サンフランシスコのアパートの窓からの眺め。
Brian Wickman
- オレゴン州、カリフォルニア州、ワシントン州では数百の山火事が起こっており、多くの人々が避難を余儀なくされている。
- 山火事の煙が西海岸沿いの多くの地域の大気を満たし、空は赤やオレンジの不気味な色合いに変わってしまった。
- 世界の終わりを思わせるその風景を写真で見てみよう。
「おはよう、地獄(Good morning, hell.)」
サンフランシスコ在住のブライアン・ウィックマン(Brian Wickman)は9月9日の朝、ツイッターで、上の不気味な写真のキャプションにそう書いた。彼のアパートの窓の外は鮮やかなオレンジ色だった。
ウィックマンだけがそのことに言及しているわけではない。何百もの山火事がワシントン州、カリフォルニア州、オレゴン州を襲い、その煙が空に充満して、多くの地域がオレンジと赤の不気味で黙示録的な色合いに染まった。
「モルドールへようこそ」
ブレイク・スティアマン(Blake Stearman)は南オレゴンからタンジェリンの空の画像と一緒にツイートした。(編注:モルドールは指輪物語に登場する国の名前)
「オレゴン州南部から見える空は終末的だ。モルドールへようこそ」とブレイク・スティアマンは2020年9月8日にツイートしている
Blake Stearman/Twitter
気候変動による乾燥した植生と夏の異常高温が原因で、3つの州で火災が発生し、家屋が焼失、人々は避難を余儀なくされている。カリフォルニア州北部で落雷により何百もの山火事が発生した数週間後の9月、オレゴン州、シエラ・ネバダ山脈、その他の地域で新たな火災が発生した。8月に発生した山火事のうち2つは、カリフォルニア州史上2番目と3番目に大きなものだった。
山火事の煙が空の色にこのような変化を引き起こすのは、太陽光が大気中の粒子とぶつかるとき、どのように当たるかによって散乱の仕方が異なるからだ。
太陽光が通常当たるのは窒素と酸素の分子で、これらの分子はブルーライトのような短い波長の光を散乱する。この現象はレイリー散乱と呼ばれ、空が青く見えるのはこのためだ。
一方、煙の粒子(揮発性有機化合物、粉塵、煤など)は窒素や酸素の分子よりもずっと大きいので、波長の長い光を散乱する。それがミー散乱という現象で、山火事の煙で空がオレンジや赤になる原因だ。炎の色とは関係がない。
以下に、ワシントン州からサンフランシスコまで、煙で変色した黙示録的な9つの画像を見てみよう。
オレゴン州ターナーの赤い空が、誰もいないテーマパークを照らし、お化け屋敷のような光景を作り出した
オレゴン州の遊園地「Enchanted Forest」。
Mary Tofte
Mary Tofte
オレゴン州セイラムでは、広さ15万9000エーカー(643平方キロ)のサンティアム州立森林公園からの煙が空を霞ませ、濃いオレンジ色に染めた
2020年9月8日、オレゴン州セイラム。
Zak Stone via Reuters
Zak Stone via Reuters
サンティアムに加えて、オレゴン州では、南部と太平洋沿岸部、クラッカマス川とマッケンジー川の流域でも火災が発生した。いずれも近くのセイラムの街の空を煙で埋め尽くしている
2020年9月8日、オレゴン州セイラム。
Zak Stone via Reuterrs
Zak Stone via Reuterrs
鮮やかなオレンジ色の空は、皮肉にも市内の公園にちなんで緑にライトアップされたサンフランシスコ国際空港とのコントラストが際立っていた
サンフランシスコ国際空港。
San Francisco International Airport
San Francisco International Airport
サンフランシスコのダウンタウンでは、有名な霧が煙の下に滑り込み、濃厚なオレンジ色のもやを作り出していた
2020年9月9日、サンフランシスコで。
Katie Canales/Business Insider
Katie Canales/Business Insider
カリフォルニア州サンノゼでは、地元の写真家オースティン・グエン(Austen Nguyen)が煙でセピア色に染まった自宅の写真を撮影した
サンフランシスコのすぐ北、サウサリートの町もオレンジ色で覆われていた
2020年9月9日、カリフォルニア州サウサリートで、山火事の煙が朝を暗くする中、ブリッジウェイ通りで犬を散歩させる男性。
Eric Risberg/AP
Eric Risberg/AP
ワシントン州サムナーでは、血のように赤い空が見られた
山火事の煙で赤みを帯びたオレンジに染まった空を背景に沈む太陽。2020年9月8日、ワシントン州サンナー付近で。
Ted S. Warren/AP
Ted S. Warren/AP
ワシントン州のシアトルとマーサーアイランドでは、複数の野火の煙がワシントン湖の夕暮れを鈍い紫色に染めた
2020年9月8日、ワシントン州ワシントン湖の夕暮れ。
Washington State Department of Ecology via NWS
Washington State Department of Ecology via NWS
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)