1994年以降、28兆トンもの氷が地球上から消えていた —— 研究者は温暖化が原因と指摘

小さな氷山

グリーンランド南部。

Education Images/Universal Images Group via Getty Images

  • 1994年以降、28兆トンもの「驚異的な」量の氷が地表から消えていることを、イギリスの科学者グループが発見した。
  • 衛星データを分析したところ、氷河や氷床の融解によって海水面が劇的に上昇する恐れがあり、今世紀末までに1メートル上がる可能性があることが分かった。
  • これは国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測した最悪の場合のシナリオに符合するものだと、科学者らは考えている。
  • この少し前には、オハイオ州立大学の研究者らが、世界で2番目に大きい氷体であるグリーンランドの氷床の融解はもはや止められないだろうとする論文を発表していた。

1994年以降、28兆トンもの「驚異的な」量の氷が地表から消えていることを、イギリスの科学者グループが発見した。

リーズ大学、エジンバラ大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの科学者たちは、温暖化の影響を明らかにするために、1994年から2017年までの氷河、山々、氷床の衛星データを分析した。そのレビュー論文が学術誌『Cryosphere Discussions』に掲載された。

彼らが「驚異的」と表現するほどの量の氷河や氷床の融解によって、海水面が劇的に上昇する恐れがあり、今世紀末までに1メートル上がる可能性があるという。

「分かりやすく言えば、海面が1センチ上昇するごとに約100万人が海抜の低い、今住んでいる土地から追い出されるということだ」とリーズ大学極地観測モデリングセンター(CPOM)の所長、アンディ・シェパード(Andy Shepherd)教授はガーディアンに語った

膨大な量の氷を失うことで、北極や南極の海域における生物学的な健全性が大きく乱れたり、太陽放射を宇宙に向けて反射する地球の能力が衰えたりといった深刻な結果を招く恐れもある。

今回の研究結果は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が予測した最悪の場合のシナリオに符合するものだと、科学者らは考えている。

「研究者はこれまで、南極、あるいはグリーンランドなど、氷が解けているエリアを個別に調査してきた。だが今回は、地球全体から消えていく全ての氷を対象とした初めての研究となった」とシェパード教授はガーディアンに語った。「その結果に我々は非常に驚かされた」という。

「地球上で失われた氷の大半は、地球温暖化が直接的な原因となっていることは疑いようがない」と科学者グループは論文に書いている。

この少し前には、オハイオ州立大学の研究者らが、グリーンランドの氷床の融解はもはや止められないだろうとする論文を発表していた。

研究者らによると、グリーランドの氷床の上に毎年降り積もる雪の量が、氷の溶けるペースに追いつかなくなっているという。つまり、その氷床は気温の上昇が止まったとしても氷を失い続けるということだ。

グリーンランドの氷床は、南極大陸の氷床に次いで2番目に大きい氷体だ。

「我々が発見したのは、海に溶けていく氷の方が、氷床の表面に蓄積していく雪の量よりもずっと多いということだ」と、論文の筆頭著者で、オハイオ州立大学バード極地気候研究センターの研究者であるミカエラ・キング(Michalea King)氏はプレスリリースで述べた。

NASAの研究によると、2010~2019年は史上最も気温の高い10年間だった。

[原文:Earth has lost a 'staggering' 28 trillion tonnes of ice to global warming in the last 23 years, UK scientists find

(翻訳:仲田文子、編集:山口佳美)

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