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ソニー家電事業、2Q以降は「コロナ回復」明瞭に。通信とデジカメの「融合」本格検討か…幹部インタビュー

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東京・品川のソニー本社前。

Shutterstock

コロナ禍でも数字上はどうにか「堅調」な決算だったソニー。

しかし、セクター別にみると、コロナの影響度には大差があるのが実情だった。

なかでも、影響を早期に受けたのが、家電全般を受け持つ「エレクトロニクス部門」。しかし、このダメージも、すでに回復への道筋が見え始めた、と幹部は語る。

ソニーエレクトロニクス・代表取締役社長兼CEOの石塚茂樹氏と、同・代表取締役副社長兼 COOの高木一郎氏へのインタビューから、ソニーの「顔」である部門の今を探った。

(取材:8月25日の合同インタビューにて)

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ソニーエレクトロニクス・代表取締役社長 兼 CEOの石塚茂樹氏(左)、ソニーエレクトロニクス・代表取締役 副社長 兼 COOの高木一郎氏。

撮影:西田宗千佳

※ソニーは2021年4月1日に社名変更を予定。グループを統括する本社機能を持つ部分が「ソニーグループ」になり、現在のソニーエレクトロニクスが「ソニー」になることが決まっている。

コロナ禍からは回復進み、日中欧は2Q以降前年並みに

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コロナ禍直前の海外イベント出展となったCES2020のソニーブース。

撮影:伊藤有

まず気になるのは、ソニーのエレクトロニクス事業がどういう状況にあるかだ。

8月5日に開かれた2020年度第1四半期の連結業績説明会では、エレクトロニクス事業の売上高は前年同期比1521億円減り、比率にして31%の大幅減となったことが発表された。

だが、高木COOは「回復基調にある」と説明する。

高木COO「今後主要地域では国家レベルでのロックダウンは起きない、という前提ですが、日本・中国・欧米については、第2四半期以降は前年並みに戻ります。そして、第4四半期はさらに改善の見込みです。

というのは、昨年度の第4四半期には、すでに中国のロックダウンの影響があったためです。南米、インド、東南アジアの一部に影響がまだ残ると予想しています」

ソニーは1月以降、まず中国からの部品調達の鈍化により、世界各地での生産に大きな影響を受けた。

しかし、「中国から他国、他のメーカーへと購入元を変えられるよう、至急対処した」(高木COO)結果、生産体制は回復した。今は部品調達元のサプライヤーを2社、3社と選べるよう、自由度を確保している。

現在も国をまたいだ移動ができないため、「リモートで量産体制を立ち上げねばならない、という未経験のことが起きている」(高木COO)という。ただし、これはソニーだけの話ではなく、どのメーカーも直面している課題だ。

全世界「巣ごもり」で大画面テレビ、サウンドバーが好調

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ソニーの4K液晶ブラビア「KJ-65X9500H」。実売価格33万円前後。

出典:ソニー

そんな中、ソニーは「8月にはほぼ通常稼働」(高木COO)に戻ったという。家電のニーズも戻ってはいるが、“売れるものと厳しいものが分かれている状況”だと明かした。

「全体として、“巣ごもり”影響が顕著。売れているのはまずテレビ。日欧米とも売れていますが、特に好調なのがアメリカ市場です。なかには前年比50%以上も伸びた週があります。特に見られているのは、メジャーリーグを中心としたスポーツやライブ中継。巣ごもり需要が顕著で、75インチが伸びています。

傾向として、今後景気が厳しくなっても、弊社が販売するような“プレミアムモデル”の売れ行きは大きく左右されないと予想しています。テレビでいえば28インチ以下のような小さなものは厳しくなるでしょう。

オーディオについては、ヘッドホンはまだ厳しい状態ですが、その分、テレビとともにサウンドバーが売れてます」(高木COO)

ソニーのサウンドバー

テレビの前に設置するだけで映画館のようなサラウンドが楽しめるサウンドバー製品「HT-ST5000」。実売価格は15万5000円前後。

出典:ソニー

カメラについては、やはり環境要因が大きい。旅行需要が戻らないと本格的な販売改善は難しいです。しかし、来年、再来年に向けては必ず需要が戻るものと期待しています」(高木COO)

業績厳しい「デジカメ」は動画に活路

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6月19日に「VLOGCAM」を発売するなど新味のある新製品も投入しているが、外出を控える動きの中で、市況全体は厳しい状況にある。

出典:ソニー

「デジカメ市場が厳しい」のは、多くの家電業界関係者が嘆くところだ。ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズの社長でもある石塚CEOは次のように話す。

「デジカメの高付加価値戦略は、我々が2012年から他社に先駆けてやってきた。一眼の世界では我々もトップブランドになり、市場拡大の牽引役としてやってきました。しかし、いまやコロナ禍で市場は厳しい。当面は一定の規模を確保することになります。

そこで注目は“動画”。デジカメとして伸びるのは動画ニーズです。(一眼の)αも動画メインで打ち出して行きます。

カメラ市場は飽和状態と言われますが、コロナ下では、リモート需要がかなり拡大しています。ソニー製デジカメをウェブカメラにする『Imaging Edge Webcam』を、まずWindows 10版から公開しましたが、秋にはMac版も公開すべく開発を進めています。

リモート関連は既存製品だけでなく、オンライン診療などもあります。今後中長期的に、新たな需要に向けて、新たな製品が必要とされるでしょう」

通信とカメラの融合を本格検討か

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東京・品川のソニー本社ビル。

提供:ソニー

重要なのは、やはり新たな製品だ。「ソニーは宿命として、新しいヒット製品を求められる」と石塚CEOも言う。

「過去はモバイルのターンアラウンドが最大の課題でした。しかし、この2年間、大規模な構造改革を前倒ししてコストを最適化し、通期での黒字を達成できる見込みです。

では、中期を成長路線をどう描くのか? (本社社長の)吉田からは“事業の探索”を命じられています。すなわち、次の中長期的な仕込みが課題です」(石塚CEO)

そこには「創業者の言葉」も大きく影響している。

「どう新しい会社を作るのか? 議論を重ねる中で、メンバー一同で、盛田(昭夫)さん・井深(大)さんが創業時に書いた、設立趣意書を読み込みました」(石塚CEO)

ソニー設立趣意書

ソニー設立趣意書。

撮影:伊藤有

「やっぱりそこにはこだわりがありまして、言葉でいえば“チャレンジ精神”。“ソニースピリット”と盛田は何度も言っています。“こういう困難な時代だからこそ大事なんだ”と彼は50年前に言っている。それが今まさに蘇って、時代に即した言葉になっています。ですから、中期経営計画もこのビジョンで徹底的にいきます」(石塚CEO)


「とはいえ、50年のスピリットの質は違います。時代に合わせて変化しつつチャレンジ。先祖返りはしません」(高木COO)

商品発表の場ではないので、「チャレンジ」の詳細は語らなかった。だが、ヒントのようなものは示した。

「短期的には、今あるものをソリューションとして提供することになりますが、コロナのような状況が続くという前提に立てば、新しいテクノロジーを投入した製品を作っていくことになると思います。

そして、カメラ単独というよりは、“新しいエレクトロニクス”としてのシナジーを追求していきます。

具体的には、スマホとカメラをどう融合させるか、完全融合を目指していきます。

世界中で、本格的なスマホ事業とカメラ事業を有している企業はソニー以外にありません。苦労して再生した通信事業と、カメラ、プロ向けのソリューションを、かなり開発投資を増して、短期・長期に向けて開発を強化していきたいです」(石塚CEO)

(文・西田宗千佳

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