「患者は軒並み減少」「いまだに医療資源は不足」医療機関へのコロナの影響実態調査

外来

新型コロナウイルスの流行で、外来患者が軒並み減少している。

SAND555UG/Shutterstock.com

新型コロナウイルスの流行によって、医療機関には大きな負荷がかかり続けている。実際、医療機関にどのような影響を与えているのか。

デロイトトーマツは8月17日に全国の診療所・病院に勤める医師や患者を対象に実施アンケート調査の結果を公表した。

同調査では、入院病床の無い診療所と病院における新型コロナウイルスの影響の違いや、オンライン診療などをはじめとした医療機関へのテクノロジーの導入状況が記載されている。

医療機関と患者、それぞれの目線で現状を振り返ることで、これから先も続くであろう、新型コロナウイルスへの対応に向けた課題が見えてくる。

以下、一部を抜粋して紹介する。

調査データの出典:デロイトトーマツの「『コロナ禍での国内医療機関への通院状況・オンライン診療の活用状況」に関するアンケート調査結果』を元にしている。アンケート対象は、日本全国の病院、診療所に勤める医師229人。患者5000人。調査実施日は2020年6月。

1.病院と診療所では、コロナ対策の度合いが異なる

調査結果1

出典:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 実施アンケート

院内感染によってリスクの高い高齢者などへの感染が懸念される新型コロナウイルス。医療機関における対策は課題の一つだ。

アンケートによると、感染者の入院先となりうる病院と一般的な町の診療所(入院病床無し)では、対策の度合いに差がみられた。8割〜9割の病院では、ほとんどの感染対策が実施されていたものの、診療所では個人防護や患者のトリアージなどの対策を行っていないケースが散見された。

医療資源の量については後述するが、外来患者への対応については、地域における診療所と病院の役割の違いに起因している側面が大きそうだ。

少なくとも、それぞれの患者受入れアプローチに応じたCOVID-19対策を実施しているといえる。

2.患者数は軒並み減少か

調査結果2

出典:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 実施アンケート

初診、再診、入院、急患など含めて、診療所・病院ともに約80%の医師が患者数の減少を実感していると回答した。ただし、これをもって「病気になった人が減った」とは考えにくい。

日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体による「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査」によると、新型コロナウイルスの感染者を受け入れているか否かによらず、経営状態が悪化している病院が増えている。

患者数の減少が、その主たる要因だといえそうだ。

3.定期通院が必要な患者の受診控えが顕著に

調査結果3

出典:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 実施アンケート

患者へのアンケートでは、全体で約23%の人が受診を控える傾向にあることが明らかになった。

また、特に週に1回以上通院していたような患者が、受診を控える傾向が強かった。受診を控える最も大きな理由は、「外出自粛や院内感染の恐れなどにより、病院・クリニックへの訪問を控えたため」だった。

来院に対する「気持ち」の調査では、通院頻度に関わらず約半数の患者が「なるべく通院を控えたい」と回答していた。

4.マスクや消毒液などの医療資源は今なお不足

調査結果4

出典:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 実施アンケート

最近では、マスクや消毒液などの医療資源の不足について耳にする機会は減っているが、調査によると半数以上の医師が、未だに医療資源の不足を感じていることが分かった。

医療資源については、慢性的に一定数不足している状況に陥っているといえる。

また、コロナ禍でも医療機関をうまく運営するための仕組みやデジタル関連技術の導入状況は、多くの病院、診療所で進んでいない。

5.電話再診による処方箋発行が躍進

調査結果5

出典:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 実施アンケート

オンライン診療予約やオンライン受診など、病院の機能のオンライン化はそれほど劇的に進んでいるわけではない。

新型コロナの流行を機に最も導入が進んだのは、電話再診とWeb会議システム。診療所に比べて病院の方がデジタル関連技術の利用に積極的な姿勢が見える。

病院では、電話診察(再診)による処方箋の発行が劇的に進んでいる。

6.オンライン診療の認知度は高いが、利用者は少ない

調査結果6

出典:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 実施アンケート

新型コロナウイルスの影響を受けて、初診から認められる特例措置が実施されているオンライン診療。多くの患者が感染対策として期待している一方で、実際の利用者はそれほど多くはなかった。

来院頻度別に見て最も利用頻度が高かったのは、週に1回以上病院に通院している患者で10%。

通院頻度が下がると、利用率は5%以下まで落ち込んだ。

調査結果6補足

出典:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 実施アンケート

年代別に見ると、デジタルネイティブとされる20代の若年層の認知度が最も低く40%だった。利用率は4%と、数値的には低いものの他の年代に比べて高かった。

また、70代の高齢者では、電話再診の利用率は他の年代に比べて高い8%だった一方で、オンライン診療の利用率は1%と極端に低くなっている。

電話をかけるだけの電話再診と、アプリなどを介したオンライン診療の間には、利用上の大きなハードルがあることが想像される結果となった。

7.現場への影響は病院では特に顕著に。MRとの相談が減少

調査結果7

出典:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー 実施アンケート

医療機関における影響は、診療所よりも病院の方が顕著だった。

とりわけ、入院患者を受け入れるような大きな病院での人材育成の場への支障や、業務負担の増加などが見て取れる。また、一部では治験の中断なども起きており、先々の医療への影響が懸念される調査結果となった。

また、診療所、病院ともに、MR(製薬会社の営業職)とのやり取りが極端に減少しているという結果となった。

文・三ツ村崇志

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