日本コカ・コーラはラベルレスボトルを拡充する。
提供:日本コカ・コーラ
日本コカ・コーラはペットボトル飲料製品のラベルがない“ラベルレス製品”を拡充し、8月3日に発売開始した。「綾鷹」「爽健美茶」「カナダドライザ・タンサン・ストロング」の3製品を、EC(イーコマース)サイトでケース単位(1ケース24本入り)で販売する。新型コロナウイルスの影響もあって在宅が増え、ECサイトを通じてペットボトル飲料の購入が急増したことも明らかにした。
新型コロナがネット通販を後押し
ネット通販による清涼飲料市場は年々伸びていた。
出典:8月3日のオンライン会見
8月3日のオンライン会見で、日本コカ・コーラでEC担当の太田貴史氏は、Amazon、楽天市場、ヤフーショッピングといったECサイトを通じたネット通販が、新型コロナウイルスにより大きく伸びたと説明した。
「コロナの影響で、消費者の在宅時間がこれまでより増え、さらにはテレワークなど新しい生活様式の導入も増加している。ケース単位でネット通販で購入する消費者が増えている」
また、購入数量の増加だけでなく、初めてネット通販を利用して購入する消費者も増えているという。
日本コカ・コーラによると、ネット通販の清涼飲料市場全体は2014年以降、年約10%で成長しており、2019年は約1900億円規模と分析する。2020年上半期は市場全体が昨年同期比で30%以上伸びているが、同社の飲料製品の製造や販売を担うボトラー5社などから見ると昨年同期比46%増だった。
日本コカ・コーラでEC担当の太田貴史氏。
提供:日本コカ・コーラ
家庭内消費の需要拡大は、製品別では天然水や健康志向消費者向けの特定保険用食品(トクホ)にも大きく影響した。
日本コカ・コーラと、ボトラー5社で作るグループ体、コカ・コーラシステムの2020年上半期におけるネット通販で、特に売れたのが「綾鷹 特選茶」「からだすこやか茶W」「コカ・コーラプラス」といったトクホ製品と、「い・ろ・は・す 天然水」だった。
「在宅勤務やステイホームによる運動不足や体調管理を背景として、多く注文したと分析しています」(太田氏)
トクホ製品の2020年上半期のネット通販出荷数量は前年同期比71%増だったという。
手間いらずにエコなラベルレスが消費者の心を掴んだ
左から「綾鷹」「カナダドライザ・タンサン・ストロング」「爽健美茶」。通常であれば製品名や目を引くようなデザインのラベルをするが、ネット販売向けにラベルを無くしている。
提供:日本コカ・コーラ
一方で、初のラベルレスとして4月13日にネット通販限定で発売したのが「い・ろ・は・す 天然水」だった。コロナの流行以前から企画していた製品だったが、結果的にコロナによって、ラベルレスを後押しした。
ラベルを無くすことで、剥がす手間が無くなり、ゴミ分別も楽になる。これが消費者の心をつかんだ。天然水のネット通販出荷数量は伸びていたが、ラベルレスが大きく貢献した。同製品の2020年上半期のネット通販出荷数量は、前年同期比で69%増となった。
これを「ラベルレスのニーズは高い」(太田氏)と捉え、今回さらに「綾鷹」「爽健美茶」「カナダドライザ・タンサン・ストロング」の3製品をラインナップに加えた。
2020年上半期はネット通販で、トクホ製品と天然水が大きく伸びた。
出典:8月3日のオンライン会見
自販機にはマイナス影響
一方で、新型コロナによる影響で、これまでの販売の多くを占めた自動販売機を通じた購入は減少している模様だ。具体的な数字は明かさなかったが「オフィス等にある自動販売機は影響はある」(日本コカ・コーラの担当者)とした。
新型コロナウイルスによる影響が続く限り、今後も家庭内需要、ネット通販を通じた購入は増えるとみられるが、さらにコカ・コーラやアクエリアスといった他の飲料製品まで広げるかは「現時点では特に予定は無い」(日本コカ・コーラの担当者)。
なお、コカ・コーラは国際オリンピック委員会(IOC)のワールドワイドオリンピックパートナーだが、2032年まで契約を結んでいる。東京オリンピック・パラリンピックの1年延期による影響による再交渉はなく、日本コカ・コーラの担当者は「これまで通り(東京オリパラに向けた)体験活動などに変更はありません」と答えた。
(文・大塚淳史)