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働き方は、
今日から変えられる

DX成功に必要なのは「忍耐力と人間力」創業60年の企業を変えたリーダーの挑戦

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東洋エンジニアリングのデジタルシフトを推進したメンバー。写真左からDXoT推進部長の瀬尾範章さん、Teamsの公式ツール化の促進を担当している大見牧子さん、若手社員によるワーキンググループ「COMIT TOYO」で、グループリーダーをしている北山陽喜さん。

東洋エンジニアリングのデジタルシフトを推進したメンバー。写真左からDXoT推進部長の瀬尾範章さん、Teamsの公式ツール化の促進を担当している大見牧子さん、若手社員によるワーキンググループ「COMIT TOYO」で、グループリーダーをしている北山陽喜さん。

「大規模な石油化学プラントを1基建てる場合、500万枚以上に及ぶ“紙”を図書として一緒に納めることになります」

大規模かつ複雑なシステムで構成され、石油製品など危険物を製造するプラント建設は、一つ間違えれば人命にも関わる重大事故に繋がりかねない。厳格な安全と製品品質の確保が要求されるため、法規制上も技術的見地からも多くの専門家による承認を証跡として残す必要があり、大量の書類作成が不可欠となる。

化学肥料・石油化学プラントや発電所などのプラントの設計・調達・建設を担うグローバルカンパニー、東洋エンジニアリング。同社は近年、デジタル化に悩んできた。こうした長年続いてきたプラント業界の業務変革は一朝一夕にはいかないという。

そうした中で同社は「DXoT (Digital Transformation of TOYO)」と呼ばれるDX推進プロジェクトを立ち上げた。DXoTを推進した東洋エンジニアリングのメンバ―に、DXに着手した背景と直面した壁、それをどう乗り越えたのかを聞いた。

「建設業の生産性は、70年前から1.1倍にしか改善していない」

DXoTを指揮する瀬尾範章さんは2004年に東洋エンジニアリング入社。配管設計エンジニアとして国内外でさまざまな設計・現場経験を積んだのち、2015年からは同社史上最大のプロジェクト「マレーシア・エチレン・プロジェクト」で、異例の若さでプロジェクト・エンジニアリング・マネージャとして設計の責任者を担当した。そこでのリーダーシップが認められ、2019年7月に社長の指名を受けてDXoT推進部長に就任した。

DXoTを指揮する瀬尾範章さんは2004年に東洋エンジニアリング入社。配管設計エンジニアとして国内外でさまざまな設計・現場経験を積んだのち、2015年からは同社史上最大のプロジェクト「マレーシア・エチレン・プロジェクト」で、異例の若さでプロジェクト・エンジニアリング・マネージャとして設計の責任者を担当した。そこでのリーダーシップが認められ、2019年7月に社長の指名を受けてDXoT推進部長に就任した。

1961年の創業以来、約60カ国でエネルギープラントの建設に携わり、世界のインフラの整備を支えてきた東洋エンジニアリング。今や世界各国に延べ5500人超のプラントエンジニアを抱えている。

同社がDXに取り組み始めたのは2017年。建設業界の生産性が停滞していたことが、改革を始めた理由だ。DXoT推進部部長の瀬尾範章さんは話す。

「建設業の生産性成長率は他の業界と比べて低く、1950年から約1.1倍しか伸びていないというデータがある。製造業の成長率が8.6倍であるのと比べると建設業には大きな可能性が広がっていると言えます」

設計や建設の現場に目を向けても、情報のやり取りは紙ベースの業務スタイルの延長線上に留まっており、ほとんどDXが進んでいない。

「どの産業分野でもDXが急速に進んでおり、お客様のニーズは多様化する一方です。われわれがさらなる付加価値を提供するためにも、これまでの常識、業務習慣から脱却して生産性と付加価値を圧倒的に向上させることが、生き残るための必須条件だと考えました」(瀬尾さん)

DXoTプロジェクトはIT企画本部主導で2017年からスタートしたものの、業務部門の課題をうまく吸い上げられず、経営陣もDXとは何かを理解できていない状態だった。DXoT推進部長に着任後、瀬尾さんが真っ先に着手したのは社内にビジョンを示すこと。

「DXとは既存業務の『改善』ではなく、仕事にも働き方にも劇的なパラダイムシフトを起こすこと。つまり『改革』の構想力が必要です。そのためにも、まずは自社の課題に沿ったビジョンの設計が必要だと考えたのです」(瀬尾さん)

2024年までに全社の生産性を6倍にする

IT企画管理本部 ITサービス部で、Teamsの公式ツール化の促進を担当している大見牧子さん。

IT企画管理本部 ITサービス部で、Teamsの公式ツール化の促進を担当している大見牧子さん。

社長直轄の組織として、全社でDXを推進することをミッションに立ち上げたDXoT推進部は、まず1カ月かけてビジョンを制定した。

  • 情報の質を向上させる
  • 大量のデジタルデータを活用して決裁スピードを向上させる
  • 部門内外のコラボレーション促進体制を構築する
  • 組織構造をピラミッド型からネットワーク型に再編する

——など、DXによる全方位改革に向けてさまざまな取り組みを具体化し、経営陣を巻き込んで17項目のタスクを策定した。瀬尾さんは2019年8月、全社員を対象にした説明会で「2024年までに自社の生産性を6倍にする」と具体的な数値目標を掲げた。

「プラント業界は1つのプロジェクトが長期間に及ぶため、シニアの経験やノウハウがとても重要な面があり、まだまだ昭和的な古い働き方が根付いています。古い働き方が必ずしも悪いわけではありませんが、劇的な生産性向上にはあらゆる既成概念を壊していくことが必要です」(瀬尾さん)

意識改革に当たってはさまざまな障壁があった。あらゆる階層のデジタルリテラシーを克服することに加えて、瀬尾さんが重視したのはマインドセットの変革だ。

「過去の成功体験は未来の成功を保証するものではなく、常に進化が必要だと納得することが大事。こうしたマインドセットがあれば、世代を問わずデジタルを使ったイノベーションを起こし得るはず。劇的な生産性向上を達成できるポテンシャルはあると感じていました」(瀬尾さん)

しかし、世界中に散らばる5500人のグループ社員を一気呵成に変化させることは不可能。まずは一人ひとりの意識を変えることに心を砕いた。そこで採った戦略はトップダウンとボトムアップ両軸からのアプローチだった。

瀬尾さんがプロジェクト・エンジニアリング・マネージャをつとめた「マレーシア・エチレン・プロジェクト」。

瀬尾さんがプロジェクト・エンジニアリング・マネージャをつとめた「マレーシア・エチレン・プロジェクト」。

DXoTへの意識付けを全社に浸透させるためサポートに加わったのが、IT企画管理本部 ITサービス部と、社長直轄の企業文化を変革するための組織、TOYO未来推進部の若手有志グループ「COMIT TOYO」だ。

IT企画管理本部 ITサービス部は、社内のICTツールやインフラを保守・運用し、社内業務を円滑に進める役割を担っている。コミュニケーション面のDXを推進する公式ツールとして、2019年よりMicrosoft Teamsを導入した。Teams公式ツールを社内で促進する任を受けた大見牧子さんは導入の経緯をこう語る。

「すでにOffice 365を導入していたものの、目の前の業務に追われてしまい新しいツールを使い始めるきっかけが作れておらず、社内のコニュニケーション手段はまだメールが主流でした。

Teamsならオンライン上のファイル共有やビデオ会議、グループチャットも一つにパッケージングされており、SharePointやOneNoteなどOffice 365ツールとの連携も可能です。利便性を実感してデジタルがもっと身近になれば、DXoT推進部が目指す『社員がDXoTを体感できる』を実現できるのではないかと考えました」(大見さん)

そこで、Teamsのメリットや活用事例を伝える社内セミナーを実施。役員をはじめ年配の社員にも分かりやすいよう丁寧に浸透を図った。

東洋エンジニアリングのように世界各国に建設現場や事業拠点が分散する環境下で、プロジェクト型で業務遂行する企業では、社員一人ひとりへの細やかなサポートが行き届きにくいという課題もある。その弱点をサポートしたのが、若手社員グループ「COMIT TOYO」だ。

DXの効果を体感できれば、現場の意識は変わる

入社5年目までの若手社員が中心となったワーキンググループ「COMIT TOYO」で、グループリーダーをしている北山陽喜さん。

入社5年目までの若手社員が中心となったワーキンググループ「COMIT TOYO」で、グループリーダーをしている北山陽喜さん。

入社5年目までの若手社員が中心となったワーキンググループ「COMIT TOYO」は、シニアと若手がお互いの得意領域を教え合うメンター制度の運営など「ITツールで身近な業務を変える」をミッションに、部署の垣根を超えた有志約20人が集まり、本業と兼務で活動している。2018年に入社し「COMIT TOYO」でグループリーダーを務めている北山陽喜さんはこう話す。

「『COMIT』には、『COMmunicationをITでもっと良くしたい』という意味があります。社内における無駄をなくし、効率を上げる。若手だからこそ生まれる気づきや課題意識を、社内文化や業務改革に生かすべく取り組んでいます」(北山さん)

例えば、若手から上司に書類のレビューを依頼する際に、複数の上司にデータを回覧し、それぞれから指摘された修正点をマージするといった作業に、時間も手間もかかっていた。

「Teamsの同時編集機能、ローコードでアプリが作れるPower Appsや、ワークフローを自動化するRPAのPower Automateによる新たなアプリ導入効果から、若手社員の取りまとめ工数も削減でき、決裁者のスピーディな意思決定にもつながっています。社員がDXoTを体感できることで、意識に変化が表れてきました」(瀬尾さん)

消極的だった役員にも関心を持ってもらえるように

「DX成功のために大事なものは?」という問いには「忍耐力と人間力」と返ってきた。上層部から現場まで、大きな組織を動かすためには忍耐力と、人間力がカギ。

「DX成功のために大事なものは?」という問いには「忍耐力と人間力」と返ってきた。上層部から現場まで、大きな組織を動かすためには忍耐力と、人間力がカギ。

新型コロナウィルスの感染拡大により、東洋エンジニアリングでも2020年3月上旬から原則在宅勤務となった。同時にTeamsの利用率が急激に上昇したという。

MS Teamsユーザーアクティビティ推移

MS Teamsユーザーアクティビティ推移

「Teamsはリモートワーク中のビデオ会議やプロジェクトのファイル共有、コミュニケーションのツールとしてグローバルで活用しています。コロナ禍以前からある程度社内に導入していたこともあり、在宅勤務への移行もスムースに進みました。今は物理的な集合研修ができないためセミナー等はオンラインで配信していますが、今後もDXoTを後押しするためにも、現場を継続的にサポートしていきたいと考えています」(大見さん)

現体制のスタートから1年、最近では経営陣と現場社員それぞれに変化が生まれてきたと瀬尾さんは話す。

「『2024年に生産性6倍』というDXoTのビジョンは当初、経営陣からは猛反発を受けました。しかし、繰り返し言い続けるうちに、消極的だった役員にも関心を持ってもらえるように。改革を進めるには粘り強さが必要だと改めて実感しています」(瀬尾さん)

社内にもDXoTに賛同するフォロワーが増えてきた。従来は「与えられた枠組みの中でどうマネジメントするか」が求められ、新しい発想を生み出す構想力が低かった。しかし、少しずつDXoTの理念が浸透し、「社員の自主性が生まれている」と瀬尾さんは手応えを感じている。

北山さんも続ける。

「COMIT TOYOのメンバーも若手の旗振り役として経験を積み、各々のスキルが上がってきました。若手も業務の非効率に気づいていながら、どうしても目の前の業務に追われがちでした。会社全体の仕組みを変え、無駄を減らして本業に充てる時間を増やせたら、もっとクリエイティブな発想が生まれ、仕事のやりがいも高まるのではないでしょうか」(北山さん)

2024年のビジョン達成に向けて現在の達成率は「20〜30%」と語る瀬尾さん。最後に今後の展望を聞いた。

「プラント建設では、人間の認知力とベテランの経験値でできることに限界があった。データ集約と客観的示唆をデジタルに頼り、人間はそれを解釈した上で適切な判断を下すという理想形を追求しています。

DXoTの達成ステージは、社内のあらゆる部門において「新しいことに挑戦しよう」という考えが自然発生的に生まれる環境が常態化すること。成功プロジェクトの再現性を高めるだけでなく、新たな技術や新たなビジネスに繋げられる発想がポジティブに飛び交い、会社全体に「常に変革し続ける企業文化」が根付けばいいですね」(瀬尾さん)

Microsoft Teamsについて、詳しくはこちら。

MSイベント告知バナー

<9/16 オンラインイベント開催>

DXの遅れ、オンラインでの新しい働き方、その中で求められるリーダーシップのあり方……。コロナ禍は、私たちが抱える問題を浮き彫りにしました。今、企業に求められるDX、そして組織のあり方、リーダー像とはどのようなものなのでしょうか。

1部では、今後の日本企業に求められるDXと組織変革について、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授に、経営学の視点に基づくDXのポイントをお話しいただきます。2部では、2017年度からDXに着手しているプラント専業大手、東洋エンジニアリングの事例をもとに、“昭和的な”手法が残る産業でDXを成功させるコツを伝えます。創業60年の日本企業で、同社が会社をあげてどのように改革を進めたのか、そこから見えてきた課題は何か。参加者からの質問もお受けしつつ、お話しいただきます。

■オンラインイベント概要

  • 日時:9月16日(水)14:00-16:00
  • 視聴方法:Teams ライブイベントを予定。詳細はPeatix「イベント視聴ページ」にてご確認ください。
  • 参加費:無料
  • 主催:Business Insider Japan編集部
  • 協賛:日本マイクロソフト

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