Reuters/Kim Kyung Hoon
新型コロナ危機、それにオーバーラップして盛り上がった Black Lives Matter 運動(BLM)は、教育・健康・経済面での格差、構造的な人種差別など、それまで社会に存在しながらも無視されてきた数多くの問題をさらけ出すことになった。これは、新型コロナというウィルスがもたらした「副作用」だったと思う。
その中で、期せずして見えてきたことがある。どんな社会が未知の危機に比較的うまく対応できるかということだ。特徴の一つは、「多様性(ダイバーシティ)」と「包容力(インクルージョン)」の高い社会の強さ、そして画一的で排他的な社会の弱点ではなかっただろうか。
「ダイバーシティとインクルージョン(D&I)」というコンセプト自体は、昨日今日生まれたものではないが、「社会を多様なタイプの人々に対してもっと公平なものにしていこう」「人種や性別などで人を差別するような社会は変えていこう」「これまで主流派でなかった人々の声に耳を傾けていくことが必要だ」という変化への要求は、少なくともアメリカにおいては、この数カ月間で目に見えて強まった。企業もそのような世論の流れに対し、素早く明確な対応を見せている。
2020年選挙は「マイノリティ女性の年」に
副大統領候補に指名されたカマラ・ハリス氏(右)。正副大統領候補として黒人の女性が指名されることは史上初(2020年8月20日撮影)。
KEVIN LAMARQUE/Reuters