韓国カカオが絶好調の4〜6月期決算を発表した。ビジネスモデルは日本のLINEに近いが、赤字続きのLINEに対し、カカオはすでに十分な利益を出せる体制を確立している。
REUTERS/Thomas White/Illustration
2010年代にヤフーと合弁会社を設立、サイバーエージェントからも出資を受け、日本のメッセンジャーアプリ市場でシェア争いをくり広げた韓国カカオが、2020年4〜6月期決算を発表。売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。
日本市場では大きなシェアを獲得できなかった同社だが、メインサービスのメッセンジャーアプリ「カカオトーク」は、韓国を中心に2013年時点で登録者数(※アクティブユーザーとは異なる)が1億人を突破。
翌2014年には決済サービス「カカオペイ」をローンチさせ、その後も配車サービス、ネット専業銀行など矢継ぎ早に新分野への進出を果たし、利益を生み出すフェーズに移行している。
カカオの展開してきたビジネス群。2017年に設立したネット専業銀行「カカオバンク(Kakao Bank)」は2020年8月に月間アクティブユーザーが1100万人を超え、韓国最大規模に成長を遂げている。
出典:Kakao'IR Presentation June 2020'
新型コロナウイルスによる巣ごもり需要を背景にさらなる飛躍を果たしたカカオの決算内容を、以下に端的にまとめた。
「カカオトーク」の韓国における月間アクティブユーザー数は2020年4〜6月期の平均で4550万人を突破。2019年の人口が5165万人なので、国民の88%が利用していることになる。
カカオトークの月間アクティブユーザー(MAU)の推移。グローバルでは660万人程度と、国内に偏ったユーザー分布。
出典:KaKao 2Q20 Earnings Results
4〜6月期の売上高は「前年同期比30%増」の9528億ウォン(約857億円)で過去最高。
カカオの売上高の推移。プラットフォーム部門とコンテンツ部門がほぼ均衡。
出典:KaKao 2Q20 Earnings Results
営業利益は「142%増」の977億ウォン(約88億円)でこちらも過去最高。純利益は資産売却の影響で「369%増」の1452億ウォン(約130億円)。
カカオの営業利益と純利益の推移。
出典:KaKao 2Q20 Earnings Results
プラットフォーム部門の伸びが著しく「51%増」。
プラットフォーム部門(左)とコンテンツ部門の内訳。プラットフォーム部門の売上高の半分はカカオトークなどメイン事業から生まれるが、新規事業(NewBiz)の伸びの大きさにも注目だ。
出典:KaKao 2Q20 Earnings Results
プラットフォーム部門のなかでも、モビリティの「カカオタクシー」「カカオドライバー」と、金融の「カカオペイ」「カカオバンク」が急成長。これら新規事業の売上高は「149%増」。
決済や配車サービスなど新規事業(NewBiz)の成長が著しい。
出典:KaKao 2Q20 Earnings Results
新型コロナの影響で世界的トレンドになっているゲームや音楽は意外に伸びず。海外勢のほうが有利にビジネスを展開している模様だ。
コンテンツ事業にあたるゲーム(左)と音楽は横ばい。
出典:KaKao 2Q20 Earnings Results
日本展開のマンガアプリ「ピッコマ」が急成長、「前年同期比65%増」。
マンガアプリ「ピッコマ」の売上増(赤枠)が目立つ。LINEの親会社、韓国NAVERも同様のアプリ「Webtoon(ウェブトゥーン)」が伸びている。
出典:KaKao 2Q20 Earnings Results
(文:川村力)