVE、17LIVE(イチナナ)、ふわっちも急成長しています。上記4つのアプリは、共通した特徴があります。

  • タレント・一般人ともに同じ放送枠から始めることができる
  • 配信者(以下ライバー)に対し贈られるリスナーからのアイテム課金を受け取ることで、ライバー自らも収益が得られる
  • リスナーは自分だけの「推しライバー」を応援して次第に有名にしていくストーリーを体験できる

という点です。

それぞれのサービスの特徴を解説していきます。

Pocochaはソーシャルゲームやプロ野球チーム運営でも有名なDeNAが運営しているサービスで、ニコ生に次ぐMAUの成長率を誇っています。

sukusho,pokocha

Pococha Google Playより

Pocochaの特徴は、詳細なランク制とフィルターです。Pocochaのライバーは、配信の人気度によってランク分けされており、ユーザーの増加に合わせてきめ細やかに仕様変更をしています。

変更に関しては説明会や公式noteなどで意図を説明することで、ライバーの納得感と理解を生み出しています。またフィルター機能により、化粧がおっくうな女性ライバーも配信しやすく、毎日配信している積極的なライバーが多いです。

BIGO LIVEはシンガポール発のライブ配信アプリで、世界150カ国の国・地域で利用可能でユーザー数は2億人を超える巨大アプリです。日本での知名度はまだ高くありませんが、ニューヨークのタイムズスクエアに広告を掲載するなど、世界中でプロモーションを行っており、さながらライブ配信のTikTokのような存在です。

BIGO LIVE

BIGO LIVE Google Playより

BIGO LIVEの特徴は、海外のライバーの配信が見られたりリスナーがつくことと、ライバー同士での交流が配信で行える仕組みが整えられていることです。

9人まで同時に配信できるマルチゲスト配信ではライバー同士の絡みを観ることができ、サッカーのペナルティキックのように1対1で配信の盛り上がりを競うPK配信では、両ライバーのファンがここぞとばかりに応援するのを観ることができます。

有名キャバ嬢もライブ配信に参戦

17ライブ

17Live上で人気のイベント「新人ライバーの進撃」の歴代トップに並ぶ大阪、北新地のキャバクラ嬢「進撃のノア」さんと「みゆう」さん。共に若年層に人気で、Youtube、Instagramにもたくさんのファンを持つ。

撮影:戸田彩香

成長率で4位となっている17Liveは積極的なTVCMなどによって、国内でとても知名度が高いアプリで、「イチナナ」と呼ばれています。

台湾に本社があるM17 Entertainmentが運営しており、世界でもBIGO LIVEの次にユーザーがいるライブ配信アプリです。音楽配信に力を入れており、歌手などのライバーが多く配信しています。

17Liveはコロナウイルスの影響を受けて営業自粛をしていた、キャバクラなどの水商売で働いている人々の余暇時間の受け皿にもなっていたようで、北新地のクラブで働く「進撃のノア」さんや「みゆう」さんなど著名なキャバ嬢の方が参戦し、アプリ内イベントでもトップを取り話題になりました。

進撃のノアさんは17Liveで獲得した収益を全額寄付することを表明し、若年層からの支持を得ました。

進撃のノアさんが17Live上で1億ポイントを獲得した際のYouTube。大阪府に全額寄付すると発表した。

動画:進撃のノア shingeki noa

ふわっちは今回のアプリの中では最も知名度が低いサービスかもしれませんが、運営は2015年からと長く、個性的なユーザーがたくさんいることが特徴です。少しアングラな雰囲気もあり、ゆるく雑談をしたいという配信者・リスナーに人気のあるアプリです。

ふわっち

ふわっちでは一人旅の様子をひたすら流したり、パチスロを実況しながら中継するなど、独特な雰囲の配信が特徴です。

撮影:戸田彩香

ライブ配信は「新しい職業」になるのか

今伸びているPococha、BIGOLIVEなどのライブ配信アプリは、全て「ギフティング」と呼ばれるユーザー課金が主要なマネタイズとなっており、同時にライバーにとっては貴重な収入源となります。

ライバー事務所のPRIMEを経営している阿部伸宏さんによると、すでにライバーを職業ととらえる人も増えており、最初は副業としてライバーを始めた人が、人気が出るにつれて、徐々に本業として取り組むようになってきているとのことです。

特に最近は、コロナウイルスの感染拡大によってアルバイトのシフトが激減してしまった人や芸能活動の舞台が狭まってしまった人が、ファンコミュニティと副収入を獲得できる道としてライバーを選択し、徐々に配信自体を本業にしていくことが増えている、と言います。

17ライバー

看護師からライブ配信が「本業」になったライバーも。

撮影:戸田彩香

YouTuberとライバーは求められる能力が違います。

両者ともルックスは一定程度武器になりますが、YouTuberは動画の企画力や編集力が必要になり、ライバーであれば即応性やコミュニケーション能力が重要です。

動画視聴とライブ配信視聴の違いは、当然ですが目の前に相手がいることです。リスナーにとっても、配信を見ているとき他のリスナーと挨拶するなどのコミュニケーションをリアルタイムで取れる点がYouTubeとは異なります。

この「一対多」のコミュニケーションを行うコミュニティ自体の居心地の良さをいかに向上させるかがライバーにとっては重要な能力となります。

今まで、実店舗で働いてきたサービス業や接客業の従事者にとってライブ配信は、磨き上げられたコミュニケーション能力を活かして、新たな価値を生む場所になっていくのかもしれません。

(文・杉山信弘、編集・西山里緒)


杉山信弘:2013年中央大学総合政策学部卒業後、株式会社博報堂入社。大手製薬会社、アパレルメーカーのマーケティング効果、特にTV広告の効果最大化に従事。また、大手ファッション通販運営企業やゲームメーカーのマーケティング支援を担当。2017年8月フラー株式会社のチーフマーケティングオフィサー(CMO)に就任。コーポレート、サービス双方のマーケティングの統括を行う。2018年8月同社アプリ分析支援事業(App Ape)の事業責任者を兼務。直近の仕事は、国内最大級のモバイルアプリに関する式典であるApp Ape Awardの統括。


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