2018年12月からスタートしたLINEの「SHOPPING GO」が2020年8月末で終了する。
撮影:小林優多郎
LINEは7月27日、ビックカメラグループやアースミュージック&エコロジーなどの実店舗の買い物でLINEポイントが貯められる「SHOPPING GO」を8月31日に終了すると発表した。
8月末日までの買い物で発生するポイントに関しては、9月末もしくは10月末までに付与される予定。
新型コロナで実店舗への客足が減少
SHOPPING GOはLINEアプリから呼び出せる「第2のポイントカード」といったサービスだった。
撮影:小林優多郎
SHOPPING GOは、ビックカメラグループやヤマダ電機など既に自社や別の共通ポイントを展開している店舗でも、LINEアプリ内のバーコードを提示することでポイントの「2重取り」ができるサービス。事業者としては、月間国内アクティブユーザー数8400万人いるLINEユーザーに対して、実店舗へ誘致ができる手段の1つだった。
しかし、このコロナ禍において、実店舗へ足を運ぶユーザーは減少傾向にある。LINE広報は「新型コロナの影響で、当初予定していた数値には達していない部分はあった」としている。
ただし、広報は「成長過程で想定していた目標には推移していた」と、新型コロナウイルス感染症拡大が直接的な原因ではないと否定。同様の仕組みでオンライン店舗への誘導を行なう「LINEショッピング」は巣ごもり消費増加の影響で伸びているため、「事業全体を見たときの影響は少ない」としている。
SHOPPING GOは苦戦していた?
2018年12月のサービス当初に、アースミュージック&エコロジー店頭にあったPOP。
撮影:小林優多郎
LINEは5月から始めた「LINEポイントクラブ」の開始など、LINEポイントを1つの軸とした経済圏を確立しようとしているが、なぜそんな中でSHOPPING GOを辞めるのか。
考えられるのはユーザーの利便性と加盟店数の問題だ。SHOPPING GOは確かにおトクではあるが、ユーザーは購入時に店舗のポイントカードなどと一緒にSHOPPING GOのバーコードをスマホで提示する必要があり、そこからまた決済アプリの起動や現金やクレジットカードなどを取り出すと考えると非常に煩雑だ。
また、店舗側もレジなどのPOS端末の改修が必要で、昨今のQRコード決済の一部のように“手軽に導入できるソリューション”ではなかったことがわかる。
ユーザー側にも加盟店側にもやや手間の多いソリューションだった。
撮影:小林優多郎
LINEはSHOPPING GO単体の会員数や利用状況、加盟店数などを公開したことはなく(公式アカウントの友だち登録数は約1342万5600人)、ユーザーと加盟店の拡大に苦戦していたのではないか。
そこにこのコロナ禍によって客足が渋った……となれば、同じく送客や実店舗でのLINEポイント付与が可能な「公式アカウント(旧LINE@)」や「LINE Pay」に注力した方がよいと判断するのは自然な流れだ。
LINEは、今後のOMO事業(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)について、LINEショッピングはもちろん、3月に資本業務提携を結んだ「出前館」事業に注力する方針だ。
(文、撮影・小林優多郎)