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- 2019年、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、デロイト、KPMG、アーンスト&ヤング(EY)の「ビッグ4」と呼ばれる会計事務所の社員総数は、100万人をゆうに超えた。
- これらの企業は、ビジネススクールを卒業したばかりの新入社員に10万ドル(約1000万円)以上の報酬を出すことで知られている。
- これらの企業で会計士やコンサルタントがどれくらい稼いでいるのかを探るため、Business Insiderは米国労働省の外国人労働許可局が発表した2019年の正社員と有期雇用の外国人労働者のデータを分析した。
- 例えば、ビッグ4の中にはプリンシパルレベルで95万ドルの報酬を受け取っている者も。詳細をレポートする。
PwC、デロイト、KPMG、EYのいわゆる「ビッグ4」は、社員が高給取りなことで有名な会計事務所だ。
ビジネススクールを卒業したばかりのエントリーレベルのコンサルタントが、基本給、ボーナス、転居費用などを合計すれば、年収20万ドル以上を手にすることも可能だ。
エントリーレベルからエグゼクティブのポジションまで、この4社で働く社員の報酬について知るため、Business Insiderでは米国労働省外国人労働許可局が発表した2019年の正社員および有期雇用の外国人労働者のデータを分析した。分析対象の給与データはアメリカ全土を対象としている。
特に注目したのは、経営コンサルと会計に関連するポジションのデータだ。業績給、契約時のボーナス、および基本給以外の報酬はこのデータには反映されていない。
では、PwC、デロイト、KPMG、EYに2019年入社した人の給料を、エントリーレベルからエグゼクティブまで詳細に見てみよう。
PwCのプリンシパルは80万4751ドルにも
PwCは世界157カ国に27万6005人のスタッフを擁する。
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売上高420億ドル(4兆2000億円)を超えるグローバル・プロフェッショナル・サービス企業のPwCはコロナの影響下でも採用を続けている。2020年夏には3500人の学生をバーチャル・インターンとして受け入れるだけでなく、2021年の大学生向けのインターンシップもフルタイムでオファーしている。
2019年、PwCは804件のビザ申請をしている。コンサルティング業務と会計業務のポジションの給与レンジは下記の通り。PwCは給与データについてのコメントは控えるとしている。
- アソシエイト:7万0041~13万7255ドル(アドバイザリーと税務を含む)
- シニア・アソシエイト:10万3500~18万3000ドル(アドバイザリーとアシュアランス業務を含む)
- マネジャー:12万3019~26万5167ドル(アドバイザリー、税務、アシュアランス業務を含む)
- シニアマネジャー:13万6227~28万0591ドル(アドバイザリーとアシュアランス業務を含む)
- ディレクター:19万1500~38万8750ドル(アドバイザリー、税務、アシュアランス証業務を含む)
- アドバイザリー・プリンシパル:80万4751ドル
デロイトはシニアレベルにも手厚い報酬
デロイトの社員数はビッグ4の中でも群を抜いている。
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社員数が一番多いのはデロイトであり、調査プラットフォームのスタティスタによると、2019年の社員数は31万2028名にも達した。
また、他の大手コンサル企業と比較してビザの申請数も最も多く、2019年は7444件だった。デロイトに給与データについてコメントを求めたが、回答はなかった。
デロイトはコロナ禍を受けてフルタイム採用の勤務開始日を遅らせているケースが多く、学生向けのインターンプログラムも短縮。またアメリカでは5000人、カナダでは200人の社員を一時帰休としている。
デロイトの組織は、ヒューマンキャピタル部門、ストラテジー&オペレーション部門、テクノロジー部門の3つのサービス分野に分かれており、給与システムもそれぞれ異なる。
コンサルタンティング業務と会計業務のポジションの給与レンジは以下の通り。
- アナリスト:5万8261~11万6500ドル(ビジネス、ヒューマンキャピタル、プロジェクトデリバリー、ソリューション専門のアナリストを含む)
- コンサルタント:9万1000~12万2100ドル
- シニアコンサルタント:8万1167~11万8384ドル
- マネジャー:10万7640ドル~16万480ドル
- シニアマネジャー:18万7253ドル
- コンサルティング・マネージング・ディレクター:19万1300ドル
- 監査・保証業務アシスタント:5万8822ドル
- 税務コンサルタント:4万7570~5万5195ドル
- 税務シニアマネジャー:12万4909ドル
KPMGはプリンシパルに最高95万ドル
KPMGジャパンのグループにはあずさ監査法人なども属する。
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KPMGはグローバルで650を超える拠点を持ち、21万9000人以上の社員が働いている。2019年のビザ申請は434件だった。同社のスポークスパーソンは以前、パンデミックの間も2300人のバーチャルインターンを受け入れる予定だと話しており、参加した学生は2021年にフルタイムのジョブ・オファーを獲得することになると語っていた。
KPMGも給与データへのコメントは差し控える、とした。同社のコンサルタント、会計士、経営幹部の給与レンジは下記の通り。
- アソシエイト:6万4608~7万7963ドル
- シニア・アソシエイト:8万6714~10万9594ドル
- シニア・ビジネス・アナリスト:11万9000ドル
- リード・スペシャリスト:13万3755~16万6100ドル
- シニア・スペシャリスト:9万9679~13万2778ドル
- マネジャー:12万0024~15万5997ドル
- シニアマネジャー:12万3556~18万9345ドル
- アソシエイト・ディレクター:15万5098~16万9050ドル
- ディレクター:17万~26万ドル
- マネージング・ディレクター:23万7202~38万8600ドル
- エグゼクティブ・ディレクター:19万7142~40万8700ドル
- プリンシパル:42万~95万ドル
EYはアクチュアリーに13万ドル超
EYの 2019年売上高は348億ドルだった。
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EYはコロナ禍の間、世界の28万4000人の社員がオンライン・無料でMBA講座を受講できるようにしている。
コロナ禍でグローバル経済が停滞するなか、EYは昇進やボーナスを見合わせていると報道されており、またLinkedInによると2020年4月以降は採用も見送っている。
2019年、EYのビザ申請件数は6761件だった。給与データへのコメントを求めたものの、回答は得られていない。EYのコンサルタント、会計士、監査人、チーフ・エグゼクティブの給与レンジは下記の通り。
- 会計士・監査人:8万0851~12万2900ドル
- アナリスト:7万7500~16万7782ドル(経営、市場調査、業務調査、物流、金融、情報セキュリティ、顧客システム、コンピューターシステム、ビジネス・インテリジェンス、気候変動を専門とするアナリストを含む)
- アクチュアリー:13万5801ドル
- エコノミスト:11万0817ドル
- リスクマネジメント・スペシャリスト:10万8218ドル
- ファイナンシャル・スペシャリスト:9万8949ドル
- ファイナンシャル・マネジャー:11万4763ドル
- 統計スペシャリスト:11万3062ドル
- チーフ・エグゼクティブ:77万5000ドル
(翻訳・田原真梨子、編集・野田翔)