オンラインキャリアコーチングサービスを展開するポジウィルは9月16日、転職・キャリアに特化したオンライン相談「そうだんドットミー」のサービスを終了することを明らかにした。
LINE上で申し込み、求人情報を前提としないキャリア相談ができるプラットフォームとして、20代を中心に話題を呼んだ。しかし、1回30分単位のカウンセリングが受けられるという「手軽さ」の反面、ユーザーの中長期的なサポートに至らないとの考えから、より中長期で受けられるサービスに注力することを決めたという。
そうだんドットミーは2018年9月にベータ版、2019年7月に正式版をリリース。30分3980円、60分9800円と手頃な価格設定に加え、「匿名で単発のカウンセリングが受けられる」と、20代を中心に支持を集めた。
ポジウィルによると、最大時で6000人程度の利用があった。カウンセリングを行うアドバイザーは、外資系トップセールスパーソンや、キャリアエージェント出身者らが副業で携わることで、質を担保して来た。
金井芽衣社長は、そうだんドットミーの終了についてこう話す。
「寄せられた相談は、転職というより、何がしたいか分からない、どう生きたら分からないという根本的な悩みが多かった。単発で相談に乗ってスッキリしてもらうというよりも、徹底的に寄り添う形で、生きづらさを克服するようなキャリア支援サービスをやるべきと考えるようになりました」
個人向けキャリア支援は増えている
16〜20代の若者を対象にした内閣府の「子供・若者の意識に関する調査」によると「転職はすべきではない」「できる限りしない方が良い」といった、転職に否定的な回答は2割未満に止まる。
リクルートエージェントの調査でも、2009~13年度の転職決定者平均人数を1としたときに、2018年度時点で20代の転職は2.43倍にはっきりと増加。とくに20代前半でみると増加はさらに顕著で、同期比3.82倍にものぼる。
終身雇用を前提にせず、転職も織り込みながら個人が柔軟にキャリアを作る時代へのシフトは、はっきりと意識や行動にあらわれている。だからこそ、個人のキャリア選択に寄り添うサービスのニーズは、高まりつつあるようだ。
ポジウィルが、そうだんドットミーのような単発の相談をクローズする背景にも、よりニーズの高まる、求人紹介ではない中長期のキャリア支援に注力することがある。
同社は今後、そうだんドットミーと並行して展開してきた、3カ月単位で中長期にキャリア支援を行う「ゲキサポ!キャリア」に注力するという。
(文・滝川麻衣子)