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- この記事はビジネスインサイダー・インテリジェンスのプレミアム・リサーチ・レポート「銀行UX改革(Transforming User Experience in Banking)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから
銀行を利用する手段としてデジタル・チャネルの重要度が増している。そんななか、銀行のデザインチームは顧客に響くユーザーエクスペリエンス(UX)を設計するため戦略を練らねばならない。
しっかりとしたUX戦略によって、銀行はシンプルで直感的に扱えるフリクションレスなデジタルバンキング・サービスを提供できる。また、優れたUXは顧客満足度を向上させ、新規顧客の獲得にも役立つ。
機能満載のアプリも使いにくければ顧客満足ダウン
銀行のサービスにデジタルで接した顧客の経験をユーザーエクスペリエンス(UX)と呼ぶ。カスタマーエクスペリエンスの重要な一部だ。
Business Insider Intelligence
モバイルバンキングを多機能化することで、既存の顧客を満足させ、潜在的な顧客層にアピールすることも可能だろう。しかし、これはあくまでもアプリが使いやすく設計されている場合に限る。
複雑な機能がいくつも詰め込まれた、理解しづらいオンラインバンキングのインターフェイスをよく目にするが、こうした仕様は、Webサイトとモバイルアプリにかかわらず、顧客満足度を下げるということがJ.D. Power(顧客満足度調査を専門とする調査会社)による2019年の調査からうかがえる。
手を打たない大手銀行は「デジタルネイティブに淘汰」
消費者がダイレクトバンキングの口座を開く理由。24時間、毎日対応のカスタマーサービスを求める声が高いことにも注目。
Business Insider Intelligence
「残念なUX」によって失うものは多く、デジタル対応が遅れている銀行にとってUXを得意とするフィンテックやIT大手は脅威となっている。
フィンテックが提供するアプリのデザインは、見た目がよく、使い勝手もシンプルで、隙がない。
また、アマゾンやグーグルのようなIT大手がデジタルサービスに磨きをかけてきたおかげで、ユーザーの期待値は上がっている。フィンテックに加えてこれらIT大手も金融業に参入しており、既存の金融機関の地位を脅かしている。
デジタル・チャンネルの強化で組織改革を目指す大手金融機関は、既にUXデザインに注力している。中小の金融機関もこれらの先行事例に学び、自社のUX戦略の改善に活かせるだろう。
顧客目線でUXを改善し、利益につなげる
デザイン思考は「共感」「問題の定義」「アイディア創出」「試作」「検証」の5つの過程を行きつ戻りつしながらサービスを完成させていくノンリニアなプロセス。銀行のUX改革でも取り入れるべき考え方だ。
Business Insider Intelligence
ビジネスインサイダー・インテリジェンスによるレポート「銀行UX改革」では、大手銀行のUXデザイン戦略の成功事例を参照しながら、金融機関がUX強化を利益につなげるためのヒントを提示する。
大手金融機関9社の担当者への独占インタビューを通じて、UX設計のためのチームづくりや、UXデザインへのアプローチ、優れたUXを提供するための成功戦略についても聞いている。
大手金融機関の戦略から浮かび上がってくるのは「多様な専門性を持つメンバーで構成されたチーム」が「顧客のニーズと欲求を中心に置いてデザインすること」の必要性、そして「UXデザインの方法論を用いて的確なタイミングで顧客に提案をすること」の重要性だ。
本レポートで言及される企業:
Bank of America, BBVA USA, Capital One, DBS Bank, Goldman Sachs, HSBC, JP Morgan, Lloyds Banking Group, and U.S. Bank
本レポートのキーポイント:
- 金融機関は顧客目線でUXデザインに取り組まなければならない。分かりやすさを担保するためにデザインの全過程でユーザーの意見を反映する必要がある。
- デザイン思考やダブルダイヤモンドなど、確立された方法論を取り入れることで、ユーザーの抱える問題に対し最適な解決方法を見つけることができる。
- 金融機関は、専門性の異なる多様なメンバーで構成されるデザイン・チームを作り、より効率的に顧客体験向上を目指すべき。UXデザイン・チームは他のチームや経営陣と協働しながら、顧客のニーズや経営的観点から必要とされる事項を洗い出し、技術的に実現可能なソリューションを探っていかなければいけない。
- 顧客との接点の大部分がデジタルに移行したからといって、UX設計時に対面サービスを軽視すべきではない。今もまだ対面サービスは顧客体験の一角をなしている。
- UX戦略をビジネス上の成果につなげるために、金融機関は適切な評価システムを持たなければならない。
本レポートの完全版では:
- UXを強化することで得られるメリットを示しつつ、UXデザインの方法論のなかで銀行が取り入れられるものを紹介する。
- 大手銀行9社へ実施した独占インタビューから「UXデザイン・チームの作り方」「UXデザインへのアプローチ」「ビジネスの成果につなげるためUXの評価方法」について、各社の取り組みを紹介する。
- 銀行が自社のUX戦略の強みと弱みを見つけられるよう、優れたUXデザインにつながる成功戦略とは何かを論じる。
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(翻訳・野澤朋代)