Lara Walsh/Joel Ryan/Invision for Parkwood Entertainment/AP
ステージを走り回り、最新のヒット曲を力強く歌い、ダンスを見せつける…… ビヨンセは驚くべきスタミナ、持久力、強さを持つ最高のミュージシャンの1人だ。
筆者は7日間だけ、ビヨンセのようにトレーニングしてみようと心に決めた。
ビヨンセのトレーナーで栄養士のマルコ・ボルジェス(Marco Borges)氏は、自身がいかにしてビヨンセのツアー用のからだ作りを手伝ってきたかその多くを語っていて、ビヨンセのルーティンはインターバル・トレーニングや足のエクササイズ、体幹や上半身を狙った集中的な動きなどで構成されているようだ。
チャレンジをするにあたって、筆者はボルジェス氏が2015年2月にGlamourで語ったワールドツアー「フォーメーション」向けの全身のワークアウト、ビヨンセがインスタグラムに投稿した動画、ボルジェス氏が2015年3月にELLEで語った4つの足のエクササイズを参考にした。
1週間ビヨンセのようにワークアウトをするとどうなるか、見ていこう。
※ただし、1人の有名人にとって特定のルーティンがうまくいったからといって、筆者含め全ての人に合うとは限りません。
1日目:まずは上半身と体幹から。ビヨンセのようにからだを鍛えるのがいかに大変か、すぐに気付くことになった。
初めは自信があったけれど……。
Lara Walsh
チャレンジ初日、わたしには自信があった。ボルジェス氏のワークアウトの全ての動きを把握していたからだ。ただ、自分にそれができるかどうか、あまりよく考えていなかったのも確かだ。
2015年のGlamourのインタビューで、ボルジェス氏はからだを強くするために、ボクシング用品や大きなウェイトロープを使うことを勧めていた。
わたしははどちらも持っていなかったので、ボルジェス氏が勧める用具なしでできる方法を試し、ビヨンセが2015年にインスタグラムに投稿した動画「Let's Move」からヒントをもらった。
5ポンド(約2.3キロ)のウェイトを2つ使って、体幹を維持することに気を付けながら、左右にパンチを繰り出しながらからだをひねった。
左右に10回ずつ、1セットやっただけで上半身が痛くなってきた。どうにかこれを2セットこなした。
上半身を少し休めたかったけれど、トレーニングはまだまだ残っている。
次に、全身を使ったシットアップ、スタンディング・サイドクランチをやった。わたしはしばしばピラティスをやるので、これはさほどきつくはなかった。
5ポンドのウェイトを持ってシットアップを10回、2セット。
それからスタンディング・サイドクランチを左右それぞれ10回ずつ行った。
簡単だ。
だが、この日のワークアウトが終わりに近付くにつれ、ビヨンセの上半身ワークアウトの「聖杯」とボルジェス氏が考えているエクスプローシブ・プッシュアップが不安になってきた。
わたしは普通の腕立て伏せもできないのだ。
とりあえず、エクスプローシブ・プッシュアップは5回を目指すことにした。
1回目は失敗した。腕で床を押したら、顔から落ちた。
腕がフラフラになったので、ひと休みしてから残り4回はひざをついてやった。
この時点で、ビヨンセが「ステージを動き回るのに必要なスタミナと爆発力」をつけるためにやっているという有酸素運動とインターバル・トレーニングができるのか不安になっていた。
ビヨンセは"1分間ダッシュして2分間早歩きする"というのを1時間半やり続けるという。
開始から約5分で、わたしはフラフラしてきた。気を失いそうになり、吐きそうになった。
これがどんなに大変なワークアウトか、わたしは完全に見くびっていた。気分が良くなるまで、しばらく丸くなって横になっていた。
2日目:からだが痛い。ビヨンセの足のエクササイズでわたしのからだは大変なことに。
ベッドから起き上がるのが痛い。
Lara Walsh
朝起きると、上半身がこれまでに感じたことがないくらい痛かった。ベッドから起き上がり、服を着るのが辛い。
それでも、ビヨンセの足のエクササイズをわたしは楽しみにしていた。
上半身より下半身の方が強いので、どうにかなるだろうと思っていたのだ。
ボルジェス氏が2015年にELLEで語った4つのワークアウトに挑戦することにした。これがビヨンセの太ももを作っているようだ。
まずはシングルレッグ・ペルビックティルトから始めた。これはわたしの通常のワークアウトにもすでに入っている。何セットかやる間、筋肉に負荷をかけるために中負荷のレッグバンドも使った。
ジャンピング・プリエスクワットをやる時は、足の向きやフォームに気を付けなければならない。週半ばで怪我をしたくはない。
この動きにもわたしは慣れていたので、10回3セットを難なくこなした。
ただ、ジャンピングランジとリバース・スクワットキックになると、やや難しくなってきた。
ジャンピング・プリエスクワットに似たような動きだろうと思ったが、ジャンプしながらバランスを保ち、足を一直線に伸ばし続けるのがいかに難しいか、わたしは分かっていなかった。
エクササイズが終わる頃には太ももとお尻が焼けるようだった。汗がしたたった。
最後にストレッチをして終了。ストレッチは柔軟性を維持するのに重要だと、ボルジェス氏がGlamourに語っていたものだ。
3日目:ケトルベルを使ったワークアウトをたくさんやったら息が切れた。からだが痛い。
痛いのが流行り?
Lara Walsh
朝起きると、足とお尻が痛いことにびっくりした。1日中よたよた歩きで、できるだけ階段でなくエレベーターを利用した。
今日はこれまでわたしが無視してきた、ケトルベルスクワット・アンド・プレスといったいくつかの動きをやってみることにした。これは時間がない時にぴったりの良い運動だと、ボルジェス氏がGlamourに語っていたものだ。
ここ数日のワークアウトで、ももや胸の筋肉がまだ痛いことを考えると、ケトルベルスクワット・アンド・プレス —— ケトルベルを持ってしゃがみ、立ち上がる時にそれを頭上に持ち上げる —— は完全に悪夢のようだった。
ボルジェス氏は15回4セットを勧めているが、わたしはちょっとズルをして、やや軽い10ポンドのウェイトを使って10回2セットを行った。
その後は、シングルレッグ・ステップアップとフォワードランジを2セットずつ。これらは十分きついので、ウェイトはなしでやった。
最後に"1分間ダッシュして2分間早歩きする"のを30分間やって終わり。開始から10分で息が切れ、クラクラし、汗がしたたった。
有酸素運動をもっとしっかりやらなければならない。
4日目:ビヨンセはどうしてエクスプローシブ・プッシュアップができるのか…… このエクササイズは思った以上にキツイ。
エクスプローシブ・プッシュアップは辛い。
Lara Walsh
この日の朝、わたしはどうにかして初日から同じワークアウトを繰り返しているという事実を忘れようとしていた。これまでで一番難しい、一番キツイもの…… エクスプローシブ・プッシュアップだ。
時間をかけてウォーミングアップとストレッチをしてから、全身を使ったシットアップとスタンディング・サイドクランチをやった。
わたしはやりたくないことを先延ばしにしがちなので、イヤなエクササイズが待っていると思うと目の前のことに集中するのも難しかった。
だから、それを乗り越えることに決めた。
覚悟が決まったからなのかどうかは分からないけれど、やっぱりキツイ。
1回やっただけですぐに汗をかき、ギブアップする前になんとかもう一度だけやった。
どうしてビヨンセがこれを何セットもできるのか、本当に見当がつかない。
自分にものすごくがっかりして、イライラしていたので、ウェイトを使ったパンチを左右それぞれ10回1セットだけやって今日のワークアウトを終わりにした。
エクスプローシブ・プッシュアップは予想したよりものすごく大変だ。
5日目:全身が痛いけれど、ビヨンセの音楽で自分自身を鼓舞した。
辛過ぎる。
Lara Walsh
朝8時にアラームをセットし、ワークアウトをするためにベッドから起き上がるのは、本当に意志の力を必要とする。
数日間のハードなルーティンのおかげで、わたしのからだは全身痛かった。そこでエクササイズを始める前に、自分の気分を上げようとビヨンセの音楽をかけた。
今日は、高負荷のレッグバンドを使ったシングルレッグ・ペルビックティルトを左右それぞれ10回3セットずつやるところからスタートし、ジャンピング・プリエスクワットも3セットやった。
その後、ジャンピングランジとリバース・スクワットキックをそれぞれ10回2セットずつやって終了。今回はゆっくりやることで、正確さを意識した。
6日目:もはやからだが痛くない状態が思い出せない。インターバル・トレーニングに集中。
ビヨンセの音楽で気が紛れた。
Lara Walsh
大げさかもしれないけれど、からだのあちこちが痛くない状態が思い出せなくなった。
今日はシングルレッグ・ステップアップとフォワードランジはやらず、ケトルベルスクワット・アンド・プレスに集中することにした。
ビヨンセの音楽の力を借りて、少し前向きな気持ちで10ポンドのケトルベルを使ったスクワット・アンド・プレスに取り組んだ。呼吸に集中し、左右それぞれ10回3セットずつやった。
この日、一番良かったのは30分間の"1分間ダッシュして2分間早歩きする"ワークアウトだった。数日間、ウェイトを上げ続けた後にやると、とても気持ちがいい。
お気に入りのビヨンセの音楽を聴きながらやれば、30分はそれほど長くない。素晴らしい気分だ。
7日目:今回のチャレンジ最後の目標はエクスプローシブ・プッシュアップ5回。なんとか……できた?
ビヨンセ、凄すぎる……。
Lara Walsh
エクスプローシブ・プッシュアップ5回という当初の目標に向けて、わたしはやる気満々だった…… が、少し計画を変えた。
これまでの自分は無謀すぎたように思えたので、今回は腕や胸にかかる自分のからだの重みを一部軽減できるエレベイテッド・エクスプローシブ・プッシュアップに挑戦することにした。
完璧でもかっこよくもないかもしれないけれど、必ずやると心に決めた。
ウォームアップも兼ねて、まずは全身を使ったシットアップ、スタンディング・サイドクランチからスタート。体幹に集中するため、5ポンドのウェイトを持ちながらやった。
次に、ベンチへ行き、腕立て伏せの体勢に。お尻を高くし過ぎないよう気を付けながら、体幹を維持する。
エクスプローシブ・プッシュアップが3回できた。正しい筋肉を使って、自分で自分のからだをコントロールできているような気がする。
1回できたら休んで、次に備えた。
それにしても、ビヨンセはこれをどうやって何セットもやっているのだろう?
その後、ダンベルを使ったパンチを左右それぞれ10回3セットやることにした。この時点で肩、胸、腕がキツイ。
最後の方は中途半端な動きになっていたので、途中で止めて床に寝転がった。どうやって30分のインターバル・トレーニングを乗り切ろうか……。
結局、ストレッチをしてから(すぐに立ち上がれなかったので床でやった)、"1分間ダッシュして2分間早歩きする"のを15分間やることにした。
結論:ビヨンセのルーティンを平均的な人間が継続するのは無理だろう。ビヨンセへの尊敬の気持ちがさらに増した。
筆者にツアーは無理だ。
Christopher Polk/MTV1415/Getty Images for MTV
念のため、ボルジェス氏はワールドツアー「フォーメーション」のルーティンを週に3回やれば、約6週間で成果が見られるだろうとGlamourで語っていた。
でも、わたしはボルジェス氏が紹介していたさまざまな動きとビヨンセがインスタグラムで紹介していた動きを連日、組み合わせてやっていた。
ビヨンセのルーティンを独自につぎはぎしてやったことに、わたし自身は満足している。ただ、こんなにからだが痛くなったのは人生初で、シンプルで分かりやすい動きに見えても実際にやってみるとものすごく過酷だったことも確かだ。
今回のチャレンジで、わたしはもっと上半身を鍛えるべきだということに気付かされた。上半身を使うエクササイズが本当にきつかったからだ。
それでも1週間を終えて、自分は強くなったと感じる。……でも、しばらくはもうやりたくない。
(翻訳、編集:山口佳美)