「新しい財産的価値」の創出こそ、世界のビジネスの潮流。ブロックチェーンの最前線から見える風景

ブロックチェーン

世界でさまざまな専門家たちが「新しい財産的価値の創出」にチャレンジしている。

GettyImages/Business Insider Japan

本日から、ビジネスパーソンにとって今後必須の知識になると思われるブロックチェーンについて、押さえておくべきトピックや用語を解説させていただきます。

初回のテーマは「財産的価値」。

財産的価値は、資金決済法上の「暗号資産(仮想通貨)」の定義にも出てくる言葉です。

日本国憲法第29条にはこう書かれています(3項は省略)。

第29条 財産権は、これを侵してはならない。

2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

では、ここで問題です。

憲法にもとづき、法律で財産権が定められることで、財産的価値が生まれるのでしょうか。

それとも、先に財産的価値が生まれて、それを法律で定めることで財産権が認められるのでしょうか?

正解は後者です。

ビットコインなどの暗号資産の場合、先に財産的価値が世界的に認められました。その結果、資金決済法の改正によって暗号資産とは何かが定義され、法的に財産権が認められたのです。

これからも、何か新しい財産的価値が生まれて、のちに財産権として認められるケースが出てくるかもしれません。

例えば、ブロックチェーンを応用したゲーム内で発行されるレアカードのなかには、数十万円、数百万円で取り引きされるものもあります。

このレアカードには(法定通貨との取り引きが可能という意味で)たしかに財産的価値がありますが、モノでもなく、債権でもなく、暗号資産でもなく、いまのところ法律に認められていない存在なので、財産権は定かではありません。

「財産的価値」は自由に設計できる

こうした新しい財産的価値がブロックチェーン分野から生まれてくるのは、実は偶然ではないのです。

ブロックチェーンには改竄(かいざん)がきわめて困難な性質があり、それを応用すれば、ある情報のオーナーが誰であるかを容易に証明することができます。

いままでは容易にコピーできたため、財産的価値を持ちにくかった情報、例えばゲーム内で発行される電子的なカードのようなものも、「このレアカードは世界に1枚しかありません。持っているのはあなただけです!」と証明書付きでパッケージできれば、名画のような価値が生まれるのです。

ちなみに、最近リリースされたスマホ向け位置情報ゲーム『駅メモ! Our Rails』では、ブロックチェーン技術を使った「駅トークン」を購入することで、実在する駅のゲーム上のオーナーになれる機能が実装されるそうです(2020年秋頃の予定)。

2020年8月にリリースされた『駅メモ!Our Rails』の公式PV。

出典:モバイルファクトリーYouTube公式アカウント

駅のオーナーになると、フェアマスターと呼ばれる他のプレイヤーと一緒に駅を盛り上げることで、対価として、フェアマスターが(その駅でフェアを開催するために)支払う利用料の一部を得ることができます。

発売元のモバイルファクトリーによると、購入時価1万円の駅を保有するオーナーが、フェアマスター1人(利用料500円/月額)とともに駅を盛り上げた場合、対価として年額4000円程度の収入が見込めるとのこと。

位置ゲーム ブロックチェーン

フェアに参加して駅を盛り上げるプレイヤー、駅利用料を支払ってフェアを開催するフェアマスター、利用料を受け取ってブースを提供する駅オーナーによる経済圏が生まれる。

提供:モバイルファクトリー

ゲーム内の話とはいえ、ここまでくると、有価証券ではない新たな権利として、法律上の財産権が認められるべきだと私は考えています。

ここまでご説明したように、財産的価値は、他の法律に反しない限り自由に設計することができます。それが広く認められれば、法改正によって財産権となり、結果として財産的価値が上昇する可能性もあります。

夢物語ではなく、実際にそうした新しいビジネスをめぐる競争が世界規模で始まっているのです。

ビットコインを初期に保有していた人たちが、いまや数百億、数千億の財産を築いている現実に目を向ければ、何となく想像していただけるのではないでしょうか。

世界では、起業家・弁護士・会計士・エンジニア・政治家など、幅広い分野にわたる専門家たちが力を合わせ、新しい財産的価値の創出にチャレンジしています。

ぜひ皆さんにも関心を持っていただけたらと思います。


岡部典孝(おかべ・のりたか):2001年、一橋大学在学中に有限会社(現株式会社)リアルアンリアルを創業し、代表取締役、取締役CTO等を務める。2017年、リアルワールドゲームス株式会社を共同創業。取締役CTO/CFOを経て、取締役ARUK(暗号資産)担当。2019年日本暗号資産市場を創業し、代表取締役。

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