- ドイツの保健相が、ロシアの新しいコロナウイルスワクチンは 「十分な試験が行われていないため危険である」と警告した。
- ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は8月11日、試験が完了していないにもかかわらず、ロシアが安全であると主張するワクチンを承認した。
- ドイツのイェンス・スパーン保健相は、ワクチンを承認したロシアの行動は、それが安全でないことや効果がないことが証明された場合、人々が将来のワクチンに不信感を抱く原因になる可能性があると述べた。
ドイツの保健相は、ロシアの新しいコロナウイルスワクチンが適切にテストされておらず、安全性や効果がないことが判明した場合、人々が将来のワクチン接種に不信感を抱く可能性があると警告している。
ロシアのウラジミール・プーチン大統領は8月11日に、ロシア政府が世界初のコロナウイルスワクチンに承認を与えたことを発表し、すぐに量産を開始することを望んでいると述べた。
しかし、このワクチンは、安全性と有効性を実証するために重要で、通常は規制当局の承認を得る前に完了すべき第3相試験を完了していない。
ロイター通信によると、ドイツのイェンス・スパーン(Jens Spahn)保健相は、ドイツのラジオ局Deutschlandfunkに対し、「何十億人でなくても、何百万人もの人々に接種を始めるのは危険だ。ワクチン接種がうまくいかないと受け入れられなくなる可能性があるからだ。ロシアで起きていることについて私はとても懐疑的だ」と述べた。
「これがよいワクチンであればうれしい。しかし、我々が知っている限りの情報、つまりロシアがすべてを明らかにしていないことが根本的な問題としてあるのだが、その情報をもとに考えると、これは十分にテストされていない」と彼は語った。
スパーン保健相の発言は、アメリカの感染症研究の第一人者であるアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)の発言とよく似ている。ファウチは11日、モスクワが安全で効果的なワクチンを開発し、すぐに使用できる状態になったことについて「深刻な疑念」があると述べた。
ファウチは、アメリカでは数多くのワクチンが開発中であり、「もし多くの人を傷つけたり、効かないものを与えたりする危険を冒そうと思えば、来週からでも接種できるだろうが、それはできない」と述べた。
プーチン大統領は、ワクチンはテストを完了したと主張している。「私はそれが非常に効果的に働き、強い免疫を形成することを知っている。繰り返すが、このワクチンは必要な検査をすべてパスしている」と、彼は11日に述べた。彼は、彼の娘の1人がワクチンを接種しており、健康状態は良好だと付け加えた。
しかし、ファウチやスパーンのような専門家が警告を発しているということは、ロシアがライバルを出し抜くために手続きを「ショートカット」していることを浮き彫りにしている。
このワクチンは、アメリカを出し抜いてソ連が宇宙に送った人工衛星に敬意を表して「スプートニク5号」とも呼ばれている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)