アメリカ下院アンチトラスト小委員会で宣誓するテック企業の幹部たち。2020年7月29日。
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- アップルは9月1日、フランス、イタリア、イギリス、トルコがデジタルサービス税を導入したことを受け、それらの国の開発者に対する手数料を調整すると発表した。
- グーグルもイギリス、オーストリア、トルコなどの国の新たな税制に合わせ、広告業者に対して手数料を追加するとした。
- アマゾンは、イギリスのサードパーティセラーに対し、手数料を2%値上げするとした。
- デジタルサービス税とは、巨大テック企業を対象とし、その収益に課税しようというものだ。
アマゾン(Amazon)、アップル(Apple)、グーグル(Google)は、ヨーロッパで新たに導入された税金のコストを、小規模な開発者や顧客に転嫁しようとしている。
フランス、イギリス、イタリアなどのヨーロッパ諸国は「デジタルサービス税」を導入している。これは法人税とは異なり、巨大テック企業を対象とし、その総収益の一部を徴収しようというもの。トルコも同様の税を導入している。この背景にあるのは、巨大テック企業は顧客のいる国に税金を支払うべきだという考え方だ。
これを受けてアップルは9月1日、各国におけるApp Storeの手数料を調整すると発表した。それによると、フランス、イタリア、イギリス、トルコの4カ国がデジタルサービス税を導入したため、それらの国の開発者に対する手数料を値上げするとしている。
各国の手数料は以下のようになっている。
コストを転嫁させるのはアップルだけではない。グーグルも9月1日、イギリスの広告業者に対し、11月から「2%のデジタルサービス税」のコストを負担するよう通知した。また、オーストリアとトルコの事業者に対しては、5%の手数料を追加する。
「トルコでは規制が複雑化し、それに対応するためのコストが大幅に増加することから、運営のためのコストが追加される。オーストリアとイギリスでは、新たにデジタルサービス税が導入されるため、その分の手数料が追加される」と、グーグルの広報担当者がBusiness Insiderに宛てたメールで述べた。
グーグルの広報担当者は「デジタルサービス税やその他の規制により、デジタル広告のコストが増大」するが、事業を展開している国に対しては税金を納めるとともに、国際的な税制改革について、ロビー活動を行う考えを示した。
アマゾンは、イギリスで9月1日からデジタルサービス税が導入されることを受けて、8月の時点でサードパーティセラーに対し、手数料を2%値上げすることを通告した。同社の広報担当者は、この税金に関する法律が成立するまで手数料の値上げを保留していた、とBusiness Insiderに語った。
「他の多くの企業と同様に、我々が各国政府に働きかけてきたのは、それぞれの国による一方的な課税ではなく、OECDレベルでの世界的な合意に基づいてデジタル収入に課税することだ。そうすれば、ルールは世界的に一貫したものとなり、各企業にとっても明解で公平なものになる」
ヨーロッパのデジタルサービス税については、アメリカとの貿易論争において、主要な議題となってきた。アメリカはデジタルサービス税が自国の企業を不当に標的とするものだと考えている。
デジタルサービス税は、フランスでは3%で2019年7月から、イタリアも3%で2020年1月から、イギリスでは2%で同年4月から、トルコでは7.5%で同年3月から導入された。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)