アルファベット傘下のドローン企業Wing(ウイング)に大きな動きが出てきたようだ。
Screenshot of Wing website
- グーグルの親会社アルファベット傘下のドローン企業ウイング(Wing)の新たな最高執行責任者(COO)に、デイビッド・クンストが就任した。
- 一方、前COOで2019年にアドバイザー職に転じていたファイサル・マスードは退社していたことがBusiness Insiderの調べでわかった。
- ウイングの広報担当によると、クンストは「グローバル展開およびサポート可能なユースケースのさらなる拡大」を担当するという。
- アルファベット傘下の他のグループ企業と同様、ウイングはパンデミックの最中に新たな役割を見出している。
アルファベットのドローン部門であるウイングは、退社したファイサル・マスードの後任COOにデイビッド・クンストを指名した。
クンストは7月にジョインしたばかりで、前職は配車サービス大手リフト(Lyft)の北カリフォルニア担当ゼネラルマネジャー。
「クンストはオペレーションとプロダクトの知識・経験をバランス良く兼ね備え、当社ではグローバル展開およびサポート可能なユースケースのさらなる拡大を担当します」(ウイングの広報担当者)
ウイングのサービス紹介動画。
出典:Wing Official YouTube Channel
前任のマスードは1年前にCOOを降板してアドバイザー職に転じていたが、今年7月に退社した。
マスードは、アマゾンで10年近く、在庫計画やプライベートブランド「Amazonベーシック」を担当。次いでオフィス用品最大手ステープルズに移籍し、最高技術責任者(CTO)を4年超務めた。eコマースのベテランと言っていいだろう。
2018年にはウイングのCOOとして電撃移籍し、メディアやアナリストらは、当時まだアルファベットのインキュベーター「X」の一部だったドローン部門を、グループ企業としてスピンアウトさせる前触れではないかと噂した。
それからちょうど5カ月後、噂は現実となった。
マスードの移籍後2年の間に、ウイングはバージニア州でアメリカ初の商用ドローン配送を実現し、続いてオーストラリア・クイーンズランド州でも配送を開始した。
最近ではイギリス運輸省と提携し、ドローン運行管理システム(UTM)のフレームワーク策定に取り組むことを発表している。
米バージニア州では、コロナ禍で学校の図書館にアクセスできない子どもたちにドローンで本を届けるプロジェクトも始まった。
出典:Wing Official YouTube Channel
ウイングは外部からの資金調達を行っておらず、自ら商用化への道を切り開いてスピンアウトを実現。
また、この半年については、パンデミックを逆手にとって新たなドローンの用途を切り開いた。Business Insiderが4月に同社に取材した際は、運行エリア内で食品などのドローン配送需要が高まっているとのことだった。
採用意欲も旺盛で、リンクトイン(LinkedIn)には8月の約3週間だけで、航空規制部門のリードや戦略提携部門の責任者など、28件の人材募集広告が掲載されている。
(翻訳・編集:川村力)