「バーチャル背景としてのPowerPoint」はベータ版で、参加者側のアプリも最新のバージョン5.2にアップデートしていないと正しく表示されない。
撮影:小林優多郎
オンライン会議ツール「Zoom」の最新バージョン5.2が公開され、追加された新機能が注目を集めている。これまで、ただ画面を共有をするだけだったところに、プレゼンターを写しこんだり、大きさを調整するなどの演出が可能になったためだ。
Zoomの新機能と使い勝手をレビューしていこう。
1. スライドの上にプレゼンターを表示できる
表示される青い枠をドラッグ&ドロップし、表示するサイズや位置をカスタムできる。画面上のビデオのバーチャル背景もスライドになっている。
出典:Zoom、スクリーンショット:太田百合子
中でもベータ版ながら注目されているのが、PowerPointのスライドショーとプレゼンターを同じ画面上に表示できる機能だ。
Zoomには、既に自分の背景に写真や動画を合成できる「バーチャル背景」機能や、参加者にプレゼン資料など画面を共有できる「共有画面」機能がある。新機能はこれらの掛け合わせを可能にするものだ。
画面共有の際に「バーチャル背景としてのPowerPoint」を選択し、あらかじめ作成しておいたPowerPointスライド(PDFや画像ファイルは現状不可)を読み込むと、スライドをバーチャル背景のように自分の背後に表示できる。
画面のどの位置に自分を配置するかや、大きななどもドラッグ&ドロップで調整でき、もちろんそのままスライドのページ送りも可能だ。
「共有画面」で表示されるウィンドウで「詳細」を選択。「バーチャル背景としてのPowerPoint」を選んで「共有」を押し、PowerPointのスライドを選択するとスライドが背景として表示される。
出典:Zoom、スクリーンショット:太田百合子
これまでオンライン会議やウェビナーで、同様にスライドと発表者を1画面で表示するには、別途配信ツール(「OBS Studio」など)を使用するか、ベータ版ながら最近話題を集めている「mmhmm」(読み:ンーフー)のようなバーチャルカメラアプリを使う必要があった。
新機能ではこうした外部ツールを一切使用せずにスライドとプレゼンターを合成し、より臨場感のあるプレゼンテーションを可能にする。
2.「Snap Camera」で人気のビデオフィルター機能も新搭載
「Snap Camera」のように自分で作成したフィルターを追加することは、今のところできないが、多数のフィルターが用意されている。
出典:Zoom、スクリーンショット:太田百合子
Zoomなどのオンライン会議ツールで使えるバーチャルカメラアプリには「mmhmm」のほか、人気の「Snap Camera」がある。Zoomのカメラ設定で「Snap Camera」を仮想カメラとして指定すれば、自分の顔にさまざまなフィルターを重ねることができる。
顔が正面を向いていない場合も、ちゃん角度を認識してフィルターが適用される。
出典:Zoom、スクリーンショット:太田百合子
「Zoom」の最新バージョンでは、これと同様のことができるビデオフィルター機能も新たに追加されている。モノクロ、セピアなどのカラーフィルターのほか、テレビや映画館のようなフレーム、猫耳やサングラス、マスク、ヒゲといったフィルターも用意されていて、好きなバーチャル背景と好きなビデオフィルターの掛け合わせが可能になっている。
3.美顔や明るさも調整できる
「低照度に対して調整」を「手動」にすると、映りをかなり明るくできる。もうライトは不要かも。
出典:Zoom、スクリーンショット:太田百合子
このほかビデオの設定メニューもアップデートされ、肌をなめらかにする「外見を補正する」の補正度合いをスライダーで調整できるようになったほか、「低照度に対して調整」という新たな項目も追加された。
窓を背にして座っている場合など、逆光で顔が暗くなってしまうことがあったが、これをチェックしておけば明るく補正される。
ポイントは、「自動」のほか「手動」での明るさ調整にも対応したことだ。スライダーを動かすとかなり明るくなるため、リングライトなどがない環境や、逆光の環境でも、以前より見た目の印象を良くできる。
Zoomの特徴のひとつだった「バーチャル背景」は、すでに「Microsoft Teams」や「Cisco Webex Meetings」にキャッチアップされ、今や当たり前の機能になってしまった。その意味では、今回のアップデートでまたライバル達を一歩引き離したと言える。
だが、「Google Meet」も「Microsoft Teams」もすでに、今後の大幅アップデートを予告している。オンライン会議専用ツールの先駆者として、引き続きリードを保てるか注目したい。
太田百合子:フリーライター。パソコン、タブレット、スマートフォンからウェアラブルデバイスやスマートホームを実現するIoT機器まで、身近なデジタルガジェット、およびそれらを使って利用できるサービスを中心に取材・執筆活動を続けている。