米下院の反トラスト小委員会の委員長を務める民主党のデービッド・シシリーニ議員(左)とフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO。
Graeme Jennings/Pool via Reuters; Stephen Lam/Reuters
- IT業界の反トラストに関する公聴会で、議会はフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOに対し、インスタグラムとWhatsAppを買収したことについて厳しく追及した。
- 公聴会で公開されたテキストメッセージや社内メールからは、ザッカーバーグが両アプリを、フェイスブックの事業に悪影響を及ぼす可能性のある競合製品と見なしていることが明らかになり、両社の買収は一部、それらを「中和する」ための試みだと考えていたことがうかがえる。
- アメリカ下院司法委員会の反トラスト小委員会による巨大テック企業に関する調査の一環で行われたこの公聴会では、アップル、アマゾン、グーグルのCEOがザッカーバーグとともに証言した。
- 反トラスト小委員会の委員長を務めるデービッド・シシリーニ議員は公聴会の後、ザッカーバーグの証言は「古典的な独占行動」の兆候を示しており、フェイスブックを解体すべきだと考えていると述べた。
7月29日、巨大テック企業を対象とした反トラスト公聴会が行われ、議長を務めた下院議員は、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)の証言は「古典的な独占的行動」を示しているので解体すべきだと述べた。
民主党のデービッド・シシリーニ(David Cicilline)議員は、29日の夜に Axiosのポッドキャストで、フェイスブック(Facebook)が反競争的な行動の最も明確な形を示したと述べた。シシリーニ議員はAxiosに対し、ザッカーバーグによるインスタグラム(Instagram)とWhatsAppの買収は、フェイスブックが競合他社をコントロールするための手段として行われたと語った。
「その結果、彼は市場での優位性を維持し、拡大した。これは典型的な独占行為だ」とシシリーニはインタビューで述べている。
公聴会では、フェイスブックの社内の膨大な電子メールやテキストメッセージが、インスタグラムとWhatsAppの買収が反競争的な意図を持って行われたことを実証するために公開された。議員たちは、そのデータによって、当時のザッカーバーグとフェイスブック幹部の考え方を示そうとしたのだ
「ザッカーバーグ氏がこの公聴会で認めたように、フェイスブックについては、WhatsAppとインスタグラムの買収は、競合企業を買収し、その独占力、つまり支配力を維持するための戦略の一環だったと思う。それは典型的な独占行為だ」をシシリーニは繰り返した。
ザッカーバーグはThe Vergeが2012年に入手した電子メールで、インスタグラムを「脅威」と言い、買収することがその成功を無効にする方法かもしれないと話していた。インスタグラムの共同創設者であるケビン・シストローム(Kevin Systrom)も、フェイスブックによる買収提案に同意しなければ、ザッカーバーグが「破壊モード」に入るのではないかと懸念していたという。
公聴会でザッカーバーグは、フェイスブックがインスタグラムを「競争相手であり、当社のサービスを補完するもの」と見なしていたことを認めた。
フェイスブックが2012年にインスタグラムを、2014年にWhatsAppを買収した当時は、異議を申し立てられていなかったが、公聴会では同社の歴史が厳しく追求されることになった。
ザッカーバーグは、アップル(Apple)、グーグル(Google)、アマゾン(Amazon)のCEOとともに議会に登場し、反トラスト法違反の可能性があるかどうかについての議員の質問に答えた。シシリーニ議員は公聴会の後、その中からフェイスブックに目をつけたようだ。
シシリーニ議員はAxiosに対し、委員会の報告書は8月末か9月初めに発表されると述べた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)