eスポーツに強い関心を示した日本フェンシング協会の太田雄貴会長。
8月4日のオンライン会見より。
「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」「Fortnite(フォートナイト)」上でフェンシングの試合を配信する?
日本フェンシング協会の太田雄貴会長が8月4日、eスポーツ大会発足会見のパネルディスカッション「withコロナ時代における『スポーツ』と『eスポーツ』」に登場し、人気オンラインゲーム上での試合配信の可能性を言及した。
この日、eスポーツのトライアウト大会「スカウトリーグ」の発足会見がオンラインで行われた。プロのeスポーツ選手は世界大会に優勝すると数億円を稼げ、今や子どもたちの、将来なりたい職業ランキングで上位に入る。日本国内だけでも多くの選手やチームがある。
子ども達から将来の職業としてプロゲーマーは人気が高い。
出典:8月4日のオンライン会見の資料より
人気eスポーツゲームはプラットフォームになり得る
歌手・米津玄師は8月7日に、フォートナイト上でライブを行う。
フォートナイトのYouTube公式チャンネル
会見に登場した太田会長は、実はそこまでオンラインゲームやeスポーツに精通はしていないという。しかし、eスポーツの発展性や人気、そして技術には注目している。
太田会長自身、アイデアマンとして、フェンシングの大会を劇場で開催したり、LEDを用いた演出を取り入れるなどを行ってきたこともあって、eスポーツへの関心を高めた。
太田会長は、8月7日にオンラインバトルゲーム「フォートナイト」上で行われる歌手・米津玄師のライブを例に挙げ、同様にスポーツの試合配信の可能性にも言及した。
「実はゲームを楽しむだけではない。フォートナイトがプラットフォーマーとして(音楽ライブなどコンテンツを)取りにくる。僕らも、試合の配信をテレビでやるのではなく、フォートナイトやあつ森の中でやった方がいいんじゃないかと(今後)必ずなるでしょう」
eスポーツで世界的人気のフォートナイトでは、海外の人気歌手たちが音楽ライブを行っている。
MarshmelloのYouTube公式チャンネルより
2020年4月にあったトラヴィス・スコットのフォートナイト上でのコンサートには、同時接続者数が1000万人を超えた。
トラヴィス・スコットのYouTube公式チャンネル
フォートナイトやあつ森のようなオンラインゲームでは、仮想空間上に自分のキャラクターを動かして、友人とのコミュニケーションも楽しめる。フォートナイトでは、海外の歌手やDJがライブを行っており、仮想空間上でキャラクターを動かしたり、友人と一緒に観戦する楽しめる。
今年4月にフォートナイトで開催した、海外の人気歌手トラヴィス・スコットのイベントでは、同時接続者数が1000万人を越えて話題になった。
「結局、目の数(視聴者数)が多いところが覇権を取るという世界のトレンドの中で、今はYouTubeだが、もしフォートナイトの方が多ければ、(スポーツの試合配信なども)そっちになる。プラットフォームとして、ゲーミング(のプラットフォーム)は絶対外せない」(太田会長)
日本だけで無く海外でも人気のニンテンドースイッチのゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」。
Joni Hanebutt / Shutterstock.com
スーファミで釣られた太田会長
実は太田会長がフェンシングを始めたきっかけはゲーム。親からスーパーファミコンで釣られた。
「『がんばれごえもん2』と『スターフォックス』のソフト2本を買ってもらったんですが、フェンシングの練習でほとんどやれませんでした。また、eスポーツにこう絡むのは、(子どもの時のように)ゲームに戻ってきたなという感じ。eスポーツの方々からすると、こいつわかってねーなという人間ですが、これからeスポーツのことを勉強していきたい」
スカウトリーグを発足する目的
トライアウト大会「スカウトリーグ」が業界の入り口としての役割を果たすのを目指す。
出典:8月4日のオンライン会見の資料より
スカウトリーグを運営するワンダーリーグの北村勝利社長は、トライアウト大会の意義をこう説明した。
「今後も(eスポーツ業界は)盛り上がると予想されるが、業界の課題として、業界を志す子どもたちを受け止める仕事の量だったり、情報が未整備だったり、業界としての入り口がなかなか見つけづらい。こういったところを整備できないかと大会を立ち上げた」
eスポーツ業界はまだまだ未整備だという。
出典:8月4日のオンライン会見の資料より
チームも選手も、使われるゲームも多岐に渡る中で、せめて入り口だけでも分かりやすくしたい。プロ野球やJリーグに合同トライアウト、芸能界には「ホリプロスカウトキャラバン」など大規模オーディションがあるように、eスポーツ業界にもチームや企業のスカウトたちから、まだ見ぬ原石を発掘しやすい場があってもいい。
こういった北村社長の考えが、スカウトリーグの発足へと繋がった。
今や日本には無数のeスポーツチームがあるが、チームごとにゲームが異なる。
出典:8月4日のオンライン会見の資料より
スカウトリーグの主催大会と、強豪eスポーツチームとの共催大会を合わせて、年間50試合を予定する。ゲームの実力を競うプロゲーマー、ゲームをしながら実況するプロストリーマー、この2部門での人材発掘を支援する。
第1回大会は9月に開催する予定だ。
(文・大塚淳史)