KDDIはオンラインで2020年第1四半期決算会見を開いた。
出典:KDDI
KDDIは7月31日、2020年第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比でほぼ横ばいの1兆2427億円、営業利益は13%増となる2907億円と減収増益となっている。
数字だけを見れば、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が感じられない好決算に見えるが、KDDI社長の髙橋誠氏は会見で「若干焦っている」とその心中を語った。
5Gをスタートしたものの「出鼻をくじかれた」
KDDIの第1四半期決算のハイライト。
出典:KDDI
KDDIが増益でも素直に喜べない理由を端的に表しているのは、営業利益の増減要因だ。
決算資料によると、KDDIが成長領域としてあげている金融分野などのライフスタイル領域や法人向けビジネスなども押し上げているが、それ以上に代理店等に支払う「端末販売コストの減少」が大きい。
「端末販売コスト」の減少が、営業利益を押し上げている要因の1つ。
出典:KDDI
要は、端末の販売台数が大幅に減少しているのだ。KDDIの個人向け端末の販売台数は2020年第1四半期で約150万台と前年同期比で約23%減となっている。
また、髙橋社長はとくに2020年3月から開始した5Gサービスと端末について「出鼻をくじかれた」と苦い表情を浮かべた。
KDDIは5G対応スマートフォンを、高価格帯から中価格帯までの9台をラインナップしているが、新型コロナの影響で店頭での案内ができないだけでなく、当初予定していた5Gを体験するための関連施策が軒並みキャンセルになっている。
KDDIは2020年3月以降、累計9台の5G端末を発表しているが、その販売状況は厳しい(2020年3月撮影)。
撮影:小林優多郎
一般消費者も詳しい人などでない限り、現在の4Gと比べた際の5Gの優位性などは、イベントなどで体感したり、プロフェッショナルである店舗店員に解説してもらわなければ、理解しづらいところがある。
ある通信業界関係者は「足下の数字が明るくても、先行きが見えない状況」と話す。髙橋社長は会見で「今年(2020年)秋から再出発したい」とした。
(文・小林優多郎)