ツイッターの最高人事責任者(CHRO)、ジェニファー・クリスティ。
- 5月12日、ツイッター(Twitter)のジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は従業員に対し、新型コロナウイルスによるロックダウンが解除されたあとも恒久的に在宅勤務を維持する考えを明らかにした。
- Business Insiderはツイッターの最高人事責任者(CHRO)、ジェニファー・クリスティに取材。他社に先駆けてフレキシブルな在宅勤務制度を導入した同社が、2年間で得た知見について聞いた。
- クリスティは、リモートワークを成功させるカギとなるのはマネジャー(管理職)の役割であり、その訓練とサポートに全力を注ぐべきと語ってくれた。
ロックダウン解除後もリモートワークを恒久的に続けることを明らかにしたツイッターに続き、他のテック大手も在宅勤務の延長を発表している。
例えば、グーグルは2021年夏まで在宅勤務を認めるという。しかし、ツイッターの判断はリモートワークを「奨励」するという意味で群を抜いている。
ツイッターの人事責任者を務めるジェニファー・クリスティは3年ほど前にジョイン。そのほぼ1年後に、ツイッターは在宅勤務制度を導入した。そこから永久リモートワークへの移行までを見てきた彼女は、どうやったら適切に実施できるかをよく知っている。
Business Insiderとのインタビューで、クリスティはリモートワーク環境で従業員をマネジメントするための5つのコツを教えてくれた。
1.リモートでもチームマネジメントできる環境をつくる
「管理職がサポートを必要としているということは、いくら強調しても足りないくらい」クリスティはそう語る。
リモートワークを広げるカギとなるのはマネジャーの存在だ。管理職がビデオ会議だけではチームスタッフをマネジメントするのが難しいと感じるようだと、リモートワークはたいていうまくいかない。
だからこそ、会社はリモート環境でも管理報告が円滑に行われるよう、スタッフを教育する必要がある。管理職が会社から十分なサポートを受けられていないと感じるようでは、その管理下にあるチームも推して知るべしだ。
もしあなたが管理職なら、チームに適切な人材なりリソースなりをふり向けてくれるよう、上司に依頼するのがいいだろう。
2.チームを信じる
常に管理職に監視されていると感じるようなピリピリした状況で働いても生産性はあがらない(写真はイメージです)。
REUTERS/Temilade Adelaja
ある年代の人たちにとって、在宅勤務はサボるのとほぼ同義に聞こえる。それはそれとして、管理職はリモートワークをしているスタッフを細部にわたって管理しようと考えないほうがいい。そんなことをすれば、スタッフたちは監視されているような気になり、無用の緊張を生むことになる。
「自宅で仕事をしたら人間まで変わってしまうとは、私には思えない」とクリスティ。ハードワーカーは自宅で仕事をしたら、おそらくもっとハードに働くというのが彼女の見立てだ。
「すべての従業員が、自らの業務遂行について説明する責任を負っている。もしそれができていないなら、取り組むべき問題がどこかにあるということになる」(クリスティ)
スタッフの仕事ぶりを逐一チェックするより、管理職はむしろそれぞれの仕事の範囲と責任を明確にすることに時間を割くべきだ。そうすることで、スタッフたちは何かするたびにいちいち報告する必要がなくなる。
3.仕事と生活の線引きをする
オフィスの出入りがなくなると、仕事とプライベートの線引きが曖昧(あいまい)になりがちだ。もしあなたが管理職なら、自らそのあたりの線引きをしっかりすることで、チームのスタッフもメリハリをつけて働けるようになる。
4.人事担当者と連携してスタッフの意欲を維持する
人事担当者の存在はリモートワークの重要な要素。従業員にリモート環境でしっかり働いてもらうためにはどうしたらいいか、アドバイスを求めるべきだ。
人事チームはとくに、スタッフの(身体的・精神的)健康を気づかう上で力になってくれる。長期間にわたる在宅勤務で健康を害する人は多い。少なくとも1日1回は健康に問題ないか確認し、働いていて何か問題はないか話し合うのが望ましい。
5.オフィス再開後、在宅ワーカーを「二流市民」にしない
オフィスに復帰した従業員は、在宅ワーカーを「二流市民」とみなす傾向がある。管理職はそうした分断を防がなくてはならない(写真はイメージです)。
REUTERS/Raneen Sawafta
すでにロックダウンや外出自粛は解除され、すでにオフィス再開の準備を始めている企業もあるが、経営幹部も管理職も、どうやって移行するのか明確なプランを用意しておく必要がある。
この点について、クリスティは、在宅勤務とオフィス勤務の「公平な条件(level playing field)」を定めたプランを策定すべきと強調する。
従業員たちはオフィスに復帰すると、在宅勤務を続けている同僚たちを「二流市民」とみなすようになる可能性がある。廊下での立ち話を避けたり、ミーティングでの発言にきちんと耳を傾けなくなるといった具合だ。
管理職はオフィス再開後も(ビジネスチャットやコラボレーションツールなどに)毎日ログインし、在宅勤務とオフィス勤務の両方のスタッフが同じチームの一員と感じられるよう、オンラインのソーシャルイベントを開催したり、配慮する必要がある。
もちろん、何らかの決定をするときには、在宅勤務スタッフに意見を求めることも忘れてはいけない。
(翻訳・編集:川村力)