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- アメリカの生命保険大手メットライフ(MetLife)が2000人のアメリカ人労働者を対象に7月に行った調査では、多くの人が、自分が臨床的に見てバーンアウト(燃え尽き症候群)やうつの基準を満たしていることに気付いていないことが分かった。
- 労働者のおよそ3人に1人がバーンアウトを経験していると答えたが、実はその数はもっと多いという。
- 精神的/身体的に疲れ切っている、職場で強いプレッシャーを感じるといったバーンアウトの複数の兆候について心当たりを尋ねたところ、労働者の約64%が「はい」と答えた。
- また、多くの人が必要な助けを得ていないことも分かった。回答者の37%は、助けを求めることで社会的な烙印を押されてしまうのではないかと恐れているという。
人々は今、不安やストレスを抱え、落ち込んでいる。新型コロナウイルスのパンデミックで、失業するのではないか、お金に困るのではないかと心配し、大事な人たちとも社会的に引き離され、仕事では働き過ぎを感じている。
アメリカ人2000人を対象にメットライフが行った7月の調査で分かったこうした結果は、驚きではない。もっと重要なのは、多くの人が、自分が臨床的に見てバーンアウト(燃え尽き症候群)やうつの基準を満たしていることに気付いていないということだ。
「従業員たちは仕事でもプライベートでも、かつてない困難に直面しています。これは個人のメンタルヘルスや総合的な健康に直接影響します」とメットライフの取締役副社長で最高人事責任者のスーザン・ポドロガル(Susan Podlogar)氏は指摘する。「こうした問題はこの危機で悪化していますが、従業員のメンタルヘルス対策という意味では、長期的に学ぶべき教訓があります」という。
一部の従業員にとって、うつや不安を経験するのはこれが初めてかもしれない。こうした人々は、その症状に気付いていない可能性があると、メットライフの調査結果は示している。
例えば、バーンアウトを経験していると答えたのは、労働者のおよそ3人に1人だ。だが、精神的/身体的に疲れ切っている、職場で強いプレッシャーを感じるといったバーンアウトの複数の兆候について心当たりを尋ねたところ、労働者の約64%が「はい」と答えている。
言い換えれば、人々は自分の"苦しみ"がいかに深刻なものか、気付いていないように見える。
同様に、気分が滅入っていると答えた労働者は17%だったが、よく眠れない、気分が落ち込む、物事に関心が持てないといったうつの兆候を少なくとも5つ感じていると答えた労働者の割合は41%にのぼった。
調査対象となった労働者のほとんどは、これまでにサポートを受けていない。過去にメンタルヘルスの助けを探す必要があったと答えた従業員はわずか約26%で、10人に1人はサポートを求めることで管理職から差別を受けることを懸念している。
メンタルヘルスを支援する手当やリソースを充実させることは、企業が従業員を救う1つの方法だ。しかし、管理職が部下の気持ちを慮ることも重要だ。
「職場にサポートできる環境を作るためには、管理職はまず、支援を受けることへの思いやりや差別・偏見を認識することから始めましょう」とポドロガル氏はBusiness Insiderに語った。
「幹部も模範を示し、受容と理解という基本的なカルチャーを作るために自身のストレス、バーンアウト、メンタルヘルスの経験を共有すべきです」という。
[原文:American workers may be unaware of how burned out and depressed they actually are]
(翻訳、編集:山口佳美)