メガロドンの想像図。
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- 新たな研究により、古代の巨大サメ「メガロドン」のサイズは、頭部が約4.65メートル、背ビレが約1.65メートルだったと推計された。
- これらの推計には、メガロドンの歯の化石やホオジロザメなど現存する近縁種が使われた。
- メガロドンの骨格は軟骨でできていたために化石が残っておらず、研究が困難だった。
史上最大のサメとして知られるメガロドンの痕跡として残っているのは、人間の手の平くらいの大きさの歯の化石だけだ。
2300万年前から260万年前までのおよそ2000万年の間、このサメは繁栄を謳歌していた。しかし、現代のサメと同様、骨格が軟骨でできていたため、ほとんど化石が残っておらず、その研究は困難だった。メガロドンの体長は18メートル(小さなヨットと同程度のサイズだ)に達する可能性があることがこれまでの研究によって分かっていたが、体の細部、特に頭部とヒレのサイズに関しては分からないままだった。
イギリスのブリストル大学とスウォンジー大学の研究者チームは、メガロドンのサイズに関する新たな推計値を発表し、この海の生物がいかに巨大だったのかを改めて示した。
オンライン学術誌のScientific Reportsに9月3日付で掲載された彼らの論文によると、メガロドンの背ビレはアメリカ人女性の平均身長と同程度の約1.65メートルだった。ちなみに三角の背ビレはバランスを取るためのもので、水面から飛び出して見えることがあり、映画では迫りくるサメの攻撃を表現する際によく登場する。一方、メガロドンの頭部は鼻先から背中にかけて約4.65メートルだった。乗用車と同程度だ。
研究チームは、メガロドンのサイズを推計するに当たり、メガロドンの近縁種であるホオジロザメなど5頭のサメの体形を分析した。その結果、祖先にあたる巨大サメも似たような形だったことが想定された。人間は乳幼児期に頭部の比率が大きいが、サメは人間と違って成長しても体の比率が変わらない。そのため、年齢別にメガロドンと他の生物を比較したり、成長に伴うプロポーションの変化を推計したりする必要がないので、体型の推計は比較的容易な作業だったという。
メガロドンの歯の化石。人間の手の平とほぼ同じサイズ。
Discovery Channel/Shark Week
ブリストル大学の古生物学者であり、論文の共著者でもあるマイク・ベントン(Mike Benton)教授は「現代のサメの子どもはすべて、小さな大人として生まれ、成長しても体のプロポーションが変わらないということを知り、驚いたと同時に安心した」とプレスリリースで述べた。
現存する近縁種を調査したことで、メガロドンのヒレがどのように形をしていたのかを推定することにもつながり、生態についてもより深い洞察が得られた。例えば科学者らは、メガロドンの背ビレが外側にカーブしていたと考えており、長時間泳げるように適応した結果だろうとしている。さらに背ビレによってすばやい動きが可能になり、獲物を巨大なあごで捕らえる際に役立ったとも考えられている。
研究者らは、メガロドンのプロポーションに新たな光を当てたことで、古代生物の研究がさらに発展し、いずれは何がメガロドンを絶滅に追い込んだのか明らかになることを願っている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)