アップル純正「マップ」アプリの新機能が日本初上陸。
撮影:伊藤有
アップルの純正の地図アプリ「マップ」が、大幅にアップデート。すでにiOS、iPadOS、macOSの各マップアプリで新機能が有効になっている。
このアップデートは6月に開催された世界開発者会議「WWDC2020」の新発表を踏まえて国内登場したもの。国別対応の新機能もあるため、国内向け実装は一部の機能にとどまるものの、日本初上陸の機能もある。
日本初上陸するアップル版ストリートビュー「ルックアラウンド」
日本初上陸するルックアラウンド。地図を見ながら実写の360度写真を見られる。全画面表示も可能。
作成:伊藤有
日本初上陸となるのが、アップル版のストリートビューとも言える「ルックアラウンド」。実は、アメリカ本土以外の国に展開するのは日本が初という機能だ。
これまで国内のマップアプリにはまったくなかったUIで、目的地をタップすると表示される「ルックアラウンド」または画面上の双眼鏡アイコンで、切り替えることができる。
機能的にはGoogleストリートビューとほぼ同じようなものではあるものの、地図と全天球写真を同時に見られる使いやすさは、新マップの方が上かもしれない。
対応地域は、現時点では東京を中心とした首都圏、大阪、名古屋、京都となっている。
地図が高精細化、徒歩ナビの最適化も
地図の通路表示が詳細になった。これは徒歩ナビなど日本特有の交通事情にあわせた案内の精度アップにもつながっている。
作成:伊藤有
見た目で大きなものは、地図の高精細化があげられる。
日本都市地域は公共交通が発達しているため、自動車が走る「道路」以外の通路が非常に多い。また、大規模な公園にも、人しか通れない通路が張りめぐらされている。
そういった細かなディテールが、最新のマップでは2D地図として再現されている。
見た目として、たとえば明治神宮などの大きなランドマークの通路が俯瞰(ふかん)できて、自分の位置が詳細に分かる……といったメリットもあるが、徒歩ナビの案内がより実際の最短距離に近くなるという実用的なメリットもある。
高精細な3Dランドマーク
3Dランドマークの一例。太陽の塔は頭上のアンテナのような造形もモデリングされている。
作成:伊藤有
マップのアップデートにあわせて、3Dランドマーク機能も高精細になった。たとえば、大阪・吹田にある万博記念公園の「太陽の塔」はこのとおり。頭上のツノのような造形までモデリングされている。
新国立競技場、山下公園の氷川丸や、その背後のマリンタワーといったランドマークもしっかりとモデリングされている。
2つの3Dデータが混在している?
なお、マップアプリでは以前から、フライオーバー(いわゆる3D地図)という機能として、航空写真を立体表示する機能が提供されている。いろいろ触るなかで気づいたのが、フライオーバーで使う3Dモデルは、今回の新しい3Dランドマークは別物だということ。切り替えると形やランドマーク周辺の造形が微妙違うほか、3Dランドマークでは見えなかった最新の建造物が、フライオーバーの方には3Dで存在するという、ある種の逆転現象も確認できた。
比較的新しい建物の場所で違いが確認できる。渋谷駅周辺では、ここ1年でオープンした建物は、3Dランドマークにはまだ存在していない。
作成:伊藤有
とはいえ、フライオーバーそのものもなかなか楽しい機能だ。改めて対応地域を見ると、国内のかなり幅広い地域に対応していることが分かる。特にランドマーク周辺だけ、というわけでもない。
在宅で過ごすことの多い今だからこそ、フライオーバーも含めた3D観光は、ちょっとした余暇時間の娯楽になるかもしれない。
(文・伊藤有)