サンフランシスコのスカイラインを望む展望台に座るカップル。
Eric Risberg/AP
- Zillowによると、サンフランシスコの住宅在庫が前年比96%増となっており、これは売りに出されている住宅が昨年の同時期の2倍近くあることを意味する。
- このデータは、パンデミックとリモートワークの増加によって、人々が生活コストの低い場所に逃避するようになっていることを示す証拠の1つだ。
- サンフランシスコはコロナウイルス後の都市部の将来像をめぐる議論の中心となっている。
サンフランシスコでは、パンデミックで住民がアメリカで最も物価の高いこの都市を離れていっているため、2倍近い数の住宅が販売されている。
8月12日に発表されたZillowのレポートによると、住宅在庫は2019年のこの時期と比べて96%増加しており、物件価格も5%下落している。
サンフランシスコの悪名高い住宅価格は今でも住宅販売サイトで見ることができるが、Zillowによると市の住宅価格の中央値は約145万ドル(約1億5200万円)だという。
レポートによると、他の大都市圏では、サンフランシスコのような物件の洪水は起きていない。ロサンゼルス、シアトル、ボストンなどの都市とその周辺の住宅在庫は横ばいか、減少している。
COVID-19のパンデミックでサンフランシスコから離れる人が増えているというコンセンサスが形成されつつある中で、Zillowの報告書は、それを裏付ける最新データとなっている。
COVID-19が流行する以前から、同市からの住民流出は目新しいものではなく、住宅価格の高騰、高い生活費などが近年の住民流出の主な要因として挙げられている。しかし、美術館、レストラン、バーなど、魅力的な都市のアメニティが閉鎖されたことや、リモートワークの増加によって、テクノロジー業界を中心とした労働者が生活費の安い場所に移動できるようになったことから、同市からの「脱出」は加速している。
テックワーカーはこの地域の人材プールの主要な部分を占めており、フェイスブック(Facebook)やグーグル(Google)などの業界大手は、2021年まで在宅勤務を継続することを発表している。
Business Insiderが報じたように、サンフランシスコ・ベイエリアの引越し業者はここ数カ月で仕事が急増している。そして、シリコンバレーの住人の多くは、北側のワイナリーがあるような地域に逃避しており、裕福な人々は、密集したサンフランシスコから逃げてきて、丘の中腹の家を手に入れようとしているという。
パンデミックの発生以来、アメリカの人々の間では、短期的あるいは長期的に、大都市圏に住みたいと思うかどうかについての議論が続いている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)