23歳現役大学生社長が語る、10歳、20歳上の相手に本音でぶつかる効能と秘訣

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あなたの交友関係のなかで、10歳、20歳、歳の離れた人はどのくらいいるでしょうか —— ? もしかしたら、それだけ歳が離れてしまうと、共通の話題が見つからず、どう接したら良いか分からないことも多いかもしれません。

「知り合いのほとんどが20歳以上年上の方」と話すのが、タイミー代表取締役の小川嶺さん。スキマバイトアプリ「Timee」を運営している小川さんは、弱冠23歳、現在大学在学中ながらタイミーを2017年に創業し、サイバーエージェントやミクシィなどから計23億円の資金調達

サービスリリースから1年半でユーザー100万人を突破するなど、成長著しいベンチャー企業の経営者として注目を集めています。

小川さんはその一方、DeNAの南場智子さんサイバーエージェントの藤田晋さんなど錚々たる顔ぶれと交友関係を築き、経営者の諸先輩方からさまざまなことを学んでいるといいます。今回はそんな小川さんに「本音でぶつかれる年上の相手の効能」についてお伺いします。

年上の人からでないと学べなかったこと

—— 小川さんは年上の方々との交友関係が多いと伺いました。日ごろどんなお付き合いをされていますか?

小川嶺さん

基本的には起業家の方ばかりなのですが、ひとりに出会って、その方に他の方を紹介していただいて……というのを繰り返しています。20歳くらい年上の方が多いので、友人というのもおこがましいのですが、会食で名刺やLINEを交換して、「またお会いしましょう」みたいな感じで、いろんな方と仲良くしていただいています。

DeNA(取締役会長)の南場(智子)さん、サイバーエージェント(代表取締役社長)の藤田(晋)さん、エニグモ(代表取締役)の須田(将啓)さん、レオス・キャピタルワークス(代表取締役会長兼社長)の藤野(英人)さん……。先輩方が見てきて、思い描いている世界をディスカッションの中で学ばせてもらっています。

—— サイバーエージェントから出資を受けていらっしゃいますから、投資家と投資先の関係でもあるんですね。利害関係があると少し遠慮してしまいそうな気もしますが……。

サイバーエージェントからは1億円出資していただいていますが、そこまで細かいことは言われないですね。「頑張ってくれればいいよ」というスタンスというか……。

もちろん期待してくださっていることはたしかなのですが、藤田さんは最年少で上場を果たした方(2000年当時)で、僕もそれを目指していますし、若くして事を成した方々から、いかに組織をつくって、どんな苦労をいかに乗り越えて、今の成功があるのか……と、経営者としての心構えを伺っています。

—— 経営者のみなさんが起業されたころとは市場環境が異なりますが、諸先輩方の話をどう参考にされているのですか。

僕自身、わりとスタンスがハッキリしているので、経営者のみなさんから話を聞いてもそのすべてを自分の手法として取り入れるわけではないです。彼らの勝ち筋や方程式を聞いて、自分の方法論がブラッシュアップされていく。大きな幹に枝葉をつけていくように、さまざまな意見を聞いていくような感じなんです。

小川さんとDeNAの南場さん

DeNAの南場さんと

南場さんが「仕事は楽しくなければ意味がない」とよくおっしゃっていて、実際、社員がどう働いているのか、ワーク・ライフバランスをいかに実現していくのか……具体例を挙げて説明してくださいました。

仕事を頑張るのは大前提として、「楽しむ」というのはそこで意識するようになったんです。DeNAでは定期的に経営陣合宿を開いて、本音で話し合える場をつくっているそうで、うちの会社でも取り入れました。

それと組織はやはり「人」が重要で、時代が変わっても人って根本的には変わらないと思うんです。サイバーエージェントの採用基準が「素直で良いヤツ」というのもすごく良いなあと思いますし、「あした会議」(半期に一度開催される役員会議。役員とドラフト会議で抜擢されたエース社員を中心にチームが組閣され、新規事業や改革案が提案される)のように、社員全員に会社の未来を考える機会や情報アクセスの権限が与えられているのも、社員のコミットを促すにはいいやり方だなあ、と。

光通信(代表取締役社長)の和田(英明)さんと話したときには、自分自身、経営者としての未熟さを感じさせられました。かなり細かい単位まで社長自身が数字を把握していて、徹底してKPIを社員自身に意識させるような制度設計ができている。退職した社員とも関係を続け、出資したり、一緒に仕事を生み出したりしている。売上高5000億円超と圧倒的な成果を残している光通信と比べて、僕らはまだ100億円規模。足元にも及ばないというか、まだまだ緩んでいるところがあると思い知らされました。

—— 特に「この人のようになりたい」と思う方はいらっしゃるのですか?

特定のロールモデルとしては考えていなくて、みなさんの強みや良いところを少しずつ参考にさせてもらいたいなと考えています。

南場さんのチャーミングさ、藤田さんの冷静さ、和田さんの二歩三歩先を見るところ、(ソフトバンクの)孫(正義)さんは、やはり圧倒的な成果を出しているところ……。「孫さんが言うなら」と、誰もがついてくる。そういったところに「自分らしさ」を掛け合わせて、いい経営者を目指していきたいと思います。

—— 小川さん自身の「自分らしさ」とはどういうものですか。

起業家としては若いほうなので、スピード感やフットワークの軽さはいいところなのかな、と。それに、事業をするにしても、自分が当事者であることを大切にしています。

Timeeもまさにそうやって生まれたものです。単発バイトをやっていると、ネットを調べて、応募して面接して、現場に行ってバイトして……そこから給料をもらえるまでに細かくいろんなやり取りをする。

それがわずらわしくて、求人募集から給与受け取りまでをワンストップで完結できるようなアプリサービスを始めたんです。やっぱり、マスターゲット向けに事業をつくり、成功させるには、自分自身がユーザー目線を持っていて、当事者意識がないと難しいのではないでしょうか。

「ギブ」を心がければ相手にも有意義な時間

—— 交友関係を深めようと思う年上の友人には、なにか共通点はありますか?

小川嶺さん2

自分の経験を語るにしても、「武勇伝」みたいにはならないというか、自分なりの方程式として解釈していて、経営哲学を持っている。自分自身が目指す20年後の経営者像を思い描いたとき、必要なパーツを一つでも持っている方なのかなと思います。

実際、今回のコロナ禍においてさまざまな経営者の方と話して、事業の状況について情報交換なども行いましたが、リーマンショックを乗り越えた方々でさえ「リーマン以上に厳しい」とおっしゃっている。うちの事業は単発バイトがメインですから、モロに影響を食らいました。

デリバリーサービス(Timeeデリバリー)を始めたのも、飲食業に携わる知人が苦しんでいて、売上が下がってしまっているのを見て、なにかできることはないだろうかと思ったからです。先輩方の話を伺いながら、僕らも頑張らなければならないなと感じているところです。

—— 逆に、経営者のみなさんは、小川さんと交流を深めることにどんな意味を見いだしているのでしょうか。

やっぱり、同世代だけで話していると、いつも似たような話題になってしまうじゃないですか。僕とは20歳以上離れていることもザラにありますし、まったく異なる意見や考え方をぶつけるから、興味を持ってくださっているのかなと思います。

スタートアップの経営者も、良い悪いは別としてやっぱり若手だけでつるんでしまうんですよ。もちろん、同世代にも仲の良い友人はいますが、むしろ年上の友人のほうが多いんですよね。

僕は年上の人とも、本音でしか話さないんです。本音で話して、合わない人とは価値観が違うんだろうし、相手の時間を奪ってしまうだけになる。だから、仮面を被ったりつくろったりはしませんし、ギブアンドテイクの「ギブ」を意識するようにしています。

—— 例えばどんな「ギブ」を行っているのですか?

小川嶺さん3

経営者の先輩方はもう20年、30年と会社を経営されているので、現場から少し離れてしまっている部分もあります。ですから新規事業のアイデアに対して意見を求められたとき、生意気ながらも若者として、学生起業家としての所感や意見を述べています。

僕自身も一起業家として意見させていただくことを意識しているので、本当に“バチバチ”に戦いますよ(笑)。それでも何事もなかったようにそのあとLINEでやり取りするので、本当に懐の深い方ばかりだなあと感じます。

これはお互いにとってそうだと思うのですが、限られた人生の中でいかに時間を使い、投資するべきかと考えたら、やはりこの人と一緒に時間を過ごしたい、話をしたいと思える人と付き合っていきたい。相手の方に「小川くんと話せて有意義な時間を過ごせた」と感じていただけることを常に意識しています。

—— それだけ年齢が違うと、カルチャーギャップを感じることはありませんか?

「若いなあ」とはよく言われますけどね(苦笑)。一周回って、そういうことを言われるのに慣れたかもしれません。ハッキリしているぶん、好かれる人には好かれるけど、好かれない人には好かれないですし、僕という人間を気に入っていただける方と仲良くさせていただいています。

旅行やドライブに行ったり、ゴルフのラウンドを回ったり……。これまで趣味らしい趣味がなかったので、いろんなことに関心を持つようになりました。最近ではアートに関心のある経営者の方が多いので、アートに詳しい友人に聞いたり、アートについて学んだりしています。

それと、サッカーとかバドミントンとか、スポーツはそれなりにやってきたのですが、ゴルフだけはしっかり基礎を学んでスコア70台で回れるようになりたいなと思って、レッスンプロの方に学ぼうとしています。

—— そういう趣味的な時間も大切にされているんですね。

経営者の方とは本当に、経営の話ばかりではなく一個人として付き合っているんです。別荘にお邪魔させてもらって、お酒なんかを持ち寄って、食事をしながらみんなで夢を語る。

みなさん、僕の20歳、30歳年上なのに、子どもみたいにピュアな夢を語るんです。現実ばかりをシビアに見るのではなく、情熱を捧げられるものとして、体験に基づいていろんなアイデアを語ってくれる。僕としてもすごく刺激になりますし、なにかお力になれることがあればいいなあと感じます。

小川嶺さん4

—— 年上の方からの言葉で、なにか印象に残っているものはありますか。

何人かで飲んでいたとき、翌日早朝から予定があったので、2番目くらいに早く帰ろうとしたんですよ。「明日早いので、ここで失礼します」って。そうしたら「えっ、もう帰るの? おまえ、この中でいちばん若いんだから、最後までいなきゃダメだろ」と言われたんです。

—— そういう“縦社会”のノリって、小川さんくらいの世代の方だと違和感も大きいでしょうね……。

でも、そこでハッとさせられたんです。その方はそういう価値観を大切にしているわけだし、20歳も年上の方にそんな失礼なことをしてはいけないじゃないですか。それに、なんか「自分の都合の良いときだけ楽しもうとしていたな」と気づかされたんです。

その方は、なにも「ずっとここにいろ」と言いたかったわけではないと思うんです。僕の人との向き合い方というか、今後人間関係を築いていくうえで、「一緒に過ごす」時間の重要さをその言葉で示してくださった。僕自身、なにかと合理的に考えるほうではあるのですが、それだけではない時間も大切であると教えてくださったんです。

歳は関係ない、目的意識と価値観で人はつながれる

—— 交友関係はもっぱら年上の方が多いとのことですが、同年代や年下の方とはどのように接していますか。

高校生とかからもよくメッセージが来るんですけど、経験がまだそこまでない中で、その人が武器にできるものって「志」だと思うんです。自分の無力さを知りながらも、こういうビジョンを成し遂げたい、日本をよりよくしていきたいと考えているような人なら、自分の時間を投資してもいいと思える。

そう考えると……もしかしたら僕も、年上の人たちからそう思ってもらえているのかもしれませんね。本来、僕みたいな若造に費やす時間なんてないはずなんですよ。歳をとればとるほど時間は限られてくるし、お互いにとって意味があって、刺激のあることしかやらないはず。

小川嶺さん5

経営者って、究極的にはどう世界を変えるのかしか考えていませんからね。寝る間を惜しんで、事業と関係ないことには時間を割かない。しっかり自分の能力を磨いて、自分の強みを認識して、ポートフォリオや実績を端的に説明して、意見をもらうことでいかにブラッシュアップするか。その繰り返しが経営なわけです。

だから、僕は失敗できないんです。本当にたくさんの方に期待をかけていただいていますから。

—— すべての人付き合いを意味のあるものにしようとすると、なんだか冷たい人に思われてしまいそうなのですが……。

そういう意味では、僕にはもしかしたら純粋な友人はいないのかもしれないですね……(苦笑)。あらゆることに目的意識を求めてしまうんです。ツイッターだって、一見すると無駄かもしれないけど、明確に会社のことや経営に対する考え方について発信しようとしている。

別に、友達と仕事の話とか恋愛話とかをしてもいいですが、そこにもやはり目的意識があります。目的意識もなく、グダグダ飲んだりはしません。それは、同世代や年下に限らず、年上の方もそうです。目的意識を持っていればまったく捉え方は違ってくるはずです。

でも、社外と社内に対する時間の使い方はまったく違いますよ。社員は家族だと思っているので、彼らにはいくらでも時間を投資したいと思っている。どんなときにも社員ファーストで、責任を持って考えて、なにかあれば真っ先に助けたいと思っています。だって家族ですから。

それでも、いつも自分のコアとして大切にしている価値観は、「人生の時間は有限である」ということ。会社のビジョンにも「一人一人の時間を豊かに」を掲げているくらい。だからこそ、僕と関わってくれる人には「一緒に過ごせてよかったな」「小川に話してよかったな」と思ってもらいたいですね。

小川嶺さん6

PROFILE
株式会社タイミー 代表取締役:小川嶺
1997年生まれ。立教大学経営学部在学中。リクルート/サイバーエージェントでのインターンを経験。慶應義塾⼤学のビジネスコンテストで優勝したのち、株式会社Recolleを立ち上げるも1年で事業転換を決意。株式会社タイミーに社名変更。これまでにJAFCOやサイバーエージェントを筆頭に総額23億5600万円の資金調達を⾏っている。50を超える様々なイベントでの登壇実績があり、現在九州大非常勤講師も務めている。

[取材・文] 大矢幸世 [企画・編集] 岡徳之 [撮影] 伊藤圭

iXキャリアコンパスより転載(2020年8月7日公開の記事

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