大統領の辞任を求める抗議デモ(2020年8月16日、ベラルーシの首都ミンスク)。
Vasily Fedosenko/Reuters
- ベラルーシの首都ミンスクでは8月16日(現地時間)、最大20万人が抗議デモに参加した。独裁体制を敷く「ヨーロッパ最後の独裁者」ルカシェンコ大統領が6選を決めたことに対する抗議デモは8日目を迎えた。
- ニューヨーク・タイムズは、16日のデモは一連の抗議デモの中でも最大規模で、恐らくベラルーシ史上最大だと報じた。
- ルカシェンコ大統領は16日、デモ参加者を「ネズミ」「クズ」「無法者」などとはねつけたが、デモ参加者は大統領の約26年に及ぶ統治に抵抗している。
ベラルーシの首都ミンスクでは8月16日、選挙のやり直しを拒否した「ヨーロッパ最後の独裁者」ルカシェンコ大統領に対する抗議デモに最大20万人が参加した。
投票に不正があったと批判されている大統領選で80%を得票し、6選を果たしたルカシェンコ大統領に対する抗議デモは、16日で8日目を迎えた。ニューヨーク・タイムズは、16日のデモは一連の抗議デモの中でも最大規模で、恐らくベラルーシ史上最大だと報じている。
ベラルーシの大統領選の結果に抗議する人々(2020年8月16日、チェコの首都プラハ)。
David W. Cerny/Reuters
抗議デモが始まった当初から、警察はデモ参加者に対し、ゴム弾や催涙ガス、スタン・グレネード(閃光と爆音を放つ手りゅう弾)を使用していて、少なくとも2人が死亡、数百人が負傷したと報じられている。
1994年からベラルーシを統治しているルカシェンコ大統領は16日、デモ参加者を「ネズミ」「クズ」「無法者」などとはねつけたとニューヨーク・タイムズは報じた。ただ、人々は街中を自由に行き来できるなど、16日の集会はこれまでのデモに比べて穏やかな雰囲気だったという。
ルカシェンコ大統領がベラルーシの西側の国境付近にNATOの部隊が配備されていると主張したことで国際社会の懸念が高まったが、AP通信によるとNATOは軍部隊の配備はしていないという。
首都ミンスクで抗議の声が高まる中、ベラルーシの大統領選は他の有力政治家からの批判も招いている。
YouTubeで拡散しているとしてAP通信が報じた動画では、ベラルーシの駐スロバキア大使Igor Leshchenya氏と思われる人物が「平和的な行進でベラルーシの通りに出てきた」人々を称賛している。「そうすることで、彼らの声が届くだろう」としている。
14日には、EU加盟国の外務大臣らがルカシェンコ政権の一部関係者に対し、制裁を科すことで合意している。
一方、隣国ロシアは15日、ルカシェンコ大統領に対し、必要に応じて軍事支援を提供すると表明した。
[原文:Thousands flooded the streets in 8th day of Belarus protests after Lukashenko rejects new election]
(翻訳、編集:山口佳美)