ファイザーCEO「ワクチン開発から利益を得るべきではないというのは間違った考え」

ファイザーのアルバート・ブーラCEO

ファイザーのアルバート・ブーラCEO

AP Photo/Pablo Martinez Monsivais

  • 世界保健機関(WHO)によると、現在164のコロナウイルスワクチン開発プロジェクトが進行中だという。
  • ファイザーは、ドイツを拠点とする製薬企業ビオンテックと共同でコロナウイルスワクチンを開発中で、この秋に使用できることを目指している。
  • アメリカの議員の中にはワクチンを原価で販売するよう要請する人もいる。
  • ファイザーのCEOは最近のインタビューで、企業がワクチンから利益を得ることを擁護している。
  • 日本政府は7月31日、2021年6月末までに6000万人分のワクチンの供給をファイザーから受けることで基本合意したと発表した。

アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認取得に向けてコロナウイルスワクチンのテストが進められる中、医薬品大手のファイザー(Pfizer)のアルバート・ブーラ(Albert Bourla)CEOは、「企業はワクチン開発から利益を得るべきではない」という意見に異を唱えた。

「非常に間違った考え方だと思う」とブーラは7月28日、投資金融情報専門紙バロンズ(Barron's)に語った。

「診断方法を開発してきたのは民間企業であり、さらに治療方法やワクチンの開発も進めているのも我々だ」

ファイザーは最終段階となる第3相試験を7月27日に開始した。ブーラによるとワクチン開発は「細心の注意を払って進められている」という。

ワクチンの緊急使用が承認されれば、ファイザーは1億回分のワクチンをアメリカ政府に供給することになる。政府はそれに対して19億5000万ドル(約2000億円)を支払うので、1回の接種の費用は19.5ドル(約2000円)だ。

秋までにワクチンを完成させたいと考えているのは、ファイザーだけではない。

モデルナ(Moderna )やイギリスの製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)とオックスフォード大学の共同研究も、緊急使用に向けてワクチン開発を順調に進めている。FDAからの承認が得られれば、医療従事者や高齢者など、ウイルス感染リスクの高い人々が接種することになるだろう。

コロナウイルスワクチンが市場に出回った場合、企業がそこからどれだけの利益を得るのか、はっきりとしたことは分かっていない。

公共ラジオ局のNPRによると、イリノイ州選出の下院議員、ジャン・シャカウスキー(Jan Schakowsky)は7月21日、政府からワクチン開発のための補助金を受けた企業に対してワクチンを原価で販売するよう要請したという。これに対する反響はさまざまだが、ファイザーはワクチン開発に政府資金を利用していないという点は留意しておく必要がある。

「パンデミックの間、我々は最低価格で対応してきた」とブーラはバロンズに語った。

「アメリカで販売されているハイテクを駆使して製造されたワクチンの中では、かなり安価なものになる」

一方、アストラゼネカはワクチンを無償で政府に提供すると約束している。またジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)はパンデミック時の緊急使用のために「非営利的な価格」で提供するとしている。

(編注:日本政府は7月31日、ファイザーから2021年6月末までに6000万人分のワクチンの供給を受けることで基本合意したと発表した)

[原文:Pfizer CEO defends the idea of companies profiting off coronavirus vaccines

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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