中国の重慶にある鍾書書店。
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"書店"と言っても、その形やサイズはさまざまだ。大きい書店もあれば、小さな書店もある…… 船の上にある書店もあれば、銀行の金庫室の中にある書店もある。
何か読むものを探しているなら、売っている本と同じくらい独創的な店をのぞいてみるのはどうだろうか?
世界中の想定外の場所にある書店を見ていこう。
「水田書店(Paddy Field Bookstore)」は、中国・福建省の廈地村の水田の中に建つ空き家を利用した書店だ。
水田書店。
Chen Hao
この村には800年以上の歴史がある。もともとの建物からそのまま残っているのは、塗り土の壁だけだ。
芸術から社会科学まで、この書店には7500を超える出版物が揃う。水田や村を見渡せるカフェも併設されている。
水田書店。
Chen Hao
店には、古代村落の保護、農村教育、農業文明といったテーマに関する本が並んでいる。年間を通じて、美術展や映画の上映会、音楽イベントなども開催されている。
イギリスのロンドンにあるこのボートは、「ワーズ・オン・ザ・ウォーター(Words on the Water)」と呼ばれる水に浮かぶ書店だ。
ワーズ・オン・ザ・ウォーター。
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この店はリージェンツ運河に浮かぶ1920年代に作られたオランダ船の上で営業している。
冬の間も、船の中は暖かい。
ワーズ・オン・ザ・ウォーターの中の様子。
Sam Mellish/Getty Images
古典から現代のベストセラーまで、品揃えも豊富だ。
「エル・アテネオ・グランド・スプレンディッド(El Ateneo Grand Splendid)」は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにある歴史的な劇場の中にある。
エル・アテネオ・グランド・スプレンディッド。
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1919年に作られて以来、グランド・スプレンディッドは劇場、映画館と姿を変え、今では書店となっている。建物の大部分は、赤いカーテンの付いたステージや張り出し席を含め、最初に建てられた時のままだ。
書店になる前には、取り壊しの危機に瀕したことも。
エル・アテネオ・グランド・スプレンディッド。
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人気書店チェーンのGrupo Ilhsaがこの建物を救った。音楽的なルーツも完全には失われていない。ピアニストによる生演奏がしばしば行われている。
アメリカのロサンゼルスにある「ラスト・ブックストア(Last Bookstore)は、もともと銀行だった建物にある。"現金の山"が"本の山"に取って代わられた。
ラスト・ブックストア。
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店は客に探索してもらうようデザインされている。書棚はランダムに配置されていて、ハードカバーの本は著者でなく、表紙の色で整理されている。古本はさまざまな方法で積まれている。
銀行の名残は店内にそのまま残っている。
ラスト・ブックストア。
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店を訪れると、大理石の柱や高い天井に気付くだろう。よく見ると、奥の方に金庫室もある…… もちろん、いま入っているのは本だ。
カナダ、ブリティッシュコロンビア州の首都ビクトリアにある最大の独立系書店「マンローズ・ブックス(Munro's Books)」も、元銀行の中にある。
マンローズ・ブックス。
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この書店は、ノーベル文学賞を受賞したアリス・マンロー(Alice Munro)氏とその夫が作った。建物はもともとカナダロイヤル銀行だった。
中国の南京にある「先鋒書店(Librairie Avant-Garde)」の建物は、かつては防空施設で政府の駐車場として使用されていた。
先鋒書店。
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南京にある五台山体育場の下にある先鋒書店は、1999年にオーナーのQian Xiaohua氏が4万1000平方フィート(約3800平方メートル)の空間をリノベーションしてできた。学生にも観光客にも人気の書店だ。
この書店はオーナーの信仰を反映して、宗教関連の書籍が充実している。
先鋒書店。
Zhang Peng/Getty Images
書店の一角には大きな十字架が飾られているが、クリスチャンであるオーナーによると、知識こそ最も神聖なものだという。店内には、オーギュスト・ロダンの「考える人」のレプリカも置かれている。
イタリアのベネチアにある「リブレリア・アクア・アルタ(Libreria Acqua Alta)」は、世界でも数少ない、頻繁に起きる洪水に備えてレインブーツを持っていくべき書店の1つだ。
リブレリア・アクア・アルタ。
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店名は「高潮の書店」の意味だ。頻繁に起きる洪水から本を守るため、店では洪水が起きても水に浮かぶ、防水加工をしたたらいやバスタブ、ゴンドラに本を置いている。
外へと続く階段は、水で傷んだ本で作られている。
700年の歴史があるオランダ、マーストリヒトのこのゴシック建築の教会には現在、「セレクサイズ・ドミニカネン (Selexyz Dominicanen)」という書店が入っている。
セレクサイズ・ドミニカネン。
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もともとカトリックの教会だったこの建物は1790年代、ナポレオン・ボナパルトによって俗化された。ナポレオンはここを礼拝の場ではなく、装備品を保管したり、人員を置いておける場として使用した。建物は2005年にリノベーションされ、現在の姿になった。
「アトランティス・ブックス(Atlantis Books)」は、ギリシャのサントリーニ島のケーブハウスにある。 2人のイギリス人大学生が酔っぱらって、ここに書店を開くことを決めたのだという。
アトランティス・ブックス。
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決断から2年後、学生たちは数人の友人を集めて、ギリシャに引っ越した。店はそれ以来、ずっと営業していて、いつか自分たちの子どもが店をやるだろうとジョークを飛ばしている。
中国の重慶にある「鍾書書店(Zhongshuge Bookstore)」は階段と鏡の迷宮だ。
鍾書書店。
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この店は特に風変りだ。
天井の鏡がカラフルな店内を映し、万華鏡のようになっている。
[原文:10 bookstores built in strange places around the world, from boats to bank vaults]
(翻訳、編集:山口佳美)