時価総額2000億ドル…Netflix創業者、リード・ヘイスティングスの意外な素顔

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世界190カ国、1億9300万の人々が、画面の前に釘づけになっている。その仕掛け人である、Netflix (ネットフリックス)CEOのリード・ヘイスティングス。

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パンデミックが世界を襲った混沌の2020年現在、世界190カ国・1億9300万の人々が、お気に入りのドラマシリーズを何シーズンも追い続け、テレビやスマホの画面に釘づけになっている。その仕掛け人が、Netflix (ネットフリックス)CEOのリード・ヘイスティングスだ。

中国、北朝鮮、シリア、クリミアを除くほぼ全世界でサービスを提供し、2020年4月には時価総額2000億ドル(21兆円超)近い巨大企業へと成長した。創業者ヘイスティングスの起伏に富んだ人生と、アメリカきっての億万長者の意外な素顔を見てみよう。

買収提案を蹴って自力で再生、世界へ

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Netflixが世界進出を始めたのは2010年のこと。10年間で飛躍的なサービス拡大を実現している。

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今や世界1億9300万人が視聴するNetflixだが、実は20年前の2000年時点で、サブスクリプションフィーを支払って映画を見ていたユーザーは30万人程度に過ぎなかった。それが、わずか5年で14倍の420万人にまで成長した。

ただ、その道のりは順風満帆ではなかった。Netflixは2001年の「ドットコムバブル崩壊」で大きな打撃を受け、米ビデオレンタル大手ブロックバスターから5000万ドルの買収提案も受けた。しかし、Netflixは(買収を拒み)自力で生きのびる道を模索した。

2010年にはアメリカ国外に進出。2016年以降は、中国、北朝鮮、シリア、クリミアを除くほぼ全世界でサービスを提供している。

今ではサブスク会員は世界190カ国、約1億9300万人にまで広がり、2020年4月には時価総額2000億ドル(21兆円超)近い巨大企業へと成長した

アフリカで高校数学教師の過去も

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ヘイスティングスにとって、アフリカで過ごした時間は、起業にあたり非常に重要な意味を持ったと語っている。

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リード・ヘイスティングスのサクセスストーリーは、私たちがよく知るシリコンバレーのテック業界の億万長者のサクセスストーリー(ガレージでの手作業がビッグカンパニーの製品になるような)とはちょっと違う。

ヘイスティングスは、著名な弁護士ウィルモット・リード・ヘイスティングス・シニアの子として、1960年にボストンの裕福な家庭に生まれた。

父親は、保健省や教育省、福祉省といった省庁関係者と仕事をしており、教育環境も恵まれていた。

マサチューセッツ州ケンブリッジの私立校バッキンガム・ブラウン&ニコルズ・スクールを卒業した後、ヘイスティングスは海兵隊の士官学校に入学。そこでの訓練を終える前に、平和部隊(ピースコー)でのボランティアとしてアフリカへ。スワジランドで2年間、高校数学を教えていたという。

ヘイスティングスはこれまで受けたインタビューや回顧録の中でも、起業を考え始めたとき、アフリカで過ごした時間が非常に重要な意味を持ったと語っている。

「ポケットに10ドルだけ入れて、アフリカをヒッチハイクで横断するのに比べたら、ビジネスを始めるのはそれほど恐れるようなことではない」

その後、アメリカに戻ったヘイスティングスはスタンフォード大学へ進学。コンピュータサイエンスの修士号を取得した。

買収後に株価は42%の転落

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ヘイスティングスは自らが設立した最初の会社ピュア・ソフトウェアを、株価転落後に去っている(写真はイメージです)。

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始まりは簡単ではなかった。

アダプティブ・テクノロジーに職を得たヘイスティングスは、ソフトウェアのデバッグツールを開発したが、同社には長くとどまることなく、3年足らずで独立を決めている。

自ら設立したピュア・ソフトウェアでは、ソフトウェアのトラブルシューティングツールを開発。これが飛躍的な成長を遂げ、設立から4年後の1995年に上場を果たす。

ピュア・ソフトウェアがラショナル・ソフトウェア(Rational Software)に買収される1997年まで、すべては順調に進んだが、投資家たちはこの買収を嫌い、株価は42%下落した。

その数カ月後、ヘイスティングスは会社を去っている。

YouTubeにインスパイア

ケビン・スペイシーが大物カリスマ政治家を演じた「ハウス・オブ・カード」(シーズン1は2013年に放映)は世界的な評価を得た。Netflixは世界的サービスに成長していく。

ケビン・スペイシーが大物カリスマ政治家を演じた「ハウス・オブ・カード」(シーズン1は2013年に放映)は世界的な評価を得た。Netflixは世界的サービスに成長していく。

REUTERS/Carlo Allegri

リード・ヘイスティングスとマーク・ランドルフがNetflixを創業したのは、1997年のことだった。

そのビジネスモデルは、映画作品を郵便で定額レンタルするという、当時としては非常に画期的なものだった。この頃、アメリカをはじめほとんどの国では従来型のレンタルビデオがまだ圧倒的多数で、VHSからDVDへの移行期を迎えていた。

そんな時代に、Netflixはオンラインで映画を注文できるウェブサイトを公開し、DVDをユーザーに郵送する方式を打ち出したのだ。そして2007年、映画のオンライン配信に着手した。

ヘイスティングスはこの動きについて、当時すでに大きな人気を集めていたYouTubeに触発されたと語っている。

Netflixはその後、今日に至るまで同社配信の作品の中でも最も有名なものであり続けている「ハウス・オブ・カード」(シーズン1は2013年)を制作し、世界的な評価を得た。

年間6週間は休む、休暇中にやることは?

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ヘイスティングスは毎年少なくとも6週間は休暇を取得。仕事から離れる時間を確保することによって、逆に仕事の効率性を高めることができるという(写真はイメージです)。

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さぞハードワーカーかと思いきや、ヘイスティングスはワークライフバランスを徹底しているという。

毎年、少なくとも6週間は休暇を取っている。仕事から離れる時間を確保することによって、逆に仕事の効率性を高めることができる…というのが理由だ。

とはいえ、休暇中は特別なことはしていないようだ。米誌ニューヨーカーのインタビューでは、特段の趣味がないことを認めている。

コメディアンのスティーブン・コルバートが聞いたところによると、ヘイスティングスは可能なときはいつでもNetflixを見て過ごしているそうだ。


映画の見方を変えただけでなく、映画の製作方法も変えたNetflix。その生みの親であり、アメリカきっての億万長者でもあるリード・ヘイスティングス氏は、2020年10月19日から23日までの5日間にわたり、世界同時開催する、ビジネス・インサイダー・グローバル・トレンド・フェスティバル(※)に登場する。

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ルビーニ氏

「リーマン・ショックを予測した経済学者」として知られる、ニューヨーク大学教授のヌリエル・ルビーニ氏も登場。

REUTERS/Lucy Nicholson

他にも注目の登壇者として「リーマン・ショックを予測した経済学者」として知られる、ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授のヌリエル・ルビーニ氏も必見だ。

リーマン・ショックの2年前に「もうすぐやって来る危機」を予測し、世界に警告を発したルビーニ氏は「世界でも最も悲観的な経済学者」の一人と呼ばれている。

ルビーニ氏は新型コロナウイルスのパンデミックが経済に及ぼす影響をどう見るのか?最近のメディアインタビューではこう述べている。

「2008年よりも深い、新たな巨大な経済危機が起こる可能性が高い。政府が危機を緩和するために使用することができるツールが不足していることが原因」

さらに「最初は市場はわずかに回復するだろうが、後には高インフレの波が押し寄せ、世界経済を後退に追い込むだろう」と強調するルビーニ氏が、リアルタイムで語る展望とは。

時代の寵児たちが集まる、アフターコロナを生き抜くための知の結集の場をお見逃しなく。

 ビジネス・インサイダー・グローバル・トレンド・フェスティバル:アメリカ、日本、ドイツはじめヨーロッパ各国など世界17エディションで展開するグローバルメディア、Business Insideが2020年世界同時開催するオンラインのグローバルカンファレンス。注目企業のCEOや政府要人、有識者らが次々に登壇し、今後数年先を見通したアフターコロナのビジネス、社会、デジタルの最前線について熱い議論を交わします。10月19日から23日までの5日間。

詳細については、GLOBAL TRENDS FESTIVALの公式サイトをご覧ください。


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(文・編集部)

[原文:Reed Hastings - od niedoszłego żołnierza marines do grabarza telewizji. Szef Netfliksa gwiazdą BI Global Trends Festival およびNouriel Roubini i jego szklana kula. Kolejna gwiazda Business Insider Global Trends Festivalを編集・加筆しています

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