「ミスター」こと鈴井貴之と大泉洋(2018年8月1日早朝、HTB旧社屋裏口にて)
提供:HTB
北海道テレビ放送(HTB)は、人気番組「水曜どうでしょう」の最新作を10月28日から北海道ローカルで放送する。
カメラ担当の嬉野雅道ディレクターによると、今回放送される企画は2018年8月に実施した7年ぶりの海外ロケ。
嬉野ディレクター曰く、「久々のどうでしょう班4人(大泉洋、鈴井貴之と藤村忠寿チーフ・ディレクター、嬉野雅道カメラ担当ディレクター)だけの旅」で、同行スタッフなしの4人だけの旅は12年ぶりだという。
「ミスター」こと鈴井貴之と大泉洋(2018年8月1日早朝、HTB旧社屋裏口にて)
提供:HTB
2019年12月〜2020年3月には、6年ぶりの新作企画「北海道で家、建てます」を放送。この企画の最終夜(3月11日放送)の中で「もう一つの新作」の存在を明かしていた。
HTB広報によると「北海道以外の地域での放送は未定」だが、ネット配信サービス「HTB北海道onデマンド」などで配信を予定しているという。
HTBの“奇跡”……「水曜どうでしょう」とは
HTBは米国発の動画配信サービスNetflixとも協力しつつ、独自コンテンツの制作・配信にも力を入れる。
撮影:吉川慧
「水曜どうでしょう」は 1996年放送開始のバラエティ番組。HTBの“看板”コンテンツであり、今や全国区の人気となった北海道のスター・大泉洋の出世作でもある。
放送開始から24年、レギュラー放送終了から18年の時を経たが、今なお各地の地方局では「水曜どうでしょうClassic」として過去の名作が放送されいる。過去の企画をまとめたDVDも販売され、Netflixでも配信中だ。
「水曜どうでしょう祭」で発売されたグッズ。アニメ「エヴァンゲリオン」とのコラボや、番組に登場した小道具や名言をモチーフにしたグッズは話題になった。
YouTube「藤やんうれしーの水曜どうでそうTV」/吉川慧
番組の名場面をモチーフにしたグッズも根強い人気を誇る。
2005年、2013年、2019年にはファン交流イベント「水曜どうでしょう祭」を開催。のべ人数で初回は1万1000人、2回目は5万人超、3回目は2万9000人超の「どうでしょう藩士(ファンの通称)」が全国から札幌に集った。
東京発ではない、北海道のローカルコンテンツが全国区となったことで、地元への経済的な波及効果をもたらした好例と言えるだろう。
HTBのマスコット「onちゃん」を手にするHTB取締役兼東京支社長の福屋渉氏。福屋氏は「キャップ」の愛称で水曜どうでしょうファンにも知られた存在だ。
撮影:今村拓馬
2020年3月、HTBの福屋渉・東京支社長はBusiness Insider JapanのインタビューでDVDやグッズなどの放送外収入について「おおよそ1割超ですね。HTBは売上でみると大体120億ぐらいの企業です」と答えている。安定した収益の柱の一つとしても貢献しているようだ。
そんな「水曜どうでしょう」について、福屋氏は「『奇跡』ですよ、『発明』に近い」と語っている。
嬉野D「やっぱりどこか懐かしい」大泉洋「あの旅はもっと手ごたえがなかった」
「水曜どうでしょう」の出演陣とディレクター陣。2019年10月にはファン交流イベント「水曜どうでしょう祭」が6年ぶりに開催され、全国から多くのファンが札幌に集った。
提供:HTB
カメラ担当の嬉野雅道ディレクターは、最新作の放送予定発表を受けてメッセージを寄せた。
全文は以下の通り。
(※編注:「北海道で家、建てます」のネタバレを含みます)
みなさんこんにちは。嬉野です。
さて、昨年に続き今年も水曜どうでしょうは、秋に最新作を公開します。お待ちかねの今年の最新作は7年ぶりの海外旅企画です。それも久々のどうでしょう班4人だけの旅です。
水曜どうでしょうが同行スタッフを連れずに4人だけで旅をするのは実に12年ぶりのことです。いったいどんな旅になったのでしょうか。
昨年末から、11週に渡って公開された新作「北海道で家、建てます」は、撮影開始から公開まで3年もの時間が費やされるという異例の取り組みとなりました。
番組冒頭では、いきなりチーフディレクターが「正直、迷走してます」と、普通なら視聴者に聞かれないところでこっそり打ち明けるであろう内情を、カメラが回っている前で言い放つものだから「水曜どうでしょうのエンジン」を自認する大泉洋も度肝を抜かれて言葉を失うという、テレビバラエティー史上見たことのない幕開けとなり、その3年後のラストシーンでは、どうでしょうハウス完成披露に招かれた大泉洋が「実は自分が作ったどうでしょうハウスは2年も前に雪の重みで崩壊していた」と、VTRで真相を知らされ、またまた驚愕、最後の最後まで自分の想像を超えてくる展開に何を信じて良いのか分からなくなった大泉が「水曜どうでしょうは、怖い!」と怯えながら終わるという奇跡的名作となりましたが、今回の最新作は、まさにその雪の重みで水曜どうでしょうハウスが崩壊した半年後の夏にスタートさせた旅企画です。
旅に向かう途中「ところで藤村くん、あの企画はどうなってるんだ」と、撮影開始から1年半も経つのに未だに完成しないツリーハウス企画のその後を気にする大泉洋に全員で口裏を合わせて「もう完成しました」とうそをつき、はぐらかし続けた旅でしたが、そんな久々の旅ロケの印象を、大泉洋は前作の「北海道で家、建てます」も手ごたえのないロケだったが「あの旅はもっと手ごたえがなかった」と振り返ります。
しかし、そんな旅へ出たのは2年も前、2018年のことです。
どうでしょう班4人全員、自分たちがどんな旅をしてきたのか、もはや誰も覚えてはいない。はたして迷走ぶりは重症化しているのか、それは見てのお楽しみ。
でも、番組開始から24年経った今でも、水曜どうでしょうは、4人だけで旅をすると、やっぱりどこか懐かしい、いつか見た水曜どうでしょうの風景になるんだなぁと、今回の最新作を見て、あなたは感じるのかもしれません。
いずれにしても、お楽しみに。
(文:吉川慧)