クラシルを運営するdelyは、新事業「クラシルリテールプラットフォーム」を発表した。
撮影:西山里緒
「大勝負に出ようと思います」
料理レシピ動画サービス「kurashiru(クラシル)」を運営するdelyの代表取締役である堀江裕介氏は8月18日、自身のTwitterにそう書き込んだ。
この発言は、delyが同日に発表した小売店向けのネットスーパー立ち上げサービス、「クラシルリテールプラットフォーム」のリリースに合わせたもの。従来まで、レシピ動画の制作および同サイト内での電子チラシの掲載をしていた同社にとっては、一回りも二回りも大きな事業を展開することになる。
クラシル内でのネットスーパーに加え、店舗独自のアプリも開発
クラシルリテールプラットフォームは、クラシルとも深く連携する。
出典:dely
クラシルリテールプラットフォームは、小規模事業者がネットスーパーを立ち上げる際に必要なシステム構築やウェブ・アプリの開発、実際の在庫管理、配送ドライバーの管理などを一気通貫でdelyがサポートするといったものだ。
同社は「初期費用0円」かつ「システム開発不要」とシステム導入の敷居の低さを謳っており、実際のプラットフォームのローンチ時期は「2020年秋」(dely広報)としている。
事業内容を大きく拡大するdelyだが、広報は「他企業・サービスとの連携は考えていない」と話す(写真は2017年9月撮影)。
撮影:今村拓馬
また、構築できるネットスーパーのアプリについては2種類が存在し、1つは国内2400万ダウンロードを突破しているクラシルのスマホアプリ内に組み込み、既存のレシピや献立などとの連携が可能になる。
もう1つは、希望する事業者の自社ブランド単独のアプリが想定されており、店舗受け取りなど各ブランド独自の機能開発も行っていく。
dely広報によると、この独自アプリの開発も含めて「全て自社の開発チームが担当する」としており、今回のサービス発表にあわせて「開発体制の構築・採用の強化をした」と話している。
なお、人員強化の具体的な規模感などについては「非公表」(dely広報)としているが、「DX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業の開始に向け、新規で専門の開発部門を創設」「現状の規模の倍以上の開発体制を構築予定」としている。
堀江氏の野望に1歩近づく
delyの代表取締役である堀江裕介氏(2017年9月撮影)。
撮影:今村拓馬
delyは2018年7月11日にヤフーの資本参加、戦略的パートナーシップの締結を発表し、同18日にヤフー子会社となっている。
当時、堀江氏はBusiness Insider Japanの取材に応え、「物流システムや倉庫とインフラを作っていかなければならない」と語っていた。
クラシルリテールプラットフォームはまさに堀江氏の野望に1歩近づく施策と言える。
ただし、dely広報はクラシルリテールプラットフォームについて「ヤフーとの関連はございません」と回答している。
(文・小林優多郎)