消費者はハイヒールを捨てた…「履き心地の良い靴」求めクロックス、ビルケンシュトックへ

ヒール

さよなら、ハイヒール。

Malte Mueller/Getty Images

  • 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で、ハイヒールの需要が急激に低下している。代わりにアメリカでは、スニーカーやサンダルといった履き心地の良い靴を選ぶ人が増えている。
  • 市場調査を行うNPDグループによると、ドレスシューズの2020年第2四半期の売り上げは前の年の同じ時期に比べて71%減ったという。
  • NPDグループのベス・ゴールドスタイン(Beth Goldstein)氏によると、パンデミックが近年の「オフィスや社会のカジュアル化」によるドレスシューズとフォーマルな服の低迷を悪化させているという。

新型コロナウイルスのパンデミックが高級ファッションにゆっくりと大きなダメージを与える中、ハイヒールも例外ではない。

出かける先もなく、着飾る理由もない中、ハイヒールの需要と売り上げはここ数カ月、急激に低下している。代わりにアメリカでは、スニーカーやサンダル、室内履きを選ぶ人が増えている。

市場調査を行うNPDグループのデータによると、ドレスシューズの2020年第2四半期の売り上げは前の年の同じ時期に比べて71%減ったという。一方、フットウェア全体の売り上げは26%減だった。

NPDグループのフットウェア業界のアナリスト、ベス・ゴールドスタイン氏は、パンデミックのずっと前から消費者はすでに「履き心地重視」に引き寄せられていたとBusiness Insiderに語った。"ステイホーム"は、ハイヒールのようなドレッシーなスタイルから消費者をさらに引き離したに過ぎないという。

「かなり前からドレス市場は苦戦していました」とゴールドスタイン氏は指摘した。

「パンデミックの2、3年前からファッション業界全体がすでにアスレチック、アスレジャーに取って代わられているのをわたしちは目にしていたんです。ファッションの中でも詳しく見ていくと、ドレス市場はカジュアル市場にシェアを奪われていました」

ビルケンシュトック

ビルケンシュトックのサンダルを履く人。

Kirstin Sinclair/Getty Images

こうしたトレンドは、中古シューズの市場にも影響を与えている。

マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くオンライン中古アパレルの「ThredUp」では、消費者がクローゼットのドレスシューズを処分しようとする中、ハイヒールの在庫が増えている。Business Insiderが入手したデータによると、ThredUpに7月に入荷したハイヒールの数は、新型コロナウイルスが世界的に流行する前の2月に比べて52%増えた。

一方、入荷したスニーカーの数はこの間、36%減った。消費者がより「自分にとって一番履き心地の良い靴を手元に置いておく」ようになったからだろうと、ThredUpの広報担当者は話している。

「ThredUpでは、パンデミック中にはもはや役立たないアイテム、特にハイヒールのような履き心地、着心地の良くない仕事用のアイテムを処分する顧客をわたしたちは目にしました」

その結果、その履き心地の良さで知られるクロックスやビルケンシュトックといったアスレチックウェアを扱う企業やブランドが伸びている。

スポーツシューズ小売大手のフット・ロッカー(Foot Locker)は第2四半期の決算発表を前に、既存店売り上げが予想を上回ったことを明かしていた

同様に、クロックスもアナリストの予想を上回り、7月末には株価も上昇した。一方、ファッション検索エンジン「Lyst」のデータによると、ビルケンシュトックのオンライン検索は225%伸びたとNPRは報告している。

クロックス店舗

ニューヨークにあるクロックスの店舗。パンデミック前に撮影した。

Shoshy Ciment/Business Insider

ゴールドスタイン氏は、ハイヒールは死んだわけではないが、すでに勢いを失っているドレスウェア、フォーマルウェアの分野をパンデミックがさらに衰退させ続けるだろうと話している。

「男性も女性も、今後も引き続きドレスアップする必要のある消費者、特定のスタイルを好む消費者はいるでしょう。ただ、わたしたちはすでにオフィスと社会のカジュアル化を目の当たりにしていて、さらに着心地、履き心地の良いものを求める方向へ動いています」

ただ、リテール分析会社「Edited」のアナリスト、エイブリー・フェイゲン(Avery Faigen)氏は、ハイヒールに対してもう少し楽観的な見方を持っている。"ステイホーム"の解除が進むにつれ、消費者はパンデミック前のワードローブに戻りたがるだろうと、フェイゲン氏は見ている。また、小売業者は「最新流行のスタイル」というよりもっと実用的なデザインを試し始めていて、ハイヒールの場合、これは消費者にとって魅力となり得る。

「暖かくなって、ロックダウン(都市封鎖)が緩和され続ける中、消費者はハイヒールの購入に引き続き興味を持っています。それが例え、カジュアルな屋外でのディナーやその他の活動のために見た目を良くするためだけだとしても」とフェイゲン氏は語った。

[原文:Americans are swapping out their high heels for comfort shoes like Birkenstock and Crocs at record rates, as the pandemic continues to obliterate fashion as we knew it

(翻訳、編集:山口佳美)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

あわせて読みたい

新着記事

経営理論でイシューを語ろう

BI PRIME

【音声付・入山章栄】正解なき時代は「実現したい自己」が問われる。いま日本社会に必要な“NX”とは

  • 入山章栄 [早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授]
  • Oct. 01, 2020, 05:30 AM

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み