会社設立から7年で上場を果たしたスタートアップ経営者。そのポジションから受ける先入観を、いい意味で裏切る。BASE創業者の鶴岡裕太(30)の佇まいには、肩の力が抜けた穏やかさと柔らかさが漂う。
「鶴岡さんが怒ることはないんですか?」という問いには、「あまりないですね。でも、黙っているほうがかえって迫力がないですか?」と笑う。
2年前に移転してきたという高層ビルの六本木のオフィスは、壁のないワンフロア。端から端まで見渡せる開放的な雰囲気だ。鶴岡の席は、BASEのプロダクトを手掛けるチームの一席。CEOの部屋も一応はあるが、会議で使う程度でほとんど使わないという。
「フェアな関係でいたいから」
ここでも、鶴岡はこの言葉を繰り返した。
必要な役割ならこだわりなく集中できる
コードを書いていた大学生からいきなり経営者に。しかし、エンジニアを超えた役割を重荷に感じたことは、意外にも「ない」。
「僕は幸いなことに、承認欲求の源が“ユーザーさんに良いサービスを提供すること”みたいなんです。そのために必要な役割なら、なんでもこだわりなく集中できるんです。例えば、組織づくりとかマネジメントも、サービスを広く届けるために必要な手段ならば、前向きに取り組めます」
ただし、社員との1on1(個別面談)は他のマネジャーに任せ、手放している。苦手意識からというより、