Jリーグ・サガン鳥栖でクラスター発生。コロナ第2波との闘い「対応の難しさ」痛感

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8月12日夜、サガン鳥栖のチーム内でクラスターが発生し、状況を説明する竹原稔社長。

出典:8月12日夜に行われたサガン鳥栖のオンライン会見より。

スポーツ界が、新型コロナウイルスによる感染第2波に襲われている。

プロ野球では、8月1日に福岡ソフトバンクホークスの選手が新型コロナの感染が判明し、翌2日の埼玉西武ライオンズ戦が中止となった。その余波で2軍戦5試合が中止となっている。他チームからも、球団スタッフの感染者が判明している。

プロ野球以上に第2波に苦しめられているのがサッカー・Jリーグだ。

チーム内からの感染者が判明し、7月26日のJ1(1部リーグ)第7節・名古屋グランパス対サンフレッチェ広島、8月2日のJ2第9節・大宮アルディージャ対アビスパ福岡、8月12日のルヴァンカップグループステージ第3節サンフレッチェ広島対サガン鳥栖が開催中止となっている。

特に苦しい状況にあるのが、サガン鳥栖だ。まず8月10日に金明輝監督の感染が判明。それに伴い、選手・スタッフ89人を対象にPCR検査を実施したところ、8月12日に、トップチームのスタッフ3人と選手6人から陽性反応が出た。

クラスター発生を防げなかったのか?

8月8日、サガン鳥栖はアウエーで鹿島アントラーズと対戦。

JリーグのYouTube公式チャンネルより。

8月12日夜に急遽、オンライン会見を開いた、サガン鳥栖の竹原稔社長は、佐賀県がチームでクラスター発生していると発表されたことを明かし、「今は感染をこれ以上広げないために、より強固な自粛を行う。行政指導による濃厚接触の洗い出しに協力していく」と話した。

8月12日からトップチームの練習など活動自粛とし、8月25日まで実質休止となる方向だ。Jリーグからの正式な発表は13日午前11時時点でまだないが、期間内にあるサガン鳥栖の公式戦は中止となる可能性が高い。

サガン鳥栖のコロナ禍のチーム活動では、普段の練習から、マスク着用や三密回避の行動を義務づけていたという。

「クラブハウスのロッカールームでは、100%、マスクを着用しているし、ロッカールームは3箇所に分けていた。起こるべくして起こったと思われるかもしれえないが、選手はクラブハウスと家しか行ってないですし、監督も厳格に行動していた。コロナの対応の難しさがある」(竹原社長)

とはいえ、結果的にクラスターが発生し、8月8日には鹿島アントラーズとも試合をしている。報道陣から竹原社長に対して、認識や対策が甘かったのではないかという厳しい声も出ていた。

今回の発表を受けて、鹿島アントラーズ側は、13日にPCR検査の実施とスタジアムの消毒作業を発表している。

現状のJリーグガイドラインではすり抜ける、無自覚症状の感染者

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Jリーグが定めたガイドラインには、あらゆる事態を想定し、プロトコルが記してある。

出典:「Jリーグ 新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」より。

竹原社長は8月11日に、金監督の感染経緯、12日に選手とスタッフの9人の感染経緯を説明したが、改めて新型コロナの感染予防の難しさが見える。

例えば、金監督のケースについて、報道陣向けに開示された資料、Jリーグや竹原社長による説明をまとめると次の通りになる。

・8月8日:朝の体温36.3度、昼に微妙な違和感があり(※発熱および咳、味覚・聴覚障害等の症状はなし)。鹿島アントラーズとの試合で指揮。夜が36.4度。

・8月9日:
朝の体温36.4度、チーム練習に参加。倦怠感があり、夜に発熱し38度。

・8月10日:
朝の体温36.4度、チーム練習後に、倦怠感があり、佐賀県内の病院にてPCR検査を実施、午後3時にPCR検査の陽性判定、県内の病院で入院。

3日間の中で、金監督が発熱していたのは9日夜のみで、翌日には、薬を飲んだわけではなかったが、平熱に戻っていた。基本的には発熱が続いたわけではなかった。

さらに陽性が判明した9人のスタッフと選手の経過報告には、発熱症状が出たのは2人だけ。残りはずっと平熱のままで、体調不良や味覚・嗅覚障害がないと書かれている。

Jリーグは新型コロナウイルスの感染初期の段階に、プロ野球とともに新型コロナウイルス対策連絡会議を立ち上げた。そして、公式戦の再開にあたって、慎重な議論を重ね、73ページに及ぶガイドラインを作成した。

その中で、体温に関する記述は何カ所もあるが、基本的には体温37.5度以上が判断の基準になっている。今回のように、平熱で体調不良でなくても、PCR検査で陽性が判明している症例は、既に数多く報告されている。

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Jリーグのルヴァンカップ・サンフレッチェ広島対サガン鳥栖が8月12の試合当日に中止となり、急遽会見を開いたJリーグの村井満チェアマン。

出典:8月12日に行われたJリーグのオンライン会見より。

8月12日夕方に急きょ、会見を開いたJリーグの村井満チェアマンは、難しさを痛感していた。

「今回の新型コロナウイルスの難しさは、全くの無症状、全く熱が出ていない、自覚症状が全く出ていないこと。過去の(Jリーグによる)一斉検査の中でその存在を認識している。

感染防止が難しいと改めて認識している。全く症状がない人間に対して、予見するガイドラインは現状としては非常に難しい。公式の定期検査をしっかりやるのと、日常の行動管理という原理原則しかない」

ただ今後は、1日でも発熱があれば報告するのかなど、ガイドラインの変更について、専門家の方々と相談していくとした。

竹原社長は「かなり気を遣って活動していたが、プロスポーツでこういうことが起こったことで心配させてしまって、すいません。今はこの状況を乗り切ることを優しく見守ってほしい」と頭を下げていた。

日本全体が第2波に襲われている現状では、今後もプロ野球やJリーグも再び厳しい場面を迎えることになるかもしれない。

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日本プロ野球機構もJリーグ同様、感染予防のガイドラインを細かく定めている。

出典:「NPB新型コロナウイルス感染予防ガイドライン(有観客開催)」より。

(文・大塚淳史)

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