アマゾンがコロナ後を見据えて投資したのはオフィスだった…人材確保や人件費抑制も期待

アマゾンが将来を見据えて投資

Elaine Thompson/AP

  • アマゾンはアメリカ国内6カ所の「テックハブ」のオフィスを拡大し、3500人の雇用を増やすと発表した。
  • 同社は、ダラス、デトロイト、デンバー、ニューヨーク、フェニックス、サンディエゴへのオフィス拡大に14億ドルを投じるという。
  • このニュースは、従業員をいつどのようにオフィスへ戻すかを検討しているテック企業の潮流に沿ったものだ。フェイスブックとグーグルは2021年夏まで従業員へ出社を求めておらず、ツイッターは恒久的に在宅勤務をしてもよいと述べている。
  • アマゾンの本社があるシアトル以外で多くの従業員を雇用することは、優秀な人材確保を容易にし、潜在的には人件費を調整することが可能になる。

アマゾン(Amazon)にとってポストコロナのオフィス勤務は、アメリカ国内の6都市の拠点増強と数千人の新規雇用を意味するようだ。

同社は8月18日、3500人を新たに雇用し、ダラス、デトロイト、デンバー、ニューヨーク、フェニックス、サンディエゴの6都市のオフィスを拡大すると発表した。

これらのオフィスではアマゾンウェブサービス(AWS)、アレクサ(Alexa)、アマゾンファッション、Amazonフレッシュなど、さまざまな分野の業務が行われると同社は述べており、ソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、プロダクトマネージャーなどの役職の補充が予定されているという。

アマゾンは、これらのオフィス建設に14億ドル(約1485億円)を投じると述べた。ニューヨークでは、同社がWeWorkから10億ドル(約1061億円)で取得したと報じられた五番街のロード&テイラー・ビルに63万平方フィートの新オフィスを建設中だ。このビルはもともと老舗百貨店のロード&テイラーの店舗だったところで、WeWork本社になるはずだった。

また、アマゾンはマンハッタンで2000人を新たに雇用する計画だと述べた。

アマゾンの物理的なオフィスへの投資は、多くのテック企業が従業員をいつどのようにオフィスに戻すかを検討している中で行われた。同社は以前、2021年1月8日までは在宅勤務が可能と発表したが、げフェイスブック(Facebook)グーグル(Google)は、2021年夏まで従業員が在宅勤務となる可能性があると述べている。

ツイッター(Twitter)は、サンフランシスコにあるオフィスに従業員が戻ることなく、恒久的に在宅勤務をしてもよいと述べている。

しかし、アマゾンが下した、本社のあるシアトルとは別の都市でオフィスを拡大するという決断は、テック業界の人々がサンフランシスコ・ベイエリアのような主要な沿岸エリアから出ていく傾向と一致している。求人情報サイトのHiredの最新調査で、ベイエリアを拠点とするテック関連職の人のうち40%が、恒久的に在宅勤務が可能になったら、もっとコストが低い都市に移ると答えた。

オフィスを分散させる動きはテック業界では以前から取り組まれており、新型コロナウイルスによって拍車がかかったようだ。ツイッターのジャック・ドーシー(Jack Dorsey)CEOは先日、同社は社員の働き方の分散化に、「2年ではないにしろ、1年以上は」取り組んできたと述べた。さらに、そもそも労働の分散化は「インターネットによる恩恵」だったはずで、 「インターネットによってオフィスの場所は無意味のないものになるはずだった」と、ドーシーCEOは述べている。

そしてシアトルやベイエリアを出ようとしているテックワーカーにとって、コストの低い都市にオフィスができることはメリットであり、アマゾンにとっても優秀な人材を確保しやすくし、かつ従業員の給与を抑えることが可能になる。例えば、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOは5月、ベイエリアを離れた従業員は、居住地をもとに給与の調整が行われると通知した

[原文:Amazon is investing $1.4 billion to expand into 6 cities outside of Seattle, and it may be a sign that tech companies are reconsidering the future of the office

(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)

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