縦長スマホ&小型スマホとして使えるモトローラの「razr」が5Gに対応して新登場。
出典:モトローラ
- モトローラの2世代目となる折りたたみ型スマホ「razr」が5Gに対応して登場。
- 折りたたみ時でも便利に使える機能やカメラ性能が大幅に向上。
- 中国やアメリカで販売され、日本市場への導入も検討されている。
モトローラは9月9日(日本時間10日)、折りたたみ型スマートフォン「motorola razr」(モトローラ レーザー)の新モデルを発表。北米向けのSIMロックフリー版の価格は1399.99ドル(約14万9000円)の予定。
まずは中国で出荷開始し、アメリカやヨーロッパの一部市場などでは2020年秋に登場予定。
日本での発売は明記されていないものの、新型razrのスペックシートには日本向けの5Gバンドの仕様が明記されており、モトローラ広報は「日本市場への導入も検討している」と話している。
日本の“5G”にも一部対応
初代折りたたみ型スマホの「razr」。
出典:モトローラ
razrブランドは、モトローラのブランドを象徴する大ヒットしたフィーチャーフォンのシリーズ名。2019年11月に“折りたたみ型”(フォルダブル)スマートフォンとして再登場した。
今回発表されたモデルは2世代目にあたるが、最大の進化ポイントは「5G対応」と「Quick View displayを中心とした使い勝手の向上」にある。
新型razrは5Gに対応する。中には日本で使用される帯域も。
出典:モトローラ
チップセットは2019年12月に発表されたクアルコム製「Snapdragon 765G」を搭載。これはハイミドル端末向けながら5G通信機能を内蔵している。
日本導入が検討されている製品の対応5Gバンドには、n77、n78、n79などNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天に割り当てられているいわゆる“Sub-6”(6GHz未満の周波数帯域)の5Gバンドが列挙されてる。
なお、日本の“ミリ波”(28GHz帯、n257)の5Gバンドには非対応。
ちなみに、従来のスマホ版razrがソフトウェアで契約情報を読み書きできる「eSIM」のみ対応だったのに対し、新型razrではeSIM+ナノSIM(物理カード)のデュアルSIM仕様になっている(eSIM対応は販売地域によって異なる)。
折りたたんだ状態で真価を発揮する機能とカメラ
折りたたみ時も、背面に備えた「Quick View display」により、さまざまなアプリを動かせる。
出典:モトローラ
外観的な特徴であるディスプレイの仕様は大きく変わっていない。
垂直方向に折りたたみできるメインのディスプレイは6.7インチ2142×876ドット解像度、折りたたみ時に正面に来る「Quick View display」は2.7インチ800×600ドット解像度で、いずれも有機ELを採用している。
新型razrの進化ポイントは、この小さなQuick View displayで、折りたたんだ状態でも再生中の音楽の操作やGoogleマップの経路案内、受信したメッセージの返信などができることだ。
Quick View displayはセルフィー時にも役立つ。
出典:モトローラ
さらに、カメラが従来機では1600万画素だった撮影画質も4800万画素に格段に性能アップ。光学手ブレ補正(OIS)にも対応した。
カメラはQuick View displayの下に配置されているため、画面を開いた際に背面カメラとして機能することに加え、折りたたみ時にはQuick View displayをモニターにして高画質なセルフィーを撮影できる。
目立った進化は少ないが、より日常使いを狙った製品
motorola razr 5Gのパッケージ。
出典:モトローラ
今回の進化ポイントについて、5G対応は大きな進歩と言えるが機能面、性能面については比較的小幅の進化というのが筆者の印象だ。
スペックや外観の進化という意味では、8月5日に発表されたサムスンの新型折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold2」の方がハイエンド端末向けチップセットを搭載するなど目立つ部分が多い
2020年8月に発表された「Galaxy Z Fold2」。
出典:サムスン
ただし、第2世代razrは従来機および競合に比べて、「より日常使いに溶け込もうとする製品」という印象が強くなった。
とくにQuick View displayの機能強化とカメラの性能アップまわりによって、「普段は小さな画面で使い、より詳細なことは画面を大きくして行なう」といった特徴が際立つ。
普及価格帯の製品ではないのに対し、3色のカラーバリエーションを用意してくるところに、モトローラとしての力の入りようを感じる。
出典:モトローラ
また、カラーバリエーションも「Polished Graphite」「Liquid Mercury」「Blush Gold」の3色が用意されている点も、より折りたたみ型スマホの一般化を狙ったもとだと感じられる(価格面ではまだまだ“一般”とは言えない状況だが)。
日本発売が確定すれば、モトローラとしては初となる日本向けフォルダブルスマホなだけに、市場にどのように受け入れられるか注目したい。
(文・小林優多郎)