16枚の写真で見る、新型コロナウイルスと最前線で戦う看護師たちのリアル

病院

新型コロナウイルスの患者に手を振る看護師のスーザン・モラレスさん(2020年7月10日、カリフォルニア州フラートン)。

Jae C. Hong/AP Photo

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の最前線で働いている医療従事者たちは、重篤な患者の治療にあたる中でたくさんの精神的、身体的プレッシャーにさらされている。ウイルスに非常に感染しやすい環境で働く彼らは、常に自分の家族の健康にも懸念を抱いていると、AP通信は報じた。

アメリカのカリフォルニア州フラートンにあるセント・ジュード・メディカル・センター(St. Jude's Medical Center)の新型コロナウイルス・ユニットの看護師たちは12時間のシフトで患者の治療にあたりながら、どうすれば自分たちの家族をウイルスにさらさずに済むか、頭を悩ませている。


スペンサー・クッシングさん(29)は、妻と3歳のジェームスくん、0歳のウォルターくんをウイルスにさらさないため、4月に自分専用のアパートを借りた。

クッシングさん

セント・ジュード・メディカル・センターで働く看護師のスペンサー・クッシングさん(2020年7月7日)。

Jae C. Hong/AP Photo

Source: AP


子どもたちの世話をするため、妻は看護師のパートを辞めた。3歳の息子に夢中歩行の症状が出始めた。

父親を迎える息子

父親を出迎えるためにドアから飛び出してきたジェームスくん(2020年7月13日)。

Jae C. Hong/AP Photo

Source: AP


数カ月後、一家はクッシングさんに家に戻ってきてもらうのが一番いいと決断した。

塗り絵をする親子

12時間のシフト終え、帰宅後にジェームスくんと塗り絵をするクッシングさん(2020年7月13日)。

Jae C. Hong/AP Photo

「6カ月も離れていられない」と妻エレノアさんは夫に伝えた。

「わたしたちはこうした患者さんたちを長い間、見ることになるでしょう」

Source: AP


新型コロナウイルスという非常に感染しやすいウイルスから身を守るため、医療従事者は患者の治療にあたる際、手袋、N95マスク、ガウン、ヘアネット、フェイスシールドを着用する。

病院でのスペンサーさん

新型コロナウイルスの患者(71)を世話するクッシングさん(2020年7月7日)。

Jae C. Hong/AP Photo

Source: AP


新型コロナウイルスの患者の治療にあたる他の医療従事者たちも、自分の大切な人を感染させてしまうのではないかとものすごく心配しているという。

サルベナス・ミチェルさん

セント・ジュード・メディカル・センターで働く看護師のサルベナス・ミチェルさん(2020年7月10日)。

Jae C. Hong/AP Photo

救急救命の出張看護師であるペイジさんは、パンデミックが始まるとすぐに南カリフォルニアにある病院で働くため、家族を別の州に残してきた。新型コロナウイルスの患者との自身の"近さ"を考え、外出禁止令の有無に関係なく、彼女は86歳の父親と会わないようにしている。

「父が死ぬ原因にはなれません」と彼女はInsiderに語った。


アメリカで感染が拡大する中、サルベナス・ミチェルさん(28)は2月、生まれたばかりの子どもと過ごすために6週間の無給の育休を取った。

親子

サルベナス・ミチェルさんと6カ月の息子アルシャンくん。ミチェルさんの祖母とビデオ通話を楽しんでいた(2020年7月14日)。

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「ほぼ毎晩、泣いてます」と彼女はAP通信に語った。

「わたしだけのことだったら、また違ったのでしょうけれど」

Source: AP


2歳の息子レオニダスくんは、母親が家に帰ってきてもすぐにハグをしてはダメだと知っている。自身が経験している"現実"に息子をさらさないよう、ミチェルさんは気を付けている。

院内の様子

新型コロナウイルスで命を落とした患者を運ぶ病院スタッフ(2020年7月7日)。

Jae C. Hong/AP Photo

ミチェルさんは息子に"エアーハグ"をするよう教えている。生まれたばかりの息子にはまだキスをしていないという。

Source: AP


11年間看護師を続けているジャッキー・バーガスさんは、病院にいる時は安全だと感じる一方、家族と一緒にいると不安になるという。

ジャッキー・バーガスさん

プラスチック容器を使ってN95マスクを着ける看護師のジャッキー・バーガスさん(2020年7月7日)。

Jae C. Hong/AP Photo

バーガスさんの子どもたちは義母が面倒を見ていて、バーガスさんは子どもたちと会う時も距離を置いているという。自身の母親に会う時も、ガラスのドア越しだ。

母親はバーガスさんに看護師になってもらいたいと願っていたが、今では娘の身の安全を心配して、看護師を辞めて欲しいと頼んでいる。

Source: AP


新型コロナウイルスと1人で戦う患者を見るのは、精神的に辛い。

シャマイン・サントスさん

患者を世話した後、自身を消毒する看護師のシャマイン・サントスさん(2020年7月7日)。

Jae C. Hong/AP Photo

バーガスさんは、そばで見守ってくれる家族もいないまま、1人で新型コロナウイルスと戦う患者を見ていると、感情が溢れそうになるという。

「悲しい話です」

「目にしたものから自分を解放するには、時間がかかります」

Source: AP


他の医療関係者たちは、自分たちは疲労困憊だとInsiderに語っていた。

院内の様子

セント・ジュード・メディカル・センターで働く看護師のシンディー・ケルバートさん(左)。重症患者の様子をガラスのドア越しにチェックしていた(2020年7月7日)。

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バナー・ユニバーシティー・メディカル・センター・フェニックス(Banner University Medical Center Phoenix)の呼吸科医で集中治療医でもあるサンドラ・ティルさんは、彼女のチームが週に80~90時間働くこともあり、疲労困憊だとBusiness Insiderに語った。

「医師も看護師も呼吸療法士も疲れてます」

「残業続きで、これまで以上に一生懸命働いてきましたが、わたしたちは今、もっと働けと言われているんです」


彼らは医療を提供しているだけではない。重症患者を見るという心理的な負担も大きい。

処置

医師の処置を見守る看護師のジャッキー・バーガスさん(右)(2020年7月7日)。

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「呼吸困難で入院してきて、ICU(集中治療室)で挿管、人工呼吸器が必要になるかもしれない、次にいつ家族と会えるか分からない患者のベッドのそばで張り詰めた時間を過ごすんです」とアリゾナ大学医学部のルーラル・アンド・グローバル・エマージェンシー・メディスン・プログラムの責任者ブラッドレー・ドレイフス医師は以前、Business Insiderに語った。

「ベッドのそばで患者の手を握り…… 患者が挿管され、鎮静剤を打たれていれば、彼らがICUで新型コロナウイルスで死ぬ前に会う最後の人間になるかもしれません」

「これは精神的にきついです」


看護師のミシェル・ユーンキンさん(28)は、新型コロナウイルスと戦い、死亡した患者を目の当たりにしなければならなかった。

看護師

セント・ジュード・メディカル・センターで働く看護師のミシェル・ユーンキンさん。患者に最後の別れを告げるため、病院を訪れた家族を手伝った後、防護服を脱いだ。この患者はユーンキンさんにとって、新型コロナウイルスで死亡した初めての担当患者となった(2020年7月31日)。

Jae C. Hong/AP Photo

65歳の患者からその呼吸をサポートしていた機械を外すと、ユーンキンさんは「涙を流し、その涙はフェイスシールドにこぼれた」という。

「こういう時のことはずっと覚えているでしょう」と、ポリオが流行した時に看護師だったユーンキンさんの祖母はのちに孫娘に声をかけた。

「患者さんたちのことを忘れちゃダメ」

Source: AP


ユーンキンさんは、この患者の妻を慰めた。

病室

患者の妻を慰めるユーンキンさん(2020年7月31日)。

Jae C. Hong/AP Photo

Source: AP


ユーンキンさんは母親としても、子どもに母乳を与えるのは安全かといったさまざまな決断を迫られている。

休日の親子

7カ月の息子ジャクソンくんと休日を公園で過ごすユーンキンさん(2020年8月5日)。

Jae C. Hong/AP Photo

ユーンキンさんは、自分の行動が気になって仕方がないとAP通信に語った。

「自分は防護服などを正しく身に付けたか、正しい方法でそれを脱いだか、うっかりと何か誤って触っていないか?」

Source: AP


ユーンキンさんは自分の家族を感染させるのではないかと心配している。夫には、もし自分が死んでも葬儀には来ないよう伝えている。

家族

ジャクソンくん、夫コーディーさんと休日を過ごすユーンキンさん(2020年8月5日)。

Jae C. Hong/AP Photo

「もしわたしが死んでも(葬儀には)来ないで」とユーンキンさんは夫にはっきり伝えている。

「自分自身を危険にさらさないで」

Source: AP

[原文:Heartbreaking photos show how frontline nurses treating COVID-19 patients live in the divide between home and the nightmare of the pandemic at work

(翻訳、編集:山口佳美)

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