Reuters
- アマゾンは、一部の販売業者が肯定的なレビューと引き換えに無料で商品を提供していることが判明した後、2万件の商品レビューを削除した。
- フィナンシャル・タイムズがイギリスのアマゾンのトップレビュアーの行動について分析したところ、あるレビュアーは平均4時間ごとにレビューを投稿し、その後、その商品をeBayで販売していた。
- 肯定的なレビューにより、商品の評価が高まり、短期的に売り上げが急増することがある。
フィナンシャル・タイムズの調査によって、イギリスのトップレビュアーの中に高評価をつけることで報酬を得ている者がいることが示唆され、アマゾン(Amazon)は約2万件の商品レビューを削除した。
調査によると、イギリスのアマゾンでトップ10に入るレビュアーのうち9人が、中国のほとんど知られていないブランドの商品に対し、5つ星の評価を付けていた。フィナンシャル・タイムズの調査チームは、その同じ商品をフェイスブック(Facebook)のグループやフォーラム上で見つけた。そこでは商品の評価をしてくれれば、商品あるいは報酬金を提供するという提案が投稿されていた。
調査レポートが9月4日に公開されてからほんの数時間後、アマゾンは7人のレビュアーが投稿した約2万件のレビューを削除した。
南カリフォルニア大学(USC)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者も、報酬金付きのレビューについての研究を行い、論文を発表した。アマゾンはその論文で分析された数千件のレビューも削除した。
肯定的なレビューはアマゾンの商品ランキングアルゴリズムに反映され、「アマゾンチョイス」のラベルをその商品に付けるかどうかにも影響する。このラベルは多くの販売業者が欲しがるものであり、だからこそ彼らはフェイスブックのグループやフォーラムで商品や報酬金の提供をレビュアーに持ちかけるようになった。
USCとUCLAの研究チームは、そのような約2500のフェイスブックのグループを特定した。グループ内でレビューの要望があった商品の約80%は中国製だった。論文によれば、こうして作られた偽レビューにより、商品の評価が一時的に高まり、短期的に売り上げが急増することがあるという。
研究チームによると、彼らがモニターしていた商品のレビューの3分の1は、アマゾンによって削除され、そのほとんどが5つ星の評価だった。
4時間ごとにレビューを投稿していたユーザーも
フィナンシャル・タイムズの調査によると、イギリスのアマゾンでトップランクのレビュアーであったジャスティン・フライヤー(Justin Fryer)さんは、8月だけでも、ガゼボのキット3点、ノートパソコン10台、さらにはドールハウスまで、合計1万5000ポンド(約200万円)分の商品をレビューしている。彼は平均して4時間ごとにレビューを投稿していた。レビューされた商品の多くは、eBayの彼のアカウントで売りに出された。
フライヤーさんは、肯定的なレビューと引き換えに無料で商品を受け取ったのではないとし、eBayで売りに出した商品は、重複して届いたものだと述べた。彼はFTから連絡を受けた後、アマゾンのレビューの履歴を削除した。その他数名のトップランクのレビュアーも、調査チームからの連絡を受けた後に、レビューの履歴を削除したという。
アマゾンの広報担当者が、テック系ニュースサイトThe Markupに語ったところによると、同社はオンラインでの詐欺や悪質な行為に対抗するために、2019年に5億ドル(約530億円)を投じたという。これには、ソフトウェアと人間の調査員の両方で、週に何百万ものレビューを分析することが含まれている。広報担当者は「レビューシステムを悪用しようとした者、数千人を訴えた」とも述べた。
「アマゾンのユーザーには、レビューが本物かつ適切であることに納得し、安心して買い物してもらいたい」と同社広報担当者はフィナンシャル・タイムズに語り、「そのためには、ルールに違反する者に対して、何らかの措置を講じる必要がある」と付け加えた。
[原文:Amazon deleted 20,000 product ratings after an investigation highlighted paid-for reviews]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)