インターネットが分裂の危機…中国の「グレート・ファイアウォール」に対抗、アメリカは「クリーン・ネットワーク」

アメリカのドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席・2019年6月29日、日本の大阪でのG20首脳会議中に行われた二国間会議で。

アメリカのドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席・2019年6月29日、日本の大阪でのG20首脳会議中に行われた二国間会議で。

Kevin Lamarque/Reuters

  • アメリカが先ごろ発表した計画は、中国国内の人々がほとんどのアメリカのウェブサイトやアプリにアクセスできないようにしている中国の「グレート・ファイアウォール」に対抗している。
  • この発表がテック業界を揺るがす一方で、シリコンバレーのリーダーたちは、かなり前からWWWが分断されて「スプリンターネット(splinternet)」化することに警鐘を鳴らしてきた。
  • 元グーグルCEOのエリック・シュミットも、中国とその他の地域との間でインターネットが分断されると予想していた。

状況はこれまで以上に「スプリンターネット(splinternet)」に近づいている。

テック業界のリーダーたちは、世界中の国家が他国のウェブサイトや製品をシャットアウトすることで、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)が終焉を迎える可能性があると長い間警告してきましたが、8月5日にトランプ政権が提案した新しい計画は、アメリカがその方向に一歩踏み込んだことを表している。

マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は、アメリカが「クリーンネットワーク」プログラムを計画していることを発表した。これは、アメリカ国内のアプリストアから中国製アプリを排除し、アメリカの企業が中国所有のクラウドサービスにデータを保存することをブロックするものだ。これは、現在進行形の米中紛争における最新のアクションで、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が、北京に本拠地を置くTikTokの所有者がアメリカの企業に売却しない場合、TikTokを禁止すると脅したことに続くものだ。

ポンペオ長官の述べた計画は、中国国内の人々がほとんどのアメリカのウェブサイトにアクセスできないようにする強力なコンテンツ検閲システムの「グレート・ファイアウォール」に対抗したものだ。

ロシアも同様に、世界の他の国からインターネットを遮断できるようにする実験を行っており、イラン、サウジアラビア、北朝鮮などの国はすでにオンライン上の他の国のコンテンツを検閲している。

「スプリンターネット」は新しいアイデアではないが、ここに来て現実味を帯びてきた

トランプ政権の計画は、自由で開かれた世界のインターネットから前例のない一歩を踏み出すことになるが、シリコンバレーは何年も前からバルカニゼーション(バルカン半島のように、互いに対立するような小さな地域・国家に分裂していくこと)したスプリンターネットを予想していた。

ドク・サールズ(Doc Searls)スティーブン・ルイス(Stephen Lewis)のような初期の技術系ブロガーは、2008年には早くもスプリンターネットについて言及し始めており、WWWを構築した自由で開かれた理想が、世界中の政府のアジェンダとますます対立してきていると指摘している。

ルイスは当時、アップル(Apple)やグーグル(Google)のような企業は、中立的でグローバルなインターネットを提唱するのではなく、さまざまな政府の規制に合わせて製品を変更することをまったく厭わないだろうと述べている。彼は、アップルがアメリカの国営ラジオのNPRを禁止している国では、iTunesのポッドキャスト・ライブラリからNPRの番組を進んで削除していると指摘していた。

「政府は今でも、18世紀後半から20世紀半ばにかけて定義された地政学的な実体や国境に従って世界を切り分け、それに応じてサービスやアクセスを分けている。どうやら、アップルも同じだ。アップルのやり方は、時代錯誤な国境を強化し、過去の分割を超越するためのインターネットの可能性を損なう」とルイスは書いている。

バラバラになるというよりも、2つに分岐

グーグルの元CEO、エリック・シュミット(Eric Schmidt)は、我々の知るインターネットは将来分裂すると予測している。

しかしシュミットは、インターネットが分裂することは、中国とその他の国々が分かれてしまうことほど重要ではないと述べている。

「最もありそうなシナリオは、分裂ではなく中国主導のインターネットとアメリカ主導のインターネットへの分岐だと思う」と2018年にシュミットは述べた。彼は、現在はアメリカ国防総省の顧問を務めているほか、多くのシリコンバレー企業とアメリカ軍との連絡役も担っている。

「中国に目を向けて見れば、成長する企業の規模、構築されつつあるサービス、そして、そこから生み出されている富は驚異的だ。中国のインターネット業界は、中国のGDPに占める割合がアメリカよりも大きい。アメリカも大きな数字なのだが」と彼は付け加えた。

シュミットは、アメリカの同盟国がアメリカと同じインターネットを使い続ける可能性がある一方で、他の国は中国のインフラを採用する可能性が高いと予測している。特に中国とインフラ構築ですでに契約を交わしているアジア、アフリカ、ヨーロッパにまたがる約70カ国は。

ポンペオ長官の発表には、アメリカの同盟国間で同様のパートナーシップを強化するよう求める意見も含まれており、「中国共産党による国家ぐるみの監視やその他の悪質な組織の攻撃から我々のデータを保護するために、この拡大する潮流」に加わるように促している。アメリカ国務省は声明の中で、すでに30カ国以上がワシントンによって「クリーンな国」に指定されていると述べた


[原文:Tech leaders have long predicted a 'splinternet' future where the web is divided between the US and China. Trump might make it a reality.

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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