「ものすごく打ちのめされた」新型コロナウイルスに2度感染した29歳の男性がその辛さを語る

カーター・ライト

カーター・ライトさん。

Harley Lewis

カーター・ライトさん(29)は今年の春、悪い時期にニューヨークを訪れた。

「週が進むにつれ、全てがエスカレートしました」とライトさんはBusiness Insiderに語った。

「ブロードウェーは閉鎖されるし、ニューヨーク市は非常事態宣言を出しました。映画の始まりみたいな感じでした。テレビの前を通りかかったら、市長が非常事態を宣言して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するサインが表示され始めて……」

テネシー州ナッシュビルの自宅に戻った後、ライトさんには風邪のような症状が出始めた。3月26日、ライトさんは新型コロナウイルスに感染していることが検査で判明した。

そして7月上旬、のどの痛みと高熱が出た後、ライトさんは再び"陽性"となった。

「あの日の夜はものすごく泣きました」

ライトさんの経験は、新型コロナウイルスに感染した後、免疫がどのくらいの期間続くのか、疑問視する研究が相次いでいることと合致する。スペインのある研究では、抗体は回復してから2、3週間で消える可能性があるとしていて、症状が比較的軽かった人の中には免疫が長続きしない人もいるという。

「時の運」

COVID-19に最初にかかった時、ライトさんにはのどの痛みがあり、その後、微熱、鼻づまり、咳の症状が出た。視界に黒い点が表れ、それは今も続いている。

ルームメイトと生活しているため、食べ物を別々にし、お互いが触ったものは全て消毒して、距離を開けた。

「それぞれが触る場所を区切って、冷蔵庫の上の部分はぼくが、下の部分は友人が触るようにしました」とライトさんは語った。これまでのところ、ルームメイトはウイルスに感染していないという。

ライトさんの健康状態は3週間で改善し、リモートワークを始めた。ステイホーム中心の生活を送り、ルームメイトとボードゲームをしたり、テレビを観たり、裏庭でからだを動かしたりして過ごした。目の問題を除いて、ライトさんの体調は普段通りに戻った。

テネシー州のロックダウン(都市封鎖)が終わった後、ライトさんは公園で友人とソーシャル・ディスタンスを取った上で時間を過ごし始めた。COVID-19をすでに経験していたが、ライトさんはマスクの着用と他人とは約2メートルのソーシャル・ディスタンスを取ることを怠らなかったという。感染が大流行し始めて以来、外食もしていないし、5月25日に死亡したジョージ・フロイドさんの事件をきっかけとしたBlack Lives Matterの抗議活動でも顔を覆ったままでいた。

ところが7月3日、倦怠感を覚え始めた。それから2日もしないうちに、のどが痛過ぎて紅茶をすすることすら難しくなった。

「飲み込むのに、全身を使わないといけないくらいでした」とライトさんは話している。

カーター・ライト

ライトさんは7月8日、新型コロナウイルスの検査を受けた。

Carter Wright

最初は連鎖球菌も新型コロナウイルスも"陰性"だった。ところがその2日後、38度を超える熱が出たため、ライトさんの両親は救急で診てもらうよう息子に勧めた。7月9日、ライトさんが新型コロナウイルスに感染していることが分かった。

「結果を聞いてショックだったし、信じられませんでした。自分が結果を正しく読んでいるが確認するために、何度も繰り返し検査結果を読み返しました」とライトさんは話した。

2度目の感染は肉体的にも消耗したが、精神的にも辛かった。

「ものすごく打ちのめされたし、気が滅入りました」

今回はどこでウイルスをもらったのか、必死で考えているものの、心当たりは見つからないという。

「新型コロナウイルスで命を落とす人がいるという話も聞くし、感染しても元気な人がいるという話も聞くし、時の運という感じです」とライトさんは言う。

「ウイルスについては分かっていないことが多くて、自分の症状をどのくらい不安に思えばいいのか分かりません」

免疫はどのくらい続くのか

研究者が引き続き調べている最も差し迫った疑問の1つが、COVID-19から回復した人が未来の感染からどの程度、守られるかということだ。

これまでのところ、COVID-19は麻疹(はしか)やA型肝炎といった一度しかかからない感染症ではないことが示唆されている。イギリスの研究者による最新研究によると、抗体は3カ月も続かないだろうという。

米疾病予防管理センター(CDC)のウェブサイトには「過去のCOVID-19への感染がどの程度、どのくらいの期間、次の新型コロナウイルスへの感染から人々を守ってくれるか、わたしたちには分からない」とある。

抗体の存続期間は、ワクチン研究にも影響する。ワクチンの目標は、集団免疫を獲得するために一定の割合の人々に抗体を持たせることだ。

「ぼくのからだが、これがでっち上げでないことの証明」

ライトさんと友人

3月上旬、ニューヨーク市で友人たちと記念撮影。このうち、ライトさんを含む2人が新型コロナウイルスに感染した。

Handout by Carter Wright

ライトさんが住むテネシー州では、ビル・リー州知事が3月30日に自宅待機命令を出した。5月1日から段階的に経済活動を再開し始めたが、6月下旬以降、感染者数は急増している。州の保健当局によると、テネシー州では6月29日に初めて1日あたりの新規感染者数が2000人を超え、7月13日には3314人の感染が確認された。

ジョンズ・ホプキンス大学によると、ナッシュビルのあるデビッドソン郡はテネシー州の中で2番目に感染者が多い。郡のデータは、これまでに1万6000人以上が感染し、150人以上が死亡したことを示している。感染者の約62%を18~44歳の若い人々が占めているという。

ただ、これだけ感染者数が増えても、多くの人がいまだに新型コロナウイルスを深刻に捉えていないことに、ライトさんは落胆している。ナッシュビルでは、マスクについて不満を漏らしたり、ソーシャル・ディスタンスを無視したり、ウイルスを陰謀だと片付ける人々がいるという。

「そういう時は腹が立ちます」とライトさんは言う。

「ぼくのからだが、これがでっち上げでないことの証明です」

ひとりひとりに向き合う代わりに、ライトさんはインスタグラムに自身のCOVID-19の経験を投稿している。投稿は43万7000回以上シェアされている。

ライトさんは、連邦政府の行き当たりばったりの対応が多くの犠牲者を出す結果になったと考えているという。

「政府の対応のせいで人々の命が失われています。感染者数が急増しているのに、経済や学校の再開について話しているなんて、本当に腹立たしいし、不可解です」

ライトさんは、人々に適切な予防策を取るよう訴え続けている。

「マスクの着用、ソーシャル・ディスタンス、手洗いは公衆衛生にとって不可欠なもの。シンプルだけど、大きな違いが生まれます。公衆衛生を最優先するために、ぼくたちはアメリカの個人主義を横に置いて、コミュニティーとして、国として、本当に力を合わせる必要があると思います」

[原文:A Nashville man reveals what it's like to get the coronavirus twice: 'It's extremely overwhelming and daunting'

(翻訳、編集:山口佳美)

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