ドイツ・デュッセルドルフにあるトリバゴ(Trivago)の本部オフィス。
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- トリバゴ(Trivago)は、在宅勤務とオフィス出社を組み合わせた新たな働き方を導入する方針を明らかにした。アクセル・ヒーファー最高経営責任者(CEO)がBusiness Insiderのインタビューに答えた。
- ヒーファーCEOによれば、完全リモートワークを推奨するツイッターとフェイスブックは完全に間違っている。リモート会議には制約が多すぎるというのがその理由だ。
- 以前も「いまこそリモートワークをやろう」の大波がやってきたが、ほとんどが失敗に終わっている、とヒーファーは指摘する。
2019年に10億ドル近い売り上げを記録した、ドイツ発のホテル料金比較サイト「トリバゴ」は、9月から新たな働き方モデルを導入する方針を明らかにした。
同社のアクセル・ヒーファーCEOによると、従業員には外出自粛期間と同じように、基本リモートワークを続けさせるが、1カ月のうち何度かはオフィス出社を推奨する「ハイブリッド」な働き方を求めていく。
一方、家族の介護をしている従業員については最大3年間、時間と場所を問わないフレキシブルな在宅勤務を認める。また、これまで1年間が上限だった育児休暇を、最大2年取得できるように変更する。
さらに、パンデミックで蓄積されたストレスを解消し、回復をはかるため、従業員全員に1週間の有給休暇を追加で付与するという。
パンデミックの影響を受ける旅行業界について、米CNBCテレビのインタビューを受けるトリバゴのアクセル・ヒーファー最高経営責任者(CEO)。
出典:CNBC Television YouTube Official Channel
このトリバゴの新たな働き方モデルは、長期の在宅勤務を推奨する大手テック企業とは対照的だ。
2020年5月、ツイッターはロックダウン解除後も従業員に永久リモートワークを認めると発表。グーグルも2021年夏まで在宅勤務を継続する方針を発表し、フェイスブックは2030年までに従業員の半数がリモートワーカーになるとの見通しを示した。
ドイツの保険・金融サービス大手アリアンツのようなレガシー企業までが、新型コロナウイルスの第二波を踏まえてオフィス再開を延期するなか、トリバゴの判断は際立ってみえる。
ヒーファーCEOはBusiness Insiderの取材に対し、次のように語っている。
「以前にも、企業がこぞって『いまこそリモートワークをやろう』となだれ込んだ時期があったが、結局そのほとんどは失敗した」
リモートワークはほとんどの状況で有効な手法ではあるものの、クリエイティビティが求められ、大きな判断をする必要のあるミーティングは対面で行うのがベスト、というのがヒーファーCEOの考えだ。
「フェイスブックにせよ、ツイッターにせよ、アリアンツにせよ、各社の決定や判断については、いつも微笑みながら眺めている。ただ、そのうちどのやり方が優れているのか比べてみたとき、正直なところ、私にはいずれもこれが一番いいという選択肢には見えない」
そうした判断から、トリバゴでは月に何度か、具体的には1〜2週間程度の「オフィス復帰」を推奨する方針を決定した。ただし、現時点ではあくまで選択肢であり、義務にはしないという。
[原文:Why fully remote working is doomed to fail, according to the CEO of travel giant Trivago]
(翻訳・編集:川村力)