子どもたちはこれまでになくファストフードを食べている —— 最新調査

ハンバーガー

Justin Sullivan/Getty Images

  • 米疾病予防管理センター(CDC)の研究によると、白人の子どもよりも黒人やヒスパニック系の子ども、小さな子どもよりもティーンエイジャーの子どもの方が、ファストフードをよく食べているという。
  • 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で、ファストフードの消費は増えた。3月には、ホットドッグの売り上げが120%以上増えた。
  • イギリスでは、政府が支援する外食プログラムが肥満率の上昇につながるのではないかとの懸念がある。

アメリカの子どもたちはこれまでになくファストフードを食べていることが、米疾病予防管理センター(CDC)のレポートで分かった。ただ、その程度は年齢や民族性によって大きく異なるという。

レポートによると、2015~2018年に子どもたちが1日に摂取するカロリーに占めるファストフードの割合は平均13.8%だった。その前は2011~2012年で12.4%だった。

CDCの研究では、年齢が上の子どもたちの方がファストフードから摂取するカロリーの割合が高いことも分かった。2~11歳の子どもたちが1日に摂取するカロリーに占めるファストフードの割合は11.5%だったが、12~19歳では18%だった。

また、黒人やヒスパニック系の子どもの方が白人の子どもよりもファストフードを食べているという。

アメリカの子どもの3分の1以上が、毎日ファストフードを食べていることも分かった。

CDCのレポートは、直近、2018年の国民健康栄養調査(NHANES) のデータに基づいている。つまり、新型コロナウイルスのパンデミックの影響は含まれていないということだ。だが、あらゆる点から考えて、アメリカ人の食生活はここ数カ月のうちに、より手軽で安価な食べ物へとシフトしている。

ロックダウン(都市封鎖)の間、多くのファストフード系の商品の売り上げが急増した。3月のホットドッグの売り上げは、前の年の同じ月より120%以上増えた

だが、アメリカ人がより不健康な食事を取るようになったのは、"ファストフードが食べたい"という欲求のせいだけではない。パンデミックで多くの人が職を失い、栄養のある食事を作るための時間もお金も減っている。

4月から7月で約3.6%上がった食料品価格も、ファストフードの消費が増えた一因かもしれない。

ファストフードを魅力的にしているのは、その価格だけではない。子を持つ親たちは仕事をやりくりしながら、家で過ごす時間が増えた子どもたちの面倒を見ている。American Camp Associationによると、ロックダウンのせいで今夏は宿泊利用のキャンプ場の80%、日中利用のキャンプ場の40%が閉じたままだという。時間のないアメリカ人たちは、テイクアウトできる食事の手軽さに頼り、デリバリーサービスも急増している。ピザチェーンのドミノ(Domino's)では、2020年第2四半期のアメリカの既存店売り上げが16%増えたと言い、2020年前半の純利益は2億4000万ドルと、2019年より30%多いと報告している。

イギリスでも、パンデミックのせいで肥満率が上がるのではないかとの同様の懸念がある。サービス業を支援するため、政府は8月に「Eat Out to Help Out(外食して支援しよう)」というプログラム —— 条件を満たすレストラン、カフェ、バーで食事をした人の飲食代を50%オフにする —— を導入した(編集注:プログラムは8月31日で終了)。これは政府が助成金を出すものだ。スタートから最初の3週間で6400万回以上の利用があり、イギリスのリシ・スナック財務大臣は、このプログラムがサービス業に従事する約200万人の雇用を支えていると語った。

だが、マクドナルドやバーガーキング、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)といったファストフード店もこのプログラムの対象になっている。これがイギリスの肥満率を上昇させるのではないかとの懸念を広めた。National Obesity Forumも、このプログラムが「ジャンクフード推進の青信号」になると異議を唱えている。

そして、ロックダウン中のファストフードの消費増は、人々の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクを高める。ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究によると、BMI(ボディ・マス指数)が30以上の肥満の人々は、ウイルスで入院する確率が113%高く、死亡リスクも48%高いという。

肥満率の上昇と戦うため、必死の措置を講じている国もある。最近では、メキシコで初めてオアハカ州が子どもにジャンクフードや砂糖が大量に入った飲み物を売ることを禁止した。この法律に違反すると罰金や閉店、経営者が刑務所に入れられる可能性もある。ただ、世界で最も肥満率の高い国の1つであるメキシコで、子どもの肥満を防止するために過激な方策が導入されたのは、これが初めてではない。2014年には、砂糖が大量に入った飲み物やジャンクフードに対する税金が全国的に導入された。それでも、OECDによると、メキシコ人の73%は今も「太り過ぎ」と分類されている。1996年の20%から大幅に増えている。

[原文:Even before the pandemic, American kids were eating more fast food than ever before, says new study

(翻訳、編集:山口佳美)

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