ミドリムシの“しぼりカス”から「代替プラ」。ユーグレナが複合素材開発

ミドリムシ(ユーグレナ)を使ったバイオジェット燃料の製造などで知られるバイオベンチャー・ユーグレナは、バイオマス素材を元にしたプラスチックの研究などを行なっているバイオポリ上越と共同で、「ユーグレナ脂質抽出残渣」を50%含む「代替プラスチック」を開発した。

ミドリムシの残骸を有効活用

プラント

横浜市鶴見区に建設された、バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント。

提供:ユーグレナ

「ユーグレナ脂質抽出残渣」とは、ミドリムシ(ユーグレナ)からバイオ燃料の原料となる油成分をしぼり取った後に残る「残骸」のようなもの。こういった残骸は、燃やされたり、ゴミとして廃棄されたりしてしまうことが多い。

ユーグレナは、3月末から横浜市鶴見区にあるバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを稼働させており、ミドリムシを原料に次世代バイオディーゼル燃料の供給をスタートしている。

「(バイオ燃料の製造時に)副産物がたくさん出てきています。こういうものをできるだけ活用できないかという発想から、今回の開発が出てきました」

ユーグレナの研究開発担当・鈴木健吾執行役員は、今回の代替プラの開発背景をこう話す。

鈴木さん

ユーグレナ、研究開発担当の鈴木健吾執行役員。

提供:ユーグレナ

ユーグレナの取り組みは、いわゆる、『バイオリファイナリー』という考え方だ。

石油も精製時にはナフサや軽油、重油などのさまざまな成分に分離され、それぞれ活用されている。こうすることで、資源の有効活用ができることはもちろん、全体的にコストを下げることにもつながる。

また鈴木氏は、

「創業当初から、ミドリムシで二酸化炭素を吸収して温暖化を防ぐということや、地球上の食料の供給を担うということを目指してきました。二酸化炭素を吸収するミドリムシの用途を増やしていくことができれば、もっと(こういった課題の)解決に寄与できるのではないかということを考えていました。


2010年頃にバイオ燃料の需要が高まり、研究開発を進めて行く中で、プラスチック(の製造)は付加価値として可能性があるのはではないかと思っていました」

と話す。

従来から目をつけていた基礎研究が時代にマッチしたことで、今回の開発につながった側面もあるのだろう。

ミドリムシの成分が「プラスチックを強化」する

ユーグレナプラスチック

今回開発した複合素材によって作られたフォークとスプーン。右側の画像は、加工前のペレット。残念ながら、緑色ではない。

提供:ユーグレナ

今回発表した素材は、簡単に言うと、プラスチックにミドリムシの残骸を混ぜてできた複合素材。

成分の50%をミドリムシ(の残骸)として、それ以外の大半の成分は一般的なプラスチックの材料であるポリプロピレンからなる。プラスチックの一部をミドリムシに代替することで、消費されるプラスチック量を削減することを狙っているというわけだ。

原料の50%がミドリムシになるため、単純計算するとプラスチックの使用量は半分になる。

また、バイオ燃料の製造過程で出るしぼりカスを利用しているため、その分の原料費は実質ゼロ。そうなると、この複合素材の価格は残りの成分であるポリプロピレンをどの程度代替できるかにかかってくるといえる。

ただし、実際のコストは、バイオ燃料の製造コストも踏まえなければならないため、研究開発段階である現状では単純には計算できない。

試験結果

物理的特性の試験結果。試験規格JIS k7171により実施されたもの。

提供:ユーグレナ

ユーグレナは、今回開発した複合素材を使って、実際にスプーンやフォークなどのサンプルを作成。人の力程度の比較的強い力が加わる食器などの素材として十分に使えるものであることも確認している。

今回開発された複合素材は、一般的な100%石油由来のプラスチックと比べて、強く、硬くなっていることも、試験によって確かめられた

ミドリムシを混ぜただけで、なぜプラスチックの強度が上がるのか?

これには恐らく、ミドリムシの残骸の中に含まれる「パラミロン」という成分が関係している可能性が高いという。

実は、同社は、プラスチックの材料であるポリプロピレンに、ユーグレナに含まれる成分の一つである「パラミロン」を混ぜあわせることで、プラスチックの性質を高められるという特許技術を保有していた。

今回の複合材料の研究開発は、この特許技術の延長線上にあるものだといえる。

ミドリムシを起点に広がるビジネス

レジ袋有料化

経済産業省によると、レジ袋の有料化は「普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考え、ライフスタイルを見直すきっかけとすること」を目的としているという。

出典:経済産業省

代替プラスチックには、少なからずプラスチック以外の成分が含まれているため、リサイクルをする上で通常のプラスチック製品とまとめられないなどの課題は残る。

しかしそれでも、脱プラスチックの流れが世界で加速している中で、代替プラスチックは間違いなく選択肢の一つだ。

日本でも、7月1日からレジ袋が有料化されたが、バイオマス素材が25%以上配合されているといった条件を満たしたレジ袋は有料化の対象外となっている

鈴木氏も、「バイオマス関連の話はたくさん頂くことがあります」と、需要の高まりを感じているという。

今後、パラミロンだけを取り出して「プラスチック」の素材として使うことや、複合素材として活用する際の配合量を高めたり、素材の物理的性質を高めたりすることを目指して、基礎研究を進めていくことになるという。

文・三ツ村崇志

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