「従業員が他人に推薦できる会社」ランキングの上位はシリコンバレーのテック企業が占めた。
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- ビジネス特化型匿名SNS「ブラインド(Blind)」は、登録ユーザーを対象に、勤務先が他人に薦めたくなる職場かどうか、アンケートによる満足度調査を行った。
- 満足度ランキングの上位を占めたのは、ほとんどがテック企業で、その多くがシリコンバレー拠点だった。
シリコンバレーはもはやかつてのように時代の最先端にはいないのかもしれない。しかし、テック企業の従業員たちはなお、職場としてきわめて良い条件が揃っていると考えているようだ。
登録ユーザーが匿名で勤務先の企業を評価したりコメントをつけたりできるウェブサイトを運営するビジネス特化型匿名SNSブラインドは最近、アメリカ在住のユーザーを対象に、自分のの勤務先を他人に薦められるかどうか、アンケート調査を行った。
調査結果に含めることのできる最低限以上の回答数の集まった66社をランキングしたところ、上位は多くがシリコンバレーのテック企業で占められた。第1位は決済サービスのスクエア(Square)だった。
シリコンバレー本拠のオラクル(Oracle)やエアビー(Airbnb)、リフト(Lyft)もランクインしたが、今回のランキングでは上位に届かなかった。
ブラインドの共同創業者でアメリカ事業を管轄するキュム・キムによれば、従業員たちの会社への評価は「経営者がつくり出すカルチャー次第」だという。
同社はアンケート調査を7月に開始し、最終的に8000人以上から回答を得た。ランキングには30人以上の回答を得られた企業のみを含めた。
広義のテック企業は上位15社のうち実に14社を占めた。ただし、調査を実施したブラインド自体がサンフランシスコに拠点を置く企業であり、そもそもユーザーにテック企業の従業員が多いことは踏まえておく必要がある。
それでも、テックワーカーばかりがアンケート調査に回答したわけではなく、ランキング下位をみると、エクソンモービルやウィーワーク(WeWork)、ボーイング、ゴールドマン・サックスなど多様な業界の企業が名を連ねている。
この調査結果が示す興味深い事実のひとつは、今回の調査で上位にランキングされた企業のなかには、ブラインドの登録ユーザーから総じて低い評価を受けている企業が含まれていたことだ。
キムによると、多くのユーザーにとって、ここしばらくはパンデミックという未曾有の事態が最大の関心事であり続けたことから、自分の勤める企業がコロナ危機をどう乗り切ろうとしてきたのか、その良し悪しがユーザーの回答に影響を与えた可能性があるという。
今回の調査については、従業員たちは「会社がいかに従業員に寄り添おうとしたか」を基準に評価した、キムはそう考えている。
それでは、「従業員が自社を他人に薦めたくなる企業」上位15社を見てみよう。各指標が何を示すかは以下の通り。
「NPS」は「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略で、企業やブランドに対する愛着や信頼の度合いを示す指標。今回調査では、「自社を他人に薦められる」かどうかについて、「強くそう思う」と回答した人の数から、「どちらとも言えない」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」と答えた人の数を引いて算出し、100点方式に換算している。
ブラインドのサービス画面、ドロップボックスに関するページ。基本的な企業情報のほか、下部に総合評価とパラメータ別評価を掲載。
Screenshot of Blind website
「総合レーティング」「最高(最低)スコア」は、ブラインドが自社ウェブサイトで常時公開している登録ユーザーからの総合評価およびパラメータ別評価を示す。
【第15位】ドロップボックス
クラウドストレージサービス、ドロップボックスのドリュー・ハウストンCEO。本社はカリフォルニア州サンフランシスコ。
Drew Angerer/Getty Images
- 調査におけるNPS:5
- 総合レーティング:4.3
- 最高スコア:4.5(ワークライフバランスおよび報酬・福利厚生)
- 最低スコア:3.5(マネジメント)
【第14位】アップル
アップルのティム・クックCEO。本社はカリフォルニア州クパチーノ。
Apple
- 調査におけるNPS:8
- 総合レーティング:4.1
- 最高スコア:4.1(報酬・福利厚生)
- 最低スコア:3.6(ワークライフバランス)
【第13位】ストライプ
オンライン決済ストライプの共同創業者、パトリック・コリソン(左)とジョン・コリソン。本社はサンフランシスコ。
Stripe
- 調査におけるNPS:10
- 総合レーティング:4.2
- 最高スコア:4.4(報酬・福利厚生)
- 最低スコア:3.4(ワークライフバランス)
【第12位】アドビ
アドビのシャンタヌ・ナラヤン会長兼社長兼CEO。本社はカリフォルニア州サンノゼ。
Adobe
- 調査におけるNPS:10
- 総合レーティング:4.0
- 最高スコア:4.4(ワークライフバランス)
- 最低スコア:3.4(マネジメントおよびキャリアグロース)
【第11位】セールスフォース
顧客管理(CRM)ソフトウェア、セールスフォースのマーク・ベニオフCEO。本社はサンフランシスコ。
REUTERS/Denis Balibouse
- 調査におけるNPS:11
- 総合レーティング:4.3
- 最高スコア:4.6(ワークライフバランス)
- 最低スコア:3.9(キャリアグロースおよび報酬・福利厚生)
【第10位】フェイスブック
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO。本社はカリフォルニア州メンロパーク。
Charles Platiau/Reuters
- 調査におけるNPS:12
- 総合レーティング:4.3
- 最高スコア:4.6(報酬・福利厚生)
- 最低スコア:3.5(ワークライフバランス)
【第9位】インディード
求人広告サイト大手インディードのクリス・ハイアムCEO。本社はテキサス州オースティン。
Niall Carson/PA Images via Getty Images
- 調査におけるNPS:14
- 総合レーティング:3.9
- 最高スコア:4.8(ワークライフバランス)
- 最低スコア:3.3(キャリアグロース)
【第8位】マイクロソフト
マイクロソフトのサティア・ナデラCEO。本社はワシントン州シアトル。
Reuters/Fabrizio Bensch
- 調査におけるNPS:16
- 総合レーティング:4.0
- 最高スコア:4.2(ワークライフバランス)
- 最低スコア:3.2(報酬・福利厚生)
【第7位】グーグル
グーグルのスンダル・ピチャイCEO。本社はカリフォルニア州マウンテンビュー。
- 調査におけるNPS:18
- 総合レーティング:4.4
- 最高スコア:4.5(ワークライフバランス)
- 最低スコア:3.7(キャリアグロース)
【第6位】ブルームバーグ
元ニューヨーク市長で米大統領選の民主党候補指名争いにも参戦したブルームバーグのマイケル・ブルームバーグCEO。本社はニューヨーク。
REUTERS/Brian Snyder
- 調査におけるNPS:27
- 総合レーティング:4.1
- 最高スコア:4.5(ワークライフバランス)
- 最低スコア:3.5(キャリアグロース)
【第5位】エヌビディア
半導体大手エヌビディアのジェンスン・ファンCEO。本社はカリフォルニア州サンタクララ。
Mandel Ngan/AFP via Getty Images
- 調査におけるNPS:43
- 総合レーティング:4.5
- 最高スコア:4.5(企業文化)
- 最低スコア:4.1(報酬・福利厚生およびワークライフバランス)
【第4位】ドキュサイン
電子署名サービス世界最大手ドキュサインのダン・スプリンガーCEO。本社はワシントン州シアトル。
DocuSign
- 調査におけるNPS:50
- 総合レーティング:4.8
- 最高スコア:4.9(企業文化)
- 最低スコア:4.5(報酬・福利厚生)
【第3位】ネットフリックス
動画配信大手ネットフリックスのリード・ヘイスティングス共同CEO。本社はカリフォルニア州ロスガトス。
Carlos Alvarez / Getty
- 調査におけるNPS:52
- 総合レーティング:4.1
- 最高スコア:4.8(報酬・福利厚生)
- 最低スコア:3.6(キャリアグロース)
【第2位】アトラシアン
豪ソフトウェア大手アトラシアンのスコット・ファークアー共同CEO。本社はシドニー。今回調査はアメリカ勤務の従業員が対象。
Brook Mitchell/Getty Images
- 調査におけるNPS:61
- 総合レーティング:4.7
- 最高スコア:4.8(企業文化)
- 最低スコア:4.1(キャリアグロースおよび報酬・福利厚生)
【第1位】スクエア
ツイッターCEOも兼務する、決済サービス大手スクエアのジャック・ドーシーCEO。本社はサンフランシスコ。
Francois Mori/AP
- 調査におけるNPS:79
- 総合レーティング:4.6
- 最高スコア:4.7(ワークライフバランス)
- 最低スコア:3.9(報酬・福利厚生)
(翻訳・編集:川村力)